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第八話
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だらしなく開いている口からは、言葉も出ない。
ひたりと熱いものが襞口に触れた。
「ユリア……。もう、痛くて限界なんだ……」
握りしめていたシーツを話し、ユリアも彼の背に手を回した。
ぐぐっと彼が腰をすすめると、狭い膣孔を広げるかのようにしながら押し入ってくる。
「あぁっ……」
「痛い? ごめんね……」
彼の手は、繋がろうとしている少し上を触れた。
「ひゃっ……」
感じる場所に触れられた瞬間、一気に彼の熱杭を飲み込んだ。
灼熱の棒が身体に突き刺さったような感覚だ。
「全部入ったから……」
知らぬうちにこぼれた涙を、彼が舐め上げる。
「これで君は、俺のものだ。堂々と、俺の妻だと言葉にできる」
「マレク……」
喘ぎすぎて掠れた声で彼の名を呼ぶと、マレクはやさしく唇を重ねる。
もったいぶってなかなか唇を離さない。そのうち、じくじくと痛んだ下腹部は次第に落ち着き、じんわりと気持ちよさが広がっていく。
「なんだ、ユリア……俺に、動いて欲しいのか?」
「え?」
「だって君の腰が動いて、俺を締め上げようとしている」
きつく握りしめる彼の背には、くっきりとユリアの爪の後が残っているに違いない。それでも彼は、にこやかに笑っている。
「初めてだからと思ったのに。そうやって俺を煽ってばかりいるのは、悔しいな」
ユリアとしてはそのつもりはない。ただ現状がもどかしく、もっと彼を感じたいだけ。
マレクはゆっくりと腰を引き、ずんと奥を穿つ。
「あっ……」
彼が動くたびに、ユリアからは甘い声が漏れる。そして快楽を逃そうと、彼の背に回している手に力が入る。
それでもマレクは腰を振るのをやめない。ふるふると震える乳房を咥え、さらに淫芽に触れる。
「やぁっ……」
ありとあらゆる性感帯を刺激されたユリアは、無意識のうちに膣をきつく締める。
「くっ……」
胸元の彼からも苦しそうな声が聞こえた。
だが、先に絶頂したのはユリアだった。荒い呼吸と高い声とともに、ぎゅっと膣内が締まり、痙攣する。まるでマレクを搾り取るように絡みつく。
彼は腰の動きをやめない。彼女の胸元から唇を離した彼は、もう一度ユリアと唇を重ねる。
彼女の喘ぎ声は、彼の口の中へと消えていく。
心も身体もすべてが満たされ、極上の快楽が二人を飲み込んでいく。
繋がった部分はぐちゅぐちゅと淫らな水音を奏で、その音にすら酔いしれる。
「ユリア……出すぞ……」
「マ、マレク……」
きゅっと引き締まった膣内に、彼は大量の精液を放った。
どくどくと温かなものがユリアを満たしていく。それによって、ユリアの心もぽかぽかとあたたかくなる。
彼は、一滴も残らずすべてを解き放つかのように、二度三度と腰を押し付けてきた。
「ユリア……」
こうやって彼から柔らかな声色で名を呼ばれるようになるとは、ユリア自身も思ってもいなかった。
彼女は余韻に浸りながら、静かに目を閉じた。
後日。キヴィ子爵は社交界の中でも一、二を争うほどの愛妻家であるという噂が広がるのだった――
【完】
ひたりと熱いものが襞口に触れた。
「ユリア……。もう、痛くて限界なんだ……」
握りしめていたシーツを話し、ユリアも彼の背に手を回した。
ぐぐっと彼が腰をすすめると、狭い膣孔を広げるかのようにしながら押し入ってくる。
「あぁっ……」
「痛い? ごめんね……」
彼の手は、繋がろうとしている少し上を触れた。
「ひゃっ……」
感じる場所に触れられた瞬間、一気に彼の熱杭を飲み込んだ。
灼熱の棒が身体に突き刺さったような感覚だ。
「全部入ったから……」
知らぬうちにこぼれた涙を、彼が舐め上げる。
「これで君は、俺のものだ。堂々と、俺の妻だと言葉にできる」
「マレク……」
喘ぎすぎて掠れた声で彼の名を呼ぶと、マレクはやさしく唇を重ねる。
もったいぶってなかなか唇を離さない。そのうち、じくじくと痛んだ下腹部は次第に落ち着き、じんわりと気持ちよさが広がっていく。
「なんだ、ユリア……俺に、動いて欲しいのか?」
「え?」
「だって君の腰が動いて、俺を締め上げようとしている」
きつく握りしめる彼の背には、くっきりとユリアの爪の後が残っているに違いない。それでも彼は、にこやかに笑っている。
「初めてだからと思ったのに。そうやって俺を煽ってばかりいるのは、悔しいな」
ユリアとしてはそのつもりはない。ただ現状がもどかしく、もっと彼を感じたいだけ。
マレクはゆっくりと腰を引き、ずんと奥を穿つ。
「あっ……」
彼が動くたびに、ユリアからは甘い声が漏れる。そして快楽を逃そうと、彼の背に回している手に力が入る。
それでもマレクは腰を振るのをやめない。ふるふると震える乳房を咥え、さらに淫芽に触れる。
「やぁっ……」
ありとあらゆる性感帯を刺激されたユリアは、無意識のうちに膣をきつく締める。
「くっ……」
胸元の彼からも苦しそうな声が聞こえた。
だが、先に絶頂したのはユリアだった。荒い呼吸と高い声とともに、ぎゅっと膣内が締まり、痙攣する。まるでマレクを搾り取るように絡みつく。
彼は腰の動きをやめない。彼女の胸元から唇を離した彼は、もう一度ユリアと唇を重ねる。
彼女の喘ぎ声は、彼の口の中へと消えていく。
心も身体もすべてが満たされ、極上の快楽が二人を飲み込んでいく。
繋がった部分はぐちゅぐちゅと淫らな水音を奏で、その音にすら酔いしれる。
「ユリア……出すぞ……」
「マ、マレク……」
きゅっと引き締まった膣内に、彼は大量の精液を放った。
どくどくと温かなものがユリアを満たしていく。それによって、ユリアの心もぽかぽかとあたたかくなる。
彼は、一滴も残らずすべてを解き放つかのように、二度三度と腰を押し付けてきた。
「ユリア……」
こうやって彼から柔らかな声色で名を呼ばれるようになるとは、ユリア自身も思ってもいなかった。
彼女は余韻に浸りながら、静かに目を閉じた。
後日。キヴィ子爵は社交界の中でも一、二を争うほどの愛妻家であるという噂が広がるのだった――
【完】
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