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3:大好きなお姉さまとひきこもります(7)
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そこへティーワゴンを押しながら使用人がやってきた。テーブルの上にはお茶やらお菓子やらが並べられていく。
「シオンさま。これ、セシリアが作りました。食べてください」
先ほどの結婚話などなかったかのように、セシリアが明るい声をあげる。
セシリアはシオンにも『さとう氷』をすすめ、父親にしたときと同じような説明をした。
「なんだ、これ。かりっとしていて、ふわっとしていて。甘くて美味しい」
シオンも一瞬にして『さとう氷』の虜になったようだ。
「そういえば、なんで公爵は外交大臣を辞めて領地に引きこもったんだ? それに、エレノアは王太子ジェラルドと婚約していたよな?」
セシリアが子どもだから、ずけずけと聞いてくるのだろう。もちろんセシリアは駆け引きなどできずに、馬鹿正直に言葉にする。
「なるほどな。王太子ジェラルドがバカだというのはよくわかった。あと、イライザという女か? まあ、エレノアを捨ててそいつを選んだというのなら、そいつには何か特別な魅力があるのか?」
あやうく「聖女だからです」と言いそうになって、その言葉を呑み込んだ。謎の記憶については、けしてほかの人には言わないようにと父親からきつく言われているし、まだイライザが聖女だという話も聞こえてこない。
そこへ「セシリア~。お腹が空いた~」とモリスがやってきた。
「あれ? お客様?」
「ええと、こちらはロックウェル王国のシング公爵に仕えている従者の方」
シオンが第二王子だというのは秘密なのだ。
「はぁ? バカ王子じゃん」
「げ、賢者のばばぁ。おまえ、アッシュクロフの王都に行くって言っていたよな? なんでここにいるんだ」
「お二人とも、お知り合いですか?」
セシリアはきょとんとして、二人を交互に見やった。
「俺の魔法の師匠だ」
「私のバカ弟子のひとり」
どうやら師弟関係にあったようだ。
「モリスもどうぞ。喉が渇いたでしょう? お菓子もありますよ」
「さっすがセシリア、やさし~」
そう言って、モリスはシオンとセシリアの間に座る。
「セシリア、ばばぁに親切にしてやる必要はない」
「でもモリスは、セシリアの魔法の先生です」
「そうそう、セシリアは私のかわいい生徒。どこかのバカ弟子とは大違いよ」
「あ。シオンさまは、セシリアの兄弟子になるわけですね?」
ぱっとセシリアの明るい声で、シオンはほんのりと耳の下を赤らめ、ぽりぽりと頬をかく。
「いや、それよりもだ。なんで、ばばぁがここにいるんだよ。王都セッテにいるんじゃなかったのかよ」
シオンとモリスが言い合っている間に、セシリアはお茶を淹れ、モリスの前に置いた。
「いやぁ。セッテに行って、新しい弟子を探そうと思ったんだけど。その前に力尽きてね。ここで倒れてたらしい」
「そうです。セシリアがモリスを拾って、連れてきました」
「おいおい。拾うって犬猫じゃないんだから」
そんなぼやきがシオンから聞こえた。
「ですが今は、セシリアの魔法の先生です」
「そうそう。ここで新しい弟子が見つかったのよ」
お茶をずびずび飲みながら、モリスが答えた。
「モリスにはここでさとうきび畑の管理をしてもらってます。魔法でぱぱっと風を起こしたり、水をやったりしてもらってます。モリスはすごいんですよ」
と、モリスを褒めようとすると、シオンは嫌そうな顔をした。
「シオンさま。これ、セシリアが作りました。食べてください」
先ほどの結婚話などなかったかのように、セシリアが明るい声をあげる。
セシリアはシオンにも『さとう氷』をすすめ、父親にしたときと同じような説明をした。
「なんだ、これ。かりっとしていて、ふわっとしていて。甘くて美味しい」
シオンも一瞬にして『さとう氷』の虜になったようだ。
「そういえば、なんで公爵は外交大臣を辞めて領地に引きこもったんだ? それに、エレノアは王太子ジェラルドと婚約していたよな?」
セシリアが子どもだから、ずけずけと聞いてくるのだろう。もちろんセシリアは駆け引きなどできずに、馬鹿正直に言葉にする。
「なるほどな。王太子ジェラルドがバカだというのはよくわかった。あと、イライザという女か? まあ、エレノアを捨ててそいつを選んだというのなら、そいつには何か特別な魅力があるのか?」
あやうく「聖女だからです」と言いそうになって、その言葉を呑み込んだ。謎の記憶については、けしてほかの人には言わないようにと父親からきつく言われているし、まだイライザが聖女だという話も聞こえてこない。
そこへ「セシリア~。お腹が空いた~」とモリスがやってきた。
「あれ? お客様?」
「ええと、こちらはロックウェル王国のシング公爵に仕えている従者の方」
シオンが第二王子だというのは秘密なのだ。
「はぁ? バカ王子じゃん」
「げ、賢者のばばぁ。おまえ、アッシュクロフの王都に行くって言っていたよな? なんでここにいるんだ」
「お二人とも、お知り合いですか?」
セシリアはきょとんとして、二人を交互に見やった。
「俺の魔法の師匠だ」
「私のバカ弟子のひとり」
どうやら師弟関係にあったようだ。
「モリスもどうぞ。喉が渇いたでしょう? お菓子もありますよ」
「さっすがセシリア、やさし~」
そう言って、モリスはシオンとセシリアの間に座る。
「セシリア、ばばぁに親切にしてやる必要はない」
「でもモリスは、セシリアの魔法の先生です」
「そうそう、セシリアは私のかわいい生徒。どこかのバカ弟子とは大違いよ」
「あ。シオンさまは、セシリアの兄弟子になるわけですね?」
ぱっとセシリアの明るい声で、シオンはほんのりと耳の下を赤らめ、ぽりぽりと頬をかく。
「いや、それよりもだ。なんで、ばばぁがここにいるんだよ。王都セッテにいるんじゃなかったのかよ」
シオンとモリスが言い合っている間に、セシリアはお茶を淹れ、モリスの前に置いた。
「いやぁ。セッテに行って、新しい弟子を探そうと思ったんだけど。その前に力尽きてね。ここで倒れてたらしい」
「そうです。セシリアがモリスを拾って、連れてきました」
「おいおい。拾うって犬猫じゃないんだから」
そんなぼやきがシオンから聞こえた。
「ですが今は、セシリアの魔法の先生です」
「そうそう。ここで新しい弟子が見つかったのよ」
お茶をずびずび飲みながら、モリスが答えた。
「モリスにはここでさとうきび畑の管理をしてもらってます。魔法でぱぱっと風を起こしたり、水をやったりしてもらってます。モリスはすごいんですよ」
と、モリスを褒めようとすると、シオンは嫌そうな顔をした。
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