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3:大好きなお姉さまとひきこもります(2)
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もちろん、これらはセシリアの頭の中に流れ込んできた記憶を利用している。それをエレノアに伝え、彼女が事業計画案としてまとめた。
廃れた街であったフェルトンだが、次第に人が集まり始める。砂糖と砂糖を使った料理の噂を聞きつけたのだろう。
もちろん、そういった噂を流したのはケアード公爵だ。外交大臣だったころの伝手を使い、それとなく砂糖の話を広めた。
そしてエレノアとセシリアがフェルトンの街に住み半年ほど経ったころ、本邸にいるケアード公爵から一通の書簡が届いた。
「お父様もわざわざ書簡だなんて、どうされたのかしら?」
急いで封を切り、中身を確認する。
「お姉さま、お父さまからの手紙には、なんて書いてありましたか?」
まだ両親が恋しいセシリアにとって、父親からの手紙であれば、どんな内容かとわくわくしてしまう。
それでも大好きな両親と離れてフェルトンの街に滞在しているのは、エレノアがいるからだ。そして大好きなエレノアと立ち上げたさとうきび事業。今では、真っ白いきらきらと輝く砂糖がフェルトンの街へと出回り、近隣の町や村、そして王都にも少しずつ広がっている。
フェルトンの砂糖に興味を持つ者も出てきて、さとうきび畑を見学したいとか、砂糖を作る工程を見たいとか、そういった希望も受け入れている。ただ、そのような対応は町長や商会長に任せてあった。
この事業の中心にエレノアがいると知られてしまえば、彼女に求婚者が集まってくるだろうと、父親が心配したからだ。
エレノアだって年頃の、魅力的な女性である。そんなエレノアに変な男たちが寄ってこないようにと、使用人やら護衛の者たちが目を光らせている。さらに町長、商会長、その組合員たちもエレノアを女神のように崇拝しているため、それとなく見張っていた。
その甲斐もあってか、今のところ、エレノアに求婚しようという心臓に毛の生えたような図々しい男性はいない。
「ロックウェル王国のシング公爵家のコンスタッド様が、フェルトンの砂糖に興味を持たれているから、見学に来るそうよ。その間、こちらの屋敷に滞在することになるから、準備をするようにって。あらあら、どうしましょう。忙しくなるわね。お父様も一緒に来られるそうよ」
「やったぁ~」
今回は、隣国ロックウェルの貴族ということもあり、フェルトンの領主であるケアード公爵に打診したのだろう。今までの見学者とは異なる。だからケアード公爵も同伴すると、手紙で知らせてきたのだ。
「では、早速準備にとりかからなくてはね。明後日には来られるそうだから」
「コンスタッド様は、今は本邸のほうにいらっしゃるのですか?」
「そのようね。だけど、今回の訪問はお忍びのようよ」
しっと唇の前に人差し指を立てるエレノアの姿は、普段より幼く見えた。
エレノアが急いで使用人たちを集め、明後日に公爵が客人を連れてやってくる旨を伝える。
「あ、モリスに伝えないと」
セシリアが声をあげる。
「そうね。モリスがへそを曲げてしまっては、たいへんだわ」
モリスとは、二ヶ月ほど前に、フェルトンの街の入り口に倒れていた女性だ。どうやら王都へと向かおうとしていたらしいのだが、道に迷ってフェルトンにたどり着いたらしい。
廃れた街であったフェルトンだが、次第に人が集まり始める。砂糖と砂糖を使った料理の噂を聞きつけたのだろう。
もちろん、そういった噂を流したのはケアード公爵だ。外交大臣だったころの伝手を使い、それとなく砂糖の話を広めた。
そしてエレノアとセシリアがフェルトンの街に住み半年ほど経ったころ、本邸にいるケアード公爵から一通の書簡が届いた。
「お父様もわざわざ書簡だなんて、どうされたのかしら?」
急いで封を切り、中身を確認する。
「お姉さま、お父さまからの手紙には、なんて書いてありましたか?」
まだ両親が恋しいセシリアにとって、父親からの手紙であれば、どんな内容かとわくわくしてしまう。
それでも大好きな両親と離れてフェルトンの街に滞在しているのは、エレノアがいるからだ。そして大好きなエレノアと立ち上げたさとうきび事業。今では、真っ白いきらきらと輝く砂糖がフェルトンの街へと出回り、近隣の町や村、そして王都にも少しずつ広がっている。
フェルトンの砂糖に興味を持つ者も出てきて、さとうきび畑を見学したいとか、砂糖を作る工程を見たいとか、そういった希望も受け入れている。ただ、そのような対応は町長や商会長に任せてあった。
この事業の中心にエレノアがいると知られてしまえば、彼女に求婚者が集まってくるだろうと、父親が心配したからだ。
エレノアだって年頃の、魅力的な女性である。そんなエレノアに変な男たちが寄ってこないようにと、使用人やら護衛の者たちが目を光らせている。さらに町長、商会長、その組合員たちもエレノアを女神のように崇拝しているため、それとなく見張っていた。
その甲斐もあってか、今のところ、エレノアに求婚しようという心臓に毛の生えたような図々しい男性はいない。
「ロックウェル王国のシング公爵家のコンスタッド様が、フェルトンの砂糖に興味を持たれているから、見学に来るそうよ。その間、こちらの屋敷に滞在することになるから、準備をするようにって。あらあら、どうしましょう。忙しくなるわね。お父様も一緒に来られるそうよ」
「やったぁ~」
今回は、隣国ロックウェルの貴族ということもあり、フェルトンの領主であるケアード公爵に打診したのだろう。今までの見学者とは異なる。だからケアード公爵も同伴すると、手紙で知らせてきたのだ。
「では、早速準備にとりかからなくてはね。明後日には来られるそうだから」
「コンスタッド様は、今は本邸のほうにいらっしゃるのですか?」
「そのようね。だけど、今回の訪問はお忍びのようよ」
しっと唇の前に人差し指を立てるエレノアの姿は、普段より幼く見えた。
エレノアが急いで使用人たちを集め、明後日に公爵が客人を連れてやってくる旨を伝える。
「あ、モリスに伝えないと」
セシリアが声をあげる。
「そうね。モリスがへそを曲げてしまっては、たいへんだわ」
モリスとは、二ヶ月ほど前に、フェルトンの街の入り口に倒れていた女性だ。どうやら王都へと向かおうとしていたらしいのだが、道に迷ってフェルトンにたどり着いたらしい。
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