隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~

澤谷弥(さわたに わたる)

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 ルドルフは埋めた顔をあげると、アルベティーナの細い腰を掴んだ。
「動くぞ」
「ひっ、ん……」
 ルドルフがゆっくりと腰を揺さぶり始める。彼が動くたびに、埋められた切先が襞肉を擦り上げていく。
 いつの間にか痛みは消え去り、彼が動くたびにアルベティーナの身体は喜んでいた。
 ぐちゅぐちゅとつながった部分からは淫らな水音が聞こえてくる。一定の律動で腰を振るルドルフの額には、玉のような汗がびっしりと浮かんでいた。
「俺を感じろ、ティナ……」
「んっ、ル……はっ、んんっ」
 彼の名を呼びたいのに、それは嬌声に飲み込まれてしまう。
 彼の律動は次第に速くなる。バチンバチンという肌のぶつかる打擲音が部屋に響く。
 熱く息を吐いたルドルフは、アルベティーナの細腰を片手で掴み直し、もう片方の指先で快楽の芽に触れた。
「ひゃ……、んんっ、や……」
なかだけでは難しそうだからな」
 ただでさえ快楽の波がアルベティーナに襲い掛かっているというのに、さらに敏感な粒まで刺激されてしまっては、波に飲み込まれてしまう。
「やっ……、うっ……くぅっ……」
 一際高い声をあげたアルベティーナは目元に涙を溜めたまま、身体を仰け反った。
 ぐぐっなかは震え、埋められている熱杭を締め上げる。
「うっ」
 ルドルフが辛そうに顔をしかめた。
「ティナ、愛してる……」
 言葉と共に、ルドルフの身体が大きく震えた。
 頭が白んでいるアルベティーナは、お腹の中に温かなものがゆっくりと広がっていくのを感じた。
 しっとりと汗ばむ彼の背に回している手に、つい力を込めてしまう。
 それに気付いたルドルフが唇を重ねてくる。それはとても甘い口づけだった。
 彼の名残を感じながら、アルベティーナはぼんやりと彼の言葉を思い出していた。
(団長……。私を愛してると言ってくれたわ……)
 その言葉を反芻するだけでも、涙が溢れてしまう。
「泣いているのか?」
 別に声に出して泣いていたわけでもない。ただ黙って、自然と流れてくる涙に従っていただけ。にも関わらず、彼には気付かれてしまった。
「だって。幸せすぎて」
 ルドルフの言葉が信じられなかった。例え、閨事だけの偽りの言葉だったとしても、言われた事実が消えるわけではない。嘘でもいい。とにかく、その言葉を彼の口から聞けたことが嬉しかった。
 ルドルフがアルベティーナを抱く手に力が込められた。
 二人は隙間なく繋がったままお互いに手を伸ばし、しばらく抱き合っていた。
「ティナ」
 ルドルフにその名で呼ばれると、アルベティーナの顔は緩んでしまう。というのも、どこか彼の特別になることができたという思いが込み上げてくるからだ。
「団長」
「ではなく、名前で呼べと言っただろ」
 ルドルフが笑い、アルベティーナの胸元にある膨れ上がった実を摘まむ。
「んっ……」
「お前が俺を団長と呼ぶたびに、お仕置きをしてやる」
「や、やめてください……」
 顔を真っ赤にしながら身をよじるものの、彼に捕らわれている身体は自由が利かない。
「お前っ……。そんなに締め付けるな。また……」
 ルドルフが言いかけた時、腹の中に埋もれている彼が質量を取り戻しつつあることに気付いた。
「んっ……。団長、抜いてください」
「また俺を団長と呼んだな」
 ルドルフはもう一度彼女の腰に手を添える。
「えっ。る、ルディ……。もう無理……」
「お前。騎士だろ。無理なわけあるか。体力が有り余っているくせに」
「それは、団長じゃないんですか」
「また、呼んだな」
 楽しそうに唇の端を持ち上げたルドルフは、一度己を引き抜いた。すると、彼女の中からどろりと白濁したものが溢れ出てくる。それにうっすらと紅色が混じっていることに、ルドルフは微かに笑みを零す。
「もう、痛くはないだろう?」
「え、あ。はい」
「先ほど、薬を飲ませたからな。さて、お前に選択肢を与えてやる」
「な、何をですか?」
「後ろからと横から。どっちがいい?」
 アルベティーナは、彼が何を言っているのかがさっぱりわからなかった。だが、徐々に立ち上がりつつある彼の男根を目にし、繋がり方を尋ねているのではないかというところまで、考えが行きついた。
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