隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~

澤谷弥(さわたに わたる)

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 くちゅくちゅと、激しい水音が聞こえてくるのは、目の前のルドルフが激しくアルベティーナの唇を貪っているからだ。唇を食み、舌を絡め、彼女の全てを味わい尽くすかのように。気付けば、がっしりと両頬をルドルフの大きくて骨ばった手によって包まれていた。
 どのくらいお互いが貪り合っていたのかは知らない。寝台の上で横たわっているアルベティーナには逃げる術などがなく、ルドルフがその行為をやめてくれるまではそれを受け止めていた。
 重なり合った唇が離れると、「くそっ……」と悔しそうに呟くルドルフ。
 アルベティーナはすでに息があがって頬も火照り、身体中に熱を溜め込んでいた。
「アルベティーナ」
 また、ルドルフに見下ろされてしまう。彼は右手の人差し指で、彼女の頬をつつっと撫であげる。
 ふるり、とアルベティーナの身体は震えた。それはけして寒いからではない。身体の奥がきゅんと疼き、敏感なところをじわっと湿らせるからだ。
「まだ、動くことはできなさそうだな……。ったく、新しい薬を使いやがったな。くそったれが」
 一度、イかせてやる。とルドルフの声が聞こえたような気がした。
(どこに……)
 そう問いたかったのに、それは言葉にはならない。
 ルドルフの手はアルベティーナのドレスの胸元に伸びてきた。そこをずるりと下げれば、女性らしい胸が露わになる。熱い身体が外気に触れ、その心地よさに思わずアルベティーナは目を細めた。
「お前、感じているんだな……。薬のせいかもしれないが。ここもこんなに尖らせやがって。可愛い奴だな」
「ひっ、ん……」
 今まで感じた事のない刺激に、アルベティーナの腰は浮いた。ルドルフが、彼女の左胸をパクリと口の中に含んでいた。さらに右胸は彼の手で優しく包み込まれている。先端の敏感な部分を、舌と指で刺激されてしまえば、身体中にかっと熱が走り抜けていく。
「ひぁ、ン、……ぁあっ……」
 もはや自分の身体にどのような変化が起きているのかなど、アルベティーナにはわからなかった。ただ、ルドルフからされている行為が気持ち良くて、だけどその行為を気持ちいいと思っていることが恥ずかしいという思いもある。
「いゃっ……」
 不安になって彼の首に両手を回すアルベティーナ。だが、彼の手は胸元から腹部、腰、太腿と撫で、ドレスの裾をたくし上げてくる。
 なんて破廉恥な恰好をしているのか。両の胸はぶるんとドレスの外に出ており、存在を主張している果実のような乳首。そして今、ドレスは腹の上まであげられてしまい、下着が露わになっていた。左足には護身用の短剣のためにレッグホルスターが巻き付けてあり、それがカチャっと音を立てる。
 下着の上からルドルフの手によって、割れ目をそっと撫でられた。また無意識のうちに腰が浮いてしまう。
「やはり、濡れているな……」
 それを彼に知られてしまったことが恥ずかしいことであるはずなのに、その気持ちとは裏腹に身体が喜んでいることにアルベティーナは気付いた。
「安心しろ。まだ、挿れたりはしない。お前には、もうしばらく純潔のままでいてもらう必要があるからな」
 ルドルフが何を言っているのか、アルベティーナにはそれを判断する思考は残っていなかった。早くこの熱と疼きから解放されたくて、恥ずかしいと思いながらも、彼が与えてくれる快感に身を任せるしかなかった。
 アルベティーナが彼の首元に回していた手は、ルドルフによってゆっくりと解かれてしまう。彼の首から外されてしまった彼女の手は行き場を失った。
「辛かったら、シーツでも掴んでいろ」
「あぅ……っ」
 辛いのはルドルフに触れることができないからだ。彼と離れてしまったことが寂しい。それでも素直にルドルフの言うことを聞いて、身体の脇に置いた手でぎゅっとシーツを掴んだ。
 彼の手がドレスの下から腰に伸びてきて、するりと下着を剥ぎ取った。恐らく彼女も、彼が下着を奪いやすいように身をよじったに違いないが、それすら無意識によるものだ。
 ルドルフの手が膝にかけられて、無理矢理足を大きく開かれた。一体彼は、何をしようとしているのか。
 口から心臓が飛び出しそうなほど、アルベティーナの胸は痛いほどに高鳴っている。
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