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社交界デビューを果たしたアルベティーナであるが、王都に長期滞在するようなことは無かった。どうしても出席が必要とされる王家主催の舞踏会と、その付近で開催される付き合いのあるお茶会に出席するために、王都に足を運び数日間滞在することはあった。だが、それ以外は領地で普段と変わらぬ生活を送る。
それでもアルベティーナの噂は一人歩きし始め、彼女が別邸にいないとわかると、ヘドマン伯の本邸の方にも男性からの手紙や贈り物が届くようになっていた。
「みんな、暇なのかしら?」
お断りの手紙を書きながら、アルベティーナは言葉をこぼす。あの社交界デビューを果たしてから、彼女の仕事となったのが、この届いた手紙に対して返事を書くことだった。
「そうね、あなたに婚約者がいないからだわ」
アンヌッカはそのように言うが、その通りであるため反論もできない。
だが、断り続けていると、相手も諦めを覚えるのか、社交界デビューをしてから一年も経てばその数も減ってきた。というのも、どうやら別な噂が流れ始めたからのようである。
噂は噂と割り切っているアルベティーナ。そして、両親もけしていい顔はしていないが、それを受け流すだけの余裕もまだあった。むしろ、その噂がある方が、都合がいいとさえ思っている二人。
そして、そんな噂が世に広まっている中。下の兄セヴェリが久しぶりの長期休暇を取ることができたため、このヘドマン領へと戻ってきたのだ。アルベティーナがセヴェリと会うのも一年近くぶりのこと。デビュタントで会ってから、その次の年にも一回あっただけ。それだけセヴェリの騎士の仕事が忙しいのと、アルベティーナが王都に足を運ばなかったのと。理由は双方にある。
「ああ、ティーナ。久しぶりだ。元気だったか?」
再会して早々、アルベティーナは暑苦しい兄から暑苦しい抱擁を受けた。
(セヴェリお兄さまったら、年々、お父さまに似てきたような気がするわ)
それは容姿だけでなく、この暑苦しさも含まれる。
「今日は、どうしたんだ?」
セヴェリの突然の帰郷に、コンラードは眉根を寄せた。彼らの二人のどちらかが戻ってくるときは、大抵いい話をもってこないからだ。
「そうそう。父上。ティーナのことですよ。王都で流れている噂。ご存知ですか?」
ソファにゆったりと腰をおろしながらセヴェリが尋ねる。
「ああ。知っている」
「知っていて放っておかれるのですか?」
「そうだ。変な虫が寄ってこなくて、助かっている」
父親の声を聞いたセヴェリは頭を抱えて項垂れた。
父親と母親の間に挟まれながらちょこんと座っているアルベティーナであるが、いつの間にかお茶とお菓子の準備が滞りなく整っていたため、すぐさまお菓子に手を伸ばす。
「ヘドマン辺境伯令嬢アルベティーナは、私兵団に交じって暴れている『強暴姫』だ。そんな風に呼ばれているんですよ」
「まぁ」
と大げさに声を上げたのはアルベティーナ本人だった。ゴクンと口の中に入っていたお菓子を飲み込む。
「そのような噂が立っているのですか? 私、全然知りませんでした。お父さまもお母さまも、何もおっしゃってくださいませんでしたから」
「噂は噂だ」
コンラードが荒々しく言葉を放つ。
「ですが。なぜ、私が『強暴姫』だなんて。どうしてそんなかっこいい二つ名がついたのでしょうか」
どうやら『強暴姫』は、アルベティーナにとっては褒め言葉のようだった。
「な。セヴェリ。ティーナはこういう娘なのだ。それに、先ほどもいったように変な虫が一斉に飛び立ってくれて、やっと静かになったところなんだ」
「ですが、父上。『強暴姫』だなんて言われていたら、ティーナの嫁の貰い手が無くなってしまうではないですか」
「まあ。そのときはいろいろと考えてあるから、な」
コンラードは、意味ありげに息子をじろっと睨んだ。その様子を、アルベティーナは次の焼き菓子を口の中に放り込んで眺めている。
「それで。お兄さまはわざわざ、私にその二つ名を教えてくださるために王都から戻ってこられたのですか?」
紅茶をコクンと飲みお菓子を流し込んでから、目の前のセヴェリを見つめた。
「違う、違う。久しぶりに休暇が取れたんだ。それから、ティーナには別な話を持ってきた」
「縁談でしたらお断りです」
と間に入ったのは、母親であるアンヌッカだ。
「違います、母上。縁談ではありません」
「でしたら、どのような用事ですか」
珍しくあのアンヌッカが身を乗り出した。それはアルベティーナの噂と縁談のことを一番気にしている人物だからだろう。
「まあ、これを言えば。母上は卒倒されるかもしれませんが」
どうやらアンヌッカが倒れる前提の話題らしい。
「王国騎士団では、やっと女性騎士を採用することになったのですよ」
セヴェリがそのようなことを口にした通り、現在の王国騎士団に所属する騎士たちは男性のみである。女性王族や要人の警護でさえ男性がつく。だから、いやたまに、それよりもときどき、ちょっとした問題が起こる。ちょっとどころでない問題が起こることもある。
「それで、その王国騎士団の女性騎士に……」
それでもアルベティーナの噂は一人歩きし始め、彼女が別邸にいないとわかると、ヘドマン伯の本邸の方にも男性からの手紙や贈り物が届くようになっていた。
「みんな、暇なのかしら?」
お断りの手紙を書きながら、アルベティーナは言葉をこぼす。あの社交界デビューを果たしてから、彼女の仕事となったのが、この届いた手紙に対して返事を書くことだった。
「そうね、あなたに婚約者がいないからだわ」
アンヌッカはそのように言うが、その通りであるため反論もできない。
だが、断り続けていると、相手も諦めを覚えるのか、社交界デビューをしてから一年も経てばその数も減ってきた。というのも、どうやら別な噂が流れ始めたからのようである。
噂は噂と割り切っているアルベティーナ。そして、両親もけしていい顔はしていないが、それを受け流すだけの余裕もまだあった。むしろ、その噂がある方が、都合がいいとさえ思っている二人。
そして、そんな噂が世に広まっている中。下の兄セヴェリが久しぶりの長期休暇を取ることができたため、このヘドマン領へと戻ってきたのだ。アルベティーナがセヴェリと会うのも一年近くぶりのこと。デビュタントで会ってから、その次の年にも一回あっただけ。それだけセヴェリの騎士の仕事が忙しいのと、アルベティーナが王都に足を運ばなかったのと。理由は双方にある。
「ああ、ティーナ。久しぶりだ。元気だったか?」
再会して早々、アルベティーナは暑苦しい兄から暑苦しい抱擁を受けた。
(セヴェリお兄さまったら、年々、お父さまに似てきたような気がするわ)
それは容姿だけでなく、この暑苦しさも含まれる。
「今日は、どうしたんだ?」
セヴェリの突然の帰郷に、コンラードは眉根を寄せた。彼らの二人のどちらかが戻ってくるときは、大抵いい話をもってこないからだ。
「そうそう。父上。ティーナのことですよ。王都で流れている噂。ご存知ですか?」
ソファにゆったりと腰をおろしながらセヴェリが尋ねる。
「ああ。知っている」
「知っていて放っておかれるのですか?」
「そうだ。変な虫が寄ってこなくて、助かっている」
父親の声を聞いたセヴェリは頭を抱えて項垂れた。
父親と母親の間に挟まれながらちょこんと座っているアルベティーナであるが、いつの間にかお茶とお菓子の準備が滞りなく整っていたため、すぐさまお菓子に手を伸ばす。
「ヘドマン辺境伯令嬢アルベティーナは、私兵団に交じって暴れている『強暴姫』だ。そんな風に呼ばれているんですよ」
「まぁ」
と大げさに声を上げたのはアルベティーナ本人だった。ゴクンと口の中に入っていたお菓子を飲み込む。
「そのような噂が立っているのですか? 私、全然知りませんでした。お父さまもお母さまも、何もおっしゃってくださいませんでしたから」
「噂は噂だ」
コンラードが荒々しく言葉を放つ。
「ですが。なぜ、私が『強暴姫』だなんて。どうしてそんなかっこいい二つ名がついたのでしょうか」
どうやら『強暴姫』は、アルベティーナにとっては褒め言葉のようだった。
「な。セヴェリ。ティーナはこういう娘なのだ。それに、先ほどもいったように変な虫が一斉に飛び立ってくれて、やっと静かになったところなんだ」
「ですが、父上。『強暴姫』だなんて言われていたら、ティーナの嫁の貰い手が無くなってしまうではないですか」
「まあ。そのときはいろいろと考えてあるから、な」
コンラードは、意味ありげに息子をじろっと睨んだ。その様子を、アルベティーナは次の焼き菓子を口の中に放り込んで眺めている。
「それで。お兄さまはわざわざ、私にその二つ名を教えてくださるために王都から戻ってこられたのですか?」
紅茶をコクンと飲みお菓子を流し込んでから、目の前のセヴェリを見つめた。
「違う、違う。久しぶりに休暇が取れたんだ。それから、ティーナには別な話を持ってきた」
「縁談でしたらお断りです」
と間に入ったのは、母親であるアンヌッカだ。
「違います、母上。縁談ではありません」
「でしたら、どのような用事ですか」
珍しくあのアンヌッカが身を乗り出した。それはアルベティーナの噂と縁談のことを一番気にしている人物だからだろう。
「まあ、これを言えば。母上は卒倒されるかもしれませんが」
どうやらアンヌッカが倒れる前提の話題らしい。
「王国騎士団では、やっと女性騎士を採用することになったのですよ」
セヴェリがそのようなことを口にした通り、現在の王国騎士団に所属する騎士たちは男性のみである。女性王族や要人の警護でさえ男性がつく。だから、いやたまに、それよりもときどき、ちょっとした問題が起こる。ちょっとどころでない問題が起こることもある。
「それで、その王国騎士団の女性騎士に……」
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