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25.よくお認めになりましたね(2)

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「とりあえず。レインと引き離すためには、トラヴィスを遠征にやるのが一番いいな」

「行ってくれますかね? だだでさえ、結婚の休暇が短縮されて、めちゃくちゃ怒っているのに」

「行ってくれるように根回しするしかないだろ?」

「できますか?」

「むしろ、そのためにお前がここへ来たんだろ?」

 なぜかドニエルにはニヤリと笑うライトが不敵に見える。

「なあ、ドニエル。魔導士団にはあの三姉妹がいただろ」
 ライトが言う三姉妹。名前は確か。
「ああ、アイマイミーですね」
 長女がアイラ、二女がマイナ、三女がミイク。語呂がいいため、三姉妹は、まとめてアイマイミーと呼ばれている。
 三女が今年魔導士団へ入団したはず。となれば、レインとは同期入団になる。

「彼女たちも、レインさんのことは気にしていますよ。特にアイラは、やはり三姉妹の長女ということだけあって、面倒見もいいですからね」

「トラヴィスは遠征にやれ。三姉妹は、こちらへ残せ。その隙にレインを魔導士団へ復帰させてやるから。それからとりあえず、今日はトラヴィスを家に帰すな」

「それは……。今すぐにでも帰りたそうなのに、難しいと思いますが。仕事だけはたくさんあるので、それでなんとかしてみます」

「頼んだ」
 そこでライトはお茶を飲み干した。その頭の中はぐるぐるといろんな思いが漂っていた。

 ライトはドニエルを見送ると、その足でイーガン家の屋敷へと向かった。出迎えてくれたのはこの家の執事で、ライトの顔を見ると少し怯えたような表情を浮かべてから、笑顔を浮かべた。

「ただいま、奥様を呼んでまいりますので、こちらでお待ちください」

 ライトがこの屋敷を訪れるのは何年ぶりだろうか。あのときはもっと寂しい雰囲気が漂っていた。今日は、少し明るさを感じる。

「お兄様、今日はどうされたのですか?」
 驚きと喜びを浮かべたレインがやってきた。彼女の後ろにはピッタリとマレリアが張り付いていて、白い視線を投げてきた。
 レインは首元をストールで覆っている。動きやすそうな服ではあるが、落ち着いた色合いのドレス。

「ちょっとお前のことが気になってな。会いたくなった」
 ドニエルからあんな話を聞かされたら、気になることしかない。
 そっとマレリアがお茶を置いた。だけど、漂っているオーラが怖い。

「悪いがマレリア。君からも聞きたいことがあるから、その、一緒にいてくれないか」
 マレリアは黙って、うながされるままにソファに座った。レインにピタリと。彼女を守るように。
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