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15.美味しくなさそうね(2)
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ニコラの突然の帰宅と、突然の来客にも黙って対応する優秀な使用人たちによって、彼らの寝泊まりする部屋は確保されたわけだが。
トラヴィスは書斎のソファに深く座って、ベイジルの資料をじっと眺めていた。まったくもって、わからん。
「飲むか?」
とライトが差し出したのは、そう、お酒だ。そういえば、今日は飲み明かそうと言っていたような気がするのだが。
「飲む」
トラヴィスは答えた。
「これらの資料を探すだけだって、俺は二月もかかったんだ。そんな簡単に解読なんかできないだろ」
酒を注ぎながらライトが言った。
「そうだな」
トラヴィスは顔の高さまであげたグラスを、ライトのそれにカツンとあてる。
「なんか、わかったか?」
ライトはトラヴィスが眺めていた資料を覗き込む。
「いや、全然。まったくもって、何もわからん。ライトのほうは?」
「俺もさっぱり、わからん」
そこでライトはグラスをくいっと傾けた。喉に熱い液体が流れ込んでいく。
熱くなる身体だが、頭はなぜかすっきりとしてくる。
「これは一日二日で解読できるような内容ではないな」
パサリと資料をテーブルの上に投げ出した。
「ところでライト。このベイジル様の資料はどうするつもりだ?」
「それは俺も考えてる。義母の許可が出たら、論文の方は禁書庫に預けるつもりだ。だがこっちは、この屋敷から出すつもりはないな」
「そうだな」
そこでトラヴィスもパサリと資料をテーブルの上に投げ出した。
「あー、トラヴィス。覚えているよな、お前。約束は半年だからな」
「何がだ」
「半年経っても、レインの魔力を戻す方法を見つけられなかったなら、お前とレインの婚約は解消。すでに約束の日から二月経っているから、残り四月だな」
そこでまたライトはグラスを傾けた。
「この期に及んで、まだそんなことを言うのか?」
「この期だろうがどの期だろうが、約束は約束だ。それに、仮に万が一のことがあったとき用のお前のためでもある」
「万が一って……」
その万が一の言葉を確認したくないがために、トラヴィスも酒を呷った。そうならないためにも、何が何でもこの資料を解読しなければならない。
わかってはいるのだが――。
トラヴィスは書斎のソファに深く座って、ベイジルの資料をじっと眺めていた。まったくもって、わからん。
「飲むか?」
とライトが差し出したのは、そう、お酒だ。そういえば、今日は飲み明かそうと言っていたような気がするのだが。
「飲む」
トラヴィスは答えた。
「これらの資料を探すだけだって、俺は二月もかかったんだ。そんな簡単に解読なんかできないだろ」
酒を注ぎながらライトが言った。
「そうだな」
トラヴィスは顔の高さまであげたグラスを、ライトのそれにカツンとあてる。
「なんか、わかったか?」
ライトはトラヴィスが眺めていた資料を覗き込む。
「いや、全然。まったくもって、何もわからん。ライトのほうは?」
「俺もさっぱり、わからん」
そこでライトはグラスをくいっと傾けた。喉に熱い液体が流れ込んでいく。
熱くなる身体だが、頭はなぜかすっきりとしてくる。
「これは一日二日で解読できるような内容ではないな」
パサリと資料をテーブルの上に投げ出した。
「ところでライト。このベイジル様の資料はどうするつもりだ?」
「それは俺も考えてる。義母の許可が出たら、論文の方は禁書庫に預けるつもりだ。だがこっちは、この屋敷から出すつもりはないな」
「そうだな」
そこでトラヴィスもパサリと資料をテーブルの上に投げ出した。
「あー、トラヴィス。覚えているよな、お前。約束は半年だからな」
「何がだ」
「半年経っても、レインの魔力を戻す方法を見つけられなかったなら、お前とレインの婚約は解消。すでに約束の日から二月経っているから、残り四月だな」
そこでまたライトはグラスを傾けた。
「この期に及んで、まだそんなことを言うのか?」
「この期だろうがどの期だろうが、約束は約束だ。それに、仮に万が一のことがあったとき用のお前のためでもある」
「万が一って……」
その万が一の言葉を確認したくないがために、トラヴィスも酒を呷った。そうならないためにも、何が何でもこの資料を解読しなければならない。
わかってはいるのだが――。
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