聖女さま、団長とまぐわっていただけませんか?

澤谷弥(さわたに わたる)

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団長(5)*

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 彼女の腰を掴み、先端を秘孔にあてがった。

「すぐに入りそうだ」

 くちゅりと音を立て、襞肉を広げるように中へと入る。

「あっ、んんっ」

 一番狭い場所を抜けても、膣襞はニールの肉棒に絡みついてくる。
 ゆっくりと腰を進めると、背中に回っている彼女の手に力が込められていく。

「あぁ。お前の中が気持ちよすぎて、すぐに出そうだ」
「早漏。そんなんで、私を満足させられると、思っているの?」

 きゅっと締め付けられた。わざとだ。彼女は今、意図的に締め付けた。

「くっ。早くても回数はこなせるからな。お前がやめてくれと叫ぶまで、ここをぐちゃぐちゃにしてやる」
「え?」

 アズサの顔には困惑の色が広がる。強気になったかと思えば、弱気になる。こういった行為に慣れているのかと思えば、恥じらう。互いに主導を握り、握られるこの関係が、たまらなくニールを興奮へと導く。

「あぁっ。お前の中は正直だな。俺を離したくないと、絡みついてくる」

 腰がとろけそうなほどの快楽に包まれた。気を抜けば、彼女にすべてを奪われそうになるくらい、気持ちがいい。
 ゆっくりゆっくりと腰を前後に動かすと、それに合わせてアズサの腰も動く。

「お前も気持ちがいいんだろう? 俺の動きに合わせて、お前が腰を押し付けてくる」
「ち、ちがっ」

 たまらなく可愛い。慌てる姿も、恥じらう姿も、そして人を童貞、早漏と罵る姿も。

「アズサ、愛してる」

 動きを止め、彼女に覆いかぶさるようにして唇を重ねる。出そうなところを寸でのところで我慢し、唇を求めた。
 それでも彼女の腰は小刻みに動き、ニールの抽挿を促す。襞の一つ一つが、肉茎を絡めとる。

「はぁっ」

 どちらのものとも言えない熱い吐息が漏れた。身体が軋むほど互いに強く抱き寄せ、求め合う。
 ニールの腰も小刻みに動き、奥をとんとんとたたき付けた。その動きがもどかしいのか、彼女も腰を不規則に動かしている。

「アズサ……。お前の中に、俺を放ってもいいか?」

 荒く息を吐いている彼女だが、驚いたかのように瞳を大きく開けてきた。

「え……。ひ、避妊、して……」
「俺は、お前との子が欲しい……」

 ちゅっと額に唇を落とす。

「お前は、俺との子は望まないか?」
「そ、それは……。んっ……」
「まぁ、いい。今は、あきらめる……」

 ニールの動きの速度が増す。肌と肌がぶつかる打擲音がするたびに、彼女の身体もずんずんと揺れる。

「やっ……、あっ……、ん、ん……」

 アズサの声も甘さと艶が増す。だが、ニールにはそれすら耳にする余裕もない。

「あ、あぁ……」

 今までよりも高い声を漏らした彼女は、先に高みに達した。
 ギリリと背中の皮膚に引き連れるような痛みが走った。だが、熱い切先は、彼女の泥濘がまとわりついて、きつく締め上げる。

「……うぅっ……」

 突き入れた彼女の中で、己を解放しそうになった瞬間、するっと引き抜いた。
 白濁した液を、彼女の腹の上にぶちまける。
 肩を上下させ、大きく息をする。
 見てはいけないものを見てしまったとでも言うかのように、彼女の目がぎろりとこちらを見つめていた。
 二人の熱がこもる部屋で、情交の匂いが立ち込める。
 しっとりと汗ばんだ肌。荒い息遣い。絡み合う視線。言葉にしなくても伝わる想い。

「俺によって汚れるお前を見るのも、興奮するな」

 その興奮をぶちまけたばかりなのに、身体の奥から再び熱がこもり始める。
 胸をゆっくりと上下させているアズサは、まだ絶頂の世界から戻ってきていないのか、ただこちらを見ているだけ。

「アズサ……。お前は俺で満たして欲しかったんだよな。これで満たされたのか? やはり、お前の中に俺をぶちまけたほうがいいのではないか?」

 そう言った彼は、アズサに向かって手を伸ばし、しっとりと額に張りついている前髪を払いのける。

「なぁ? お前は俺の子を望まないのか?」

 ふふっと、鼻で笑う声が聞こえた。

「あなた。何をそんなに焦っているの? そんなに子供が欲しいの?」
「ああ、欲しいね。俺とアズサの愛の結晶だ」
「あなたって、見かけによらず意外とロマンチストなのね。もっと現実主義かと思っていたわ」
「現実的だろう? だが、お前がそれを望まないのであれば、仕方ないな」

 そこでアズサは首を横に振る。

「望まないわけではない。ただ、『今は』望まないだけ」
「今は?」

 ニールは眉間に力を込めた。その言葉は何を意味するのか。

「どういう、意味だ?」
「知らない。自分で考えなさいよ」

 ふん、と彼女はそっぽを向いてしまった。その仕草が、子供っぽく見える。
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