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部下(2)
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「それでは、団長が死んでしまうのです。ですから、どうか、聖女さま。団長とまぐわっていただけないでしょうか」
魔物の毒素に侵されているニールは、激しい興奮状態に陥っていた。
その状態が続けば、死に至る。そう、死に至る病である。
魔物の毒素を受けた場合、適切な処理をしなければ死んでしまうのだ。その適切な処置というのが、男女の体液を交わらせる行為である。と、ミロは聖女に説明をした。
適切な処置も魔物によって異なるが、今回の処置方法がたまたま男女の交わりなのである。そう、たまたまなのだ。
実際、ニールは興奮状態に陥っているし、暴れていた。それを魔導士団の人間五人で取り押さえ、拘束した。拘束さえしてしまえばこっちのもんである。多分。
そして、今回の魔物の毒素を抜くために必要なのは、男女の体液の交わりである。
しかし、ニールの交わり可能な相手は聖女しかいない。むしろ聖女の相手もニールしかいない。
だって、ちょっと偉い人が気づいてしまったのだ。この二人の相手はお互いにお互いしかいないということに。
本当にどうにかしてほしい。聖女にニールの相手を拒まれたら、死んでしまうのはミロのほうである。
聖女がまぐわい――いや体液の交わりを拒み、ニールを死なせたとなったら、彼に最も近い部下であるミロがお偉いさんから攻められるのが目に見えていた。
お前も死をもって償えと、言われるかもしれない。
お願いします、聖女さま。助けてください。どうか、団長と僕を救ってください。
そう願っていたら、自然と涙が零れた。
あの上司は、聖女のことを気に入っている。そして、魔物の毒素を受けたことを逆手にとり、彼女を手籠めにしようとしている。
むっつりスケベもいいところだ。童貞のくせに。いや、この際童貞はどうでもいい。
なぜ、さっさと気持ちを伝えないのか、ミロにはわからない。
「わかりました。アンヒム団長を、助けます」
彼女は澄んだ声でそう言った。それを聞いたミロは心の中で聖女に感謝と謝罪をした。
だが、聖女をニールのところにまで連れていくためには、いろいろと根回しをする必要があった。なぜなら、彼女が聖女だからだ。聖女が魔導士団長を救うとなれば、お偉いさんの中では大イベントである。特にあの国王は両手をあげて喜んでいるに違いない。
そして、このいろいろなところへの根回しもミロの仕事でもあった。
必要な手続きを終わらせた後、聖女をニールの部屋にまで連れて行った。
「ミロさん。あとは、私のほうでなんとかしますので」
聖女がそう言ったときは、女神だと思った。いや、彼女は聖女だ。
「聖女さま。ありがとうございます。なにとぞ、団長を、団長をよろしくお願いします」
これはミロの本心である。
あのニールをなんとかできるのは聖女しかいない。むしろそのまま躾て、飼い慣らして欲しい。
彼は上司を聖女に託したのだった。むしろ、まるっと丸投げしたのである――。
魔物の毒素に侵されているニールは、激しい興奮状態に陥っていた。
その状態が続けば、死に至る。そう、死に至る病である。
魔物の毒素を受けた場合、適切な処理をしなければ死んでしまうのだ。その適切な処置というのが、男女の体液を交わらせる行為である。と、ミロは聖女に説明をした。
適切な処置も魔物によって異なるが、今回の処置方法がたまたま男女の交わりなのである。そう、たまたまなのだ。
実際、ニールは興奮状態に陥っているし、暴れていた。それを魔導士団の人間五人で取り押さえ、拘束した。拘束さえしてしまえばこっちのもんである。多分。
そして、今回の魔物の毒素を抜くために必要なのは、男女の体液の交わりである。
しかし、ニールの交わり可能な相手は聖女しかいない。むしろ聖女の相手もニールしかいない。
だって、ちょっと偉い人が気づいてしまったのだ。この二人の相手はお互いにお互いしかいないということに。
本当にどうにかしてほしい。聖女にニールの相手を拒まれたら、死んでしまうのはミロのほうである。
聖女がまぐわい――いや体液の交わりを拒み、ニールを死なせたとなったら、彼に最も近い部下であるミロがお偉いさんから攻められるのが目に見えていた。
お前も死をもって償えと、言われるかもしれない。
お願いします、聖女さま。助けてください。どうか、団長と僕を救ってください。
そう願っていたら、自然と涙が零れた。
あの上司は、聖女のことを気に入っている。そして、魔物の毒素を受けたことを逆手にとり、彼女を手籠めにしようとしている。
むっつりスケベもいいところだ。童貞のくせに。いや、この際童貞はどうでもいい。
なぜ、さっさと気持ちを伝えないのか、ミロにはわからない。
「わかりました。アンヒム団長を、助けます」
彼女は澄んだ声でそう言った。それを聞いたミロは心の中で聖女に感謝と謝罪をした。
だが、聖女をニールのところにまで連れていくためには、いろいろと根回しをする必要があった。なぜなら、彼女が聖女だからだ。聖女が魔導士団長を救うとなれば、お偉いさんの中では大イベントである。特にあの国王は両手をあげて喜んでいるに違いない。
そして、このいろいろなところへの根回しもミロの仕事でもあった。
必要な手続きを終わらせた後、聖女をニールの部屋にまで連れて行った。
「ミロさん。あとは、私のほうでなんとかしますので」
聖女がそう言ったときは、女神だと思った。いや、彼女は聖女だ。
「聖女さま。ありがとうございます。なにとぞ、団長を、団長をよろしくお願いします」
これはミロの本心である。
あのニールをなんとかできるのは聖女しかいない。むしろそのまま躾て、飼い慣らして欲しい。
彼は上司を聖女に託したのだった。むしろ、まるっと丸投げしたのである――。
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