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聖女(9)*

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「アズサ……」

 ニールの熱のこもった瞳と、目が合った。彼は視線を捉えたまま、アズサに深く口づける。

(ちょ、ま、ま、待って……。この人、キスが上手すぎるんだって……)

 穏やかになった波が、再び荒波となる。

「あっ……、ん、っ……」

 また彼の舌によって翻弄される。感じるキスとはまさしくこれだろう。
 下腹部がぐずぐずに疼き、膣の奥がきゅんきゅんし出す。
 唾液の絡まる淫らな音が、さらに期待と感度を高めていく。

 彼は、アズサの唇を食べてしまうのではないかというほど激しく、貪りついてきた。

「はっ……、ん、んっ……」

 あまりにも深く、呼吸のタイミングすらつかめない。彼の口づけから逃れるように顔を振ると、それに追従する形で塞がれる。

 腹には、彼の熱くたぎる肉棒がひたひたと触れていた。

「ん、んふぅっ……」

 息ができなくて、頭がぼんやりとし始めた。抵抗する気力もなく、全身からふわっと力が抜けていく。足を閉じたいのに、閉じることはできない。その間にしっかりとニールの身体があるのだ。
 やっと彼が顔を引くと、二人をつなぐ透明な糸がつぷりと途切れる。

「アズサが美味しい」

 彼は唇をぺろりと舐めて、見下ろしている。
 アズサはだらしなく手足を投げ出し、胸を上下させながらとろんとした瞳で彼を見つめていた。

「俺のものを、アズサにいれたら、どうなるのだろうか……」

 彼は自身の欲棒に手を添え、うっとりとしている。
 アズサも、あのようなファンタジーを入れられたら、どうなるかがわからない。

「アズサは小さいからなぁ。もう少し、広げてからのほうがいいよな?」

 とろけるような彼女の視線が、ぎょっと緊張を帯びた。つい彼の長い指に目を向けてしまう。
 アズサはニールの手が好きだった。魔導士という職のためか、彼の手には騎士たちのように手のひらがごつごつとしていない。ただ、ペンを持つ右手にだけペンだこがあるのを知っている。爪の先まで磨かれているその手に、つい目を奪われたものだった。

 その手がアズサのほうに伸びてきて、優しく頬を撫でる。

「緊張しているのか?」

 時折見せる彼の優しさに、いつも翻弄される。

「地獄に落ちろ、この野郎」と、仕事で顔を合わせるたびに心の中で苛立つのに、それ以外の場所で会う時は、このような柔らかな笑みを向けてくるのがニールなのだ。

(悔しい……)

「唇を噛むな」

 そのまま、アズサが好きな指を口の中に入れてきた。

「俺のもの、しゃぶるのが好きなんだろう?」
「んっ……」

 口を封じられ、鼻から声が抜けていく。

「アズサに指を舐められただけで、また屹ってきた……」
「ん、ふっ……」

 彼の指を舐めているだけなのに、それは甘く、身体の奥から痺れが沸き起こる。
 ニールの視線はアズサの胸に狙いをさだめていた。空いているほうの手で胸の膨らみをたぷたぷと堪能して大きく包む。彼の指の隙間からは、あまった乳房がはみ出ており、淫らに形をかえた。

 痛くもあるが、むず痒くもある。口の中いっぱいに彼の指があるため、声も出せないもどかしさがある。
 もしや、これも先ほど彼にした仕打ちの再現なのだろうか。声が出せない状況でイかせられる。

 胸元から顔をあげたニールと目が合う。すっと、口の中から指が抜かれた。

「これ以上続けると、俺の指がふやけそうだからな」
 満たしていたものがなくなると、途端に寂しくなる。彼の頭の後ろに手を添えると、顔を引き寄せて、キスを強請る。
「んっ……」

 濡れた乳首に外気が触れ、刺激を受けた。

 湿った彼の手は、脇腹を撫であげてから、足の間に滑り込んだ。黒い茂みは手のひらで覆われ、指で陰唇の周りを撫でられた。

「ん、ふぅ……」

 自ら望んだキスであるのに、声が出せなくて苦しくなる。
 くちゅくちゅと粘り気のある音が聞こえるのは、唇からなのか下からなのかもわからない。

 淫猥な香りと淫らな音が、二人だけの空間に漂い、響く。

「はぁ、あぁっ」

 ニールの唇は位置を変えていく。アズサの顔のすべてを舐め尽くすかのように、瞼、鼻、耳、顎、最後に額に唇を落とした。

「アズサ」
「んっ」

 熱のこもった声で名を呼ばれるのも、悪くない。

「お前と一つになりたい」
「もし、私が断ったら?」
「俺は死ぬ」

 アズサは大きく広げた両手を、彼の背に回す。

「ニール。私はあなたを死なせたくない。一緒に生きてほしい」

 くぐっと秘唇に圧がかかり、濡れた性器同士が擦れると、ぬちゅぬちゅと厭らしい音が聞こえた。
 彼の先端が周囲をぬめぬめっと撫でまわし、敏感な突起に触れていく。わざとなのか、初めてだからなのかはわからない。
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