上 下
20 / 44
弟の身代わりに

7.

しおりを挟む
 ヨハンナが連れてこられた場所は、ユルゲンの執務室だった。あの会場から一番近いユルゲンが自由に使える個室だ。しっかりと扉には鍵をかける。

「おい、ヨアヒム。大丈夫か? 一体、どのような薬なんだ? 解毒剤が必要か?」

「……ん、恐らく、媚薬……、かと……」
 ヨハンナの身体も徐々に熱を帯びてきた。まさかここまでの即効性の薬であるとは思っていなかった。

「……すいません、お水を……いただけませんか?」
 少しでも体内にある薬の濃度を薄めたいという思いがあったのだが、たかがコップ一杯の水で何が変わるのか。気休めかもしれない。

「奥に、俺が使っている仮眠用のベッドがある」

 渡されたグラスを受け取ったヨハンナは一口それを飲んだが、それ以上飲むのはもう無理だった。

「す、すいま、せん……」
 飲みかけのグラスをユルゲンに手渡すと、よろよろと奥の部屋へと向かおうとする。それを見かねたユルゲンは、またヨハンナをふわりと抱き上げた。

「この方が早いだろう」
 ユルゲンの言っていることは正しいのだが、他人に触れられてしまうと身体がさらに熱を帯びる。そっと、寝台の上におろされた。
「あと、どうしたらいい?」
 ユルゲンは不安そうにヨハンナを見下ろすと、そう尋ねていた。ユルゲンを庇って薬入りの飲み物を飲んだ哀れな従騎士に責任を感じているのだろう。

「あ、あの……、その、ドレスの、背中を、ゆるめて……」
 全てを言い終わらないうちに、ユルゲンの手がヨハンナの背に伸びた。
「この女性のドレスというものは、複雑な作りをしているのだな」
 器用に後ろの鉤を外していく。コルセットはつけておらず、布製の下着が見えた。

「前も苦しいだろう。その、俺のためにいろいろと詰めてあるんだろう?」

 頭がぼんやりとしてきたヨハンナは「自前です」と答えることもできず、ただ熱く息を吐きだすだけだった。
 その表情にドキリとしたのはユルゲン自身。相手は男だ、と言い聞かせる。だが、ヨアヒムの上気している顔を見ると、なぜか胸の奥がずくずくと痛み、下半身に熱が集まっていくのを感じた。

「はぁ……、はぁ……」
 露わになった背中を大きく震わせながら、ヨハンナは苦しそうに息を吐いていた。

「苦しそうだから、前も開けるぞ」
 ユルゲンはそう言い訳をして、ドレスを肩からするりとおろし、下着姿にする。詰め物もとるべきだろうと、下着の下に手を入れるとなぜか柔らかいものに触れた。

「……んっ、くっ……」
 ユルゲンが触れた途端、ヨハンナからは艶やかな声が漏れた。それを耳にしたユルゲンの下半身には再び熱が溜まる。と、同時に、今、何に触れたのかということを必死で考える。それを確認するためにも、このドレスは脱がせてしまおうと思っていた。下まで一気に引きずりおろして足元から脱がせた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...