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弟の身代わりに
7.
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ヨハンナが連れてこられた場所は、ユルゲンの執務室だった。あの会場から一番近いユルゲンが自由に使える個室だ。しっかりと扉には鍵をかける。
「おい、ヨアヒム。大丈夫か? 一体、どのような薬なんだ? 解毒剤が必要か?」
「……ん、恐らく、媚薬……、かと……」
ヨハンナの身体も徐々に熱を帯びてきた。まさかここまでの即効性の薬であるとは思っていなかった。
「……すいません、お水を……いただけませんか?」
少しでも体内にある薬の濃度を薄めたいという思いがあったのだが、たかがコップ一杯の水で何が変わるのか。気休めかもしれない。
「奥に、俺が使っている仮眠用のベッドがある」
渡されたグラスを受け取ったヨハンナは一口それを飲んだが、それ以上飲むのはもう無理だった。
「す、すいま、せん……」
飲みかけのグラスをユルゲンに手渡すと、よろよろと奥の部屋へと向かおうとする。それを見かねたユルゲンは、またヨハンナをふわりと抱き上げた。
「この方が早いだろう」
ユルゲンの言っていることは正しいのだが、他人に触れられてしまうと身体がさらに熱を帯びる。そっと、寝台の上におろされた。
「あと、どうしたらいい?」
ユルゲンは不安そうにヨハンナを見下ろすと、そう尋ねていた。ユルゲンを庇って薬入りの飲み物を飲んだ哀れな従騎士に責任を感じているのだろう。
「あ、あの……、その、ドレスの、背中を、ゆるめて……」
全てを言い終わらないうちに、ユルゲンの手がヨハンナの背に伸びた。
「この女性のドレスというものは、複雑な作りをしているのだな」
器用に後ろの鉤を外していく。コルセットはつけておらず、布製の下着が見えた。
「前も苦しいだろう。その、俺のためにいろいろと詰めてあるんだろう?」
頭がぼんやりとしてきたヨハンナは「自前です」と答えることもできず、ただ熱く息を吐きだすだけだった。
その表情にドキリとしたのはユルゲン自身。相手は男だ、と言い聞かせる。だが、ヨアヒムの上気している顔を見ると、なぜか胸の奥がずくずくと痛み、下半身に熱が集まっていくのを感じた。
「はぁ……、はぁ……」
露わになった背中を大きく震わせながら、ヨハンナは苦しそうに息を吐いていた。
「苦しそうだから、前も開けるぞ」
ユルゲンはそう言い訳をして、ドレスを肩からするりとおろし、下着姿にする。詰め物もとるべきだろうと、下着の下に手を入れるとなぜか柔らかいものに触れた。
「……んっ、くっ……」
ユルゲンが触れた途端、ヨハンナからは艶やかな声が漏れた。それを耳にしたユルゲンの下半身には再び熱が溜まる。と、同時に、今、何に触れたのかということを必死で考える。それを確認するためにも、このドレスは脱がせてしまおうと思っていた。下まで一気に引きずりおろして足元から脱がせた。
「おい、ヨアヒム。大丈夫か? 一体、どのような薬なんだ? 解毒剤が必要か?」
「……ん、恐らく、媚薬……、かと……」
ヨハンナの身体も徐々に熱を帯びてきた。まさかここまでの即効性の薬であるとは思っていなかった。
「……すいません、お水を……いただけませんか?」
少しでも体内にある薬の濃度を薄めたいという思いがあったのだが、たかがコップ一杯の水で何が変わるのか。気休めかもしれない。
「奥に、俺が使っている仮眠用のベッドがある」
渡されたグラスを受け取ったヨハンナは一口それを飲んだが、それ以上飲むのはもう無理だった。
「す、すいま、せん……」
飲みかけのグラスをユルゲンに手渡すと、よろよろと奥の部屋へと向かおうとする。それを見かねたユルゲンは、またヨハンナをふわりと抱き上げた。
「この方が早いだろう」
ユルゲンの言っていることは正しいのだが、他人に触れられてしまうと身体がさらに熱を帯びる。そっと、寝台の上におろされた。
「あと、どうしたらいい?」
ユルゲンは不安そうにヨハンナを見下ろすと、そう尋ねていた。ユルゲンを庇って薬入りの飲み物を飲んだ哀れな従騎士に責任を感じているのだろう。
「あ、あの……、その、ドレスの、背中を、ゆるめて……」
全てを言い終わらないうちに、ユルゲンの手がヨハンナの背に伸びた。
「この女性のドレスというものは、複雑な作りをしているのだな」
器用に後ろの鉤を外していく。コルセットはつけておらず、布製の下着が見えた。
「前も苦しいだろう。その、俺のためにいろいろと詰めてあるんだろう?」
頭がぼんやりとしてきたヨハンナは「自前です」と答えることもできず、ただ熱く息を吐きだすだけだった。
その表情にドキリとしたのはユルゲン自身。相手は男だ、と言い聞かせる。だが、ヨアヒムの上気している顔を見ると、なぜか胸の奥がずくずくと痛み、下半身に熱が集まっていくのを感じた。
「はぁ……、はぁ……」
露わになった背中を大きく震わせながら、ヨハンナは苦しそうに息を吐いていた。
「苦しそうだから、前も開けるぞ」
ユルゲンはそう言い訳をして、ドレスを肩からするりとおろし、下着姿にする。詰め物もとるべきだろうと、下着の下に手を入れるとなぜか柔らかいものに触れた。
「……んっ、くっ……」
ユルゲンが触れた途端、ヨハンナからは艶やかな声が漏れた。それを耳にしたユルゲンの下半身には再び熱が溜まる。と、同時に、今、何に触れたのかということを必死で考える。それを確認するためにも、このドレスは脱がせてしまおうと思っていた。下まで一気に引きずりおろして足元から脱がせた。
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