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エピソード10
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嘘をつこうとしているエラに、勘づいたのかアーシャは「ふう」と溜息に似た呼吸をすると、その鋭い目でエラを見る。
「エラ様・・・どうしてこんな事をしたのか、本当の理由をお話頂けないでしょうか?
本当の訳を話して頂ければ警察にも・・・・そしてルイス伯爵にも報告は致しません」
アーシャの言葉にエラは眉を顰める。
(本当だろうか・・・警察に通報しない理由は分かる。だが、伯爵にも報告しないのは信じられない)
アーシャは伯爵に使える身、ましてや側近となれば伯爵への忠誠心は強いのだろう。
自分の主人の部屋を漁っていたエラを報告しないなんてそんなの有り得るのだろうか・・・・・いや、有り得ない
エラは探るようにアーシャを見る。
アーシャは散乱した書類を片付けている。
「アーシャさん・・・分かりました。お話します」
この人にどんな嘘を言ったて通じない・・・そう直感的に感じた。
アーシャは、書類を広い集めている手を止め口元に笑みを浮かべてエラを見る。
「それはありがとうございます」
エラはアーシャその言葉に被せるようにいる。
「でも、なぜ伯爵様に報告しないのか教えて頂けないでしょうか?」
「え?」
「警察に報告しないのは分かります、世間体があるだろうし・・・
でも、伯爵様に報告しない理由が分かりません。
あなたは伯爵様に使える身、伯爵様に報告義務があるのではありませんか?」
思惑が分からないエラは、アーシャに対して恐怖を感じる。
(この人が何を考えていて、何をしたいのか分からない)
この事をダシにエラを脅したところでアーシャに利益があるとは思えない。
それとも、エラが気づいていないエラの使い道があるのだろうか。
「・・・そうですね。簡単に言えば興味深いから、ですよ」
「興味深い?」
あまりの突拍子の無い言葉に驚いて、目を丸くする。
そしてエラはその言葉に首を傾げる。
(どういう意味だろうか・・・)
その姿が面白かったのか、アーシャは「ふはは」と愉快そうに笑う。
そして、机の上に座りエラの髪に触れる。
宝石でも見るかのように、目を細めたアーシャ。
「はい・・・今はそうとだけお話しておきます。」
アーシャはエラの唇に人差し指を近づける。
いつもなら、この様な事をさらたらドキドキしてしまうエラだが、今はそうはならない。
むしろ得体のしれないものに、弄ばれているような恐怖を感じる。
その姿は「悪魔」のようだとエラは思った。
エラが納得出来ずに、睨みつけるかのような目でアーシャの目を見る。
「納得出来きていないようですね・・・」
「そんな簡単な言葉で納得出しろ、という方が無理だと思います」
エラの言葉に「確かに」と賛同するかのようにアーシャは大きく頷く。
「まあ。そうですよね。致し方ないことです・・・・・・しかし、エラ様が納得しようと、しまいと関係のないことではありませんか?」
確かに、この現状ではエラはアーシャに従わなければならない立場。
伯爵の弱みを握るつもりが、伯爵の側近のアーシャに弱みを握られてしまったことは皮肉、以外のなにものでもない。
「伯爵に報告されては困るのでは無いですか?」
その通りだった。
伯爵に報告されたら、離縁を言い渡されるかもしれない。
何度も執拗いほど言うようだが、もしそうなれば、エラの目的である復讐ができなくなってしまう。
「はい」
「では、お話頂けますか?」
アーシャは、ショイっと机から飛び降りるとエラの前で丁寧にお辞儀をする。
(この男を信用するしか、私には方法がない)
エラは、背水の陣をひく気持ちで口を開き始める。
「エラ様・・・どうしてこんな事をしたのか、本当の理由をお話頂けないでしょうか?
本当の訳を話して頂ければ警察にも・・・・そしてルイス伯爵にも報告は致しません」
アーシャの言葉にエラは眉を顰める。
(本当だろうか・・・警察に通報しない理由は分かる。だが、伯爵にも報告しないのは信じられない)
アーシャは伯爵に使える身、ましてや側近となれば伯爵への忠誠心は強いのだろう。
自分の主人の部屋を漁っていたエラを報告しないなんてそんなの有り得るのだろうか・・・・・いや、有り得ない
エラは探るようにアーシャを見る。
アーシャは散乱した書類を片付けている。
「アーシャさん・・・分かりました。お話します」
この人にどんな嘘を言ったて通じない・・・そう直感的に感じた。
アーシャは、書類を広い集めている手を止め口元に笑みを浮かべてエラを見る。
「それはありがとうございます」
エラはアーシャその言葉に被せるようにいる。
「でも、なぜ伯爵様に報告しないのか教えて頂けないでしょうか?」
「え?」
「警察に報告しないのは分かります、世間体があるだろうし・・・
でも、伯爵様に報告しない理由が分かりません。
あなたは伯爵様に使える身、伯爵様に報告義務があるのではありませんか?」
思惑が分からないエラは、アーシャに対して恐怖を感じる。
(この人が何を考えていて、何をしたいのか分からない)
この事をダシにエラを脅したところでアーシャに利益があるとは思えない。
それとも、エラが気づいていないエラの使い道があるのだろうか。
「・・・そうですね。簡単に言えば興味深いから、ですよ」
「興味深い?」
あまりの突拍子の無い言葉に驚いて、目を丸くする。
そしてエラはその言葉に首を傾げる。
(どういう意味だろうか・・・)
その姿が面白かったのか、アーシャは「ふはは」と愉快そうに笑う。
そして、机の上に座りエラの髪に触れる。
宝石でも見るかのように、目を細めたアーシャ。
「はい・・・今はそうとだけお話しておきます。」
アーシャはエラの唇に人差し指を近づける。
いつもなら、この様な事をさらたらドキドキしてしまうエラだが、今はそうはならない。
むしろ得体のしれないものに、弄ばれているような恐怖を感じる。
その姿は「悪魔」のようだとエラは思った。
エラが納得出来ずに、睨みつけるかのような目でアーシャの目を見る。
「納得出来きていないようですね・・・」
「そんな簡単な言葉で納得出しろ、という方が無理だと思います」
エラの言葉に「確かに」と賛同するかのようにアーシャは大きく頷く。
「まあ。そうですよね。致し方ないことです・・・・・・しかし、エラ様が納得しようと、しまいと関係のないことではありませんか?」
確かに、この現状ではエラはアーシャに従わなければならない立場。
伯爵の弱みを握るつもりが、伯爵の側近のアーシャに弱みを握られてしまったことは皮肉、以外のなにものでもない。
「伯爵に報告されては困るのでは無いですか?」
その通りだった。
伯爵に報告されたら、離縁を言い渡されるかもしれない。
何度も執拗いほど言うようだが、もしそうなれば、エラの目的である復讐ができなくなってしまう。
「はい」
「では、お話頂けますか?」
アーシャは、ショイっと机から飛び降りるとエラの前で丁寧にお辞儀をする。
(この男を信用するしか、私には方法がない)
エラは、背水の陣をひく気持ちで口を開き始める。
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