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エピソード4
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サイドテーブルに置かれていた水差し
からコップに水を注ぐ。
(なんの話してるんだろう?)
水を飲みながら聞き耳を立てる。
アーシャと伯爵が何かを話している声は聞こえるのだけど、内容までは聞き取れない。
数分してアーシャと伯爵が、入ってくる。
「エラ、ごめんね・・・急用で行かなきゃ行けないところができたんだ」
「お仕事ですか?」
伯爵はエラに申し訳なさそうな、表情を見せる。
「うん・・・・そんなとこ」
「分かりました・・・・私のことは気にせず、お仕事頑張ってください」
エラが笑顔で胸の前でガッツポーズをして見せると伯爵はエラの頭を撫でて、「ごめんね」と呟く。
「夕食までには帰るから、一緒に食べよ」
「・・・・はい」
伯爵が出ていったあと、エラは寝間着から床につきそうなほど長い裾の服に着替える。
緑色を基調としたその服は、エメラルドグリーンの瞳を持つエラに似合う。
緑色をいそっう際立たてる艶のある黒い髪は、緑色のリボンでまとめられている。
「エラ様、こちらに朝食をお運びしましょうか?」
「そうしていただると助かります」
身支度を手伝ってくれたメイドのアンが、気を使い朝食をエラの部屋に運んで来た。
銀食器によそりつけられた朝食は豪華なものだ。
フワフワの黄色いオムレツ。
ベーコン
ソーセージ
パン
紅茶
たくさんのフルーツ
どれも一口食べたら止まらなくなるほど美味しい。
「この屋敷のシェフは昔、王家御用達だったんですよ」
アンの茶色いアーモンドのような瞳が輝きだして、まるで自分の事のように自慢する。
「なるほど!!通りで美味しいわけですね」
エラは一口サイズに切ったオムレツを頬張りながら言う。
(アンは私と同じくらいだろうか)
メイドの服に身を包んだ体は小柄で、大人になりかけのような容姿。
「ルイス伯爵様は、お仕事が忙しいのですか?」
「うーん・・・・そうですね、夜遅くまでお仕事なさっている日が多いと聞きますが」
空のティーカップに紅茶を注いでいるアンは少し考えて尋ねる。
そして、エラを不思議そうな顔でみる。
「でも、どうしてですか?」
「いえ・・・・ただ朝早く出ていかれたので、お仕事がお忙しいのかと思いまして・・・・・・・・・・・・・・・・・
アンさんは、伯爵に仕えてどれくらいですか?」
「えーと」
アンは目を瞑って、指を折る。
「私が15の時から仕えているので、もう5年ですね」
(ということは、やっぱり私と同い年)
「とういかエラ様、アンでいいですよ?」
アンは、エラの顔を覗き込むようにして目を見る。
「アン・・・・・分かました。そう呼ばせて頂きます」
「はい!」
笑ったアンはとても可愛い。
アンの肌は程よく焼けた小麦色で、瞳も髪もアーモンド色。
頬にあるソバカスは愛らしく、親しみやすい容姿だとエラは思った。
(5年か・・・・なら何か弱みを知ってるかも)
「アン、聞いてもいいですか?」
「いいですよ!!」
エラは口を開きかけて、一旦辞める。
あまり直接的に聞き過ぎると、変に思われるかもしれない。
「エラさま?」
「ああ。ごめんなさい・・・・
伯爵様は・・・・どんなお仕事をなされているのですか?」
(とりあえず、慌てずに糸口を聞き出そう)
エラは遠回しに、弱みに繋がる糸口を聞き出そうとする。
仕事内容の質問から何かわかるかもしれないし、話の流れ的にこの質問がベストだとエラは思う。
「仕事の内容ですか・・・・ごめんなさい、私もよく知らないもので」
(ああ。そうなんだ)
エラは幻滅したが顔に出さないように気をつけてアンを見る。
「そうなんですね・・・・
分かりました、ありがとうございます」
「ええ、伯爵はあまり仕事の内容を話さない方なので」
アンは申し訳なさそうに眉を顰める。
「話せない内容のお仕事なのかしら」
「え?」
「ああ、いえ・・・・・なんでもありません」
思わず口に出してしまった言葉を慌てて紛らわす。
アンは一瞬、不思議そうな顔をしたが
何も聞いては来ずエラは安堵する。
(いけない、いけない・・・・気をつけないと)
からコップに水を注ぐ。
(なんの話してるんだろう?)
水を飲みながら聞き耳を立てる。
アーシャと伯爵が何かを話している声は聞こえるのだけど、内容までは聞き取れない。
数分してアーシャと伯爵が、入ってくる。
「エラ、ごめんね・・・急用で行かなきゃ行けないところができたんだ」
「お仕事ですか?」
伯爵はエラに申し訳なさそうな、表情を見せる。
「うん・・・・そんなとこ」
「分かりました・・・・私のことは気にせず、お仕事頑張ってください」
エラが笑顔で胸の前でガッツポーズをして見せると伯爵はエラの頭を撫でて、「ごめんね」と呟く。
「夕食までには帰るから、一緒に食べよ」
「・・・・はい」
伯爵が出ていったあと、エラは寝間着から床につきそうなほど長い裾の服に着替える。
緑色を基調としたその服は、エメラルドグリーンの瞳を持つエラに似合う。
緑色をいそっう際立たてる艶のある黒い髪は、緑色のリボンでまとめられている。
「エラ様、こちらに朝食をお運びしましょうか?」
「そうしていただると助かります」
身支度を手伝ってくれたメイドのアンが、気を使い朝食をエラの部屋に運んで来た。
銀食器によそりつけられた朝食は豪華なものだ。
フワフワの黄色いオムレツ。
ベーコン
ソーセージ
パン
紅茶
たくさんのフルーツ
どれも一口食べたら止まらなくなるほど美味しい。
「この屋敷のシェフは昔、王家御用達だったんですよ」
アンの茶色いアーモンドのような瞳が輝きだして、まるで自分の事のように自慢する。
「なるほど!!通りで美味しいわけですね」
エラは一口サイズに切ったオムレツを頬張りながら言う。
(アンは私と同じくらいだろうか)
メイドの服に身を包んだ体は小柄で、大人になりかけのような容姿。
「ルイス伯爵様は、お仕事が忙しいのですか?」
「うーん・・・・そうですね、夜遅くまでお仕事なさっている日が多いと聞きますが」
空のティーカップに紅茶を注いでいるアンは少し考えて尋ねる。
そして、エラを不思議そうな顔でみる。
「でも、どうしてですか?」
「いえ・・・・ただ朝早く出ていかれたので、お仕事がお忙しいのかと思いまして・・・・・・・・・・・・・・・・・
アンさんは、伯爵に仕えてどれくらいですか?」
「えーと」
アンは目を瞑って、指を折る。
「私が15の時から仕えているので、もう5年ですね」
(ということは、やっぱり私と同い年)
「とういかエラ様、アンでいいですよ?」
アンは、エラの顔を覗き込むようにして目を見る。
「アン・・・・・分かました。そう呼ばせて頂きます」
「はい!」
笑ったアンはとても可愛い。
アンの肌は程よく焼けた小麦色で、瞳も髪もアーモンド色。
頬にあるソバカスは愛らしく、親しみやすい容姿だとエラは思った。
(5年か・・・・なら何か弱みを知ってるかも)
「アン、聞いてもいいですか?」
「いいですよ!!」
エラは口を開きかけて、一旦辞める。
あまり直接的に聞き過ぎると、変に思われるかもしれない。
「エラさま?」
「ああ。ごめんなさい・・・・
伯爵様は・・・・どんなお仕事をなされているのですか?」
(とりあえず、慌てずに糸口を聞き出そう)
エラは遠回しに、弱みに繋がる糸口を聞き出そうとする。
仕事内容の質問から何かわかるかもしれないし、話の流れ的にこの質問がベストだとエラは思う。
「仕事の内容ですか・・・・ごめんなさい、私もよく知らないもので」
(ああ。そうなんだ)
エラは幻滅したが顔に出さないように気をつけてアンを見る。
「そうなんですね・・・・
分かりました、ありがとうございます」
「ええ、伯爵はあまり仕事の内容を話さない方なので」
アンは申し訳なさそうに眉を顰める。
「話せない内容のお仕事なのかしら」
「え?」
「ああ、いえ・・・・・なんでもありません」
思わず口に出してしまった言葉を慌てて紛らわす。
アンは一瞬、不思議そうな顔をしたが
何も聞いては来ずエラは安堵する。
(いけない、いけない・・・・気をつけないと)
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