愛しい心は千歳よりさらに

はなおくら

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「お前を赤ん坊の頃から知ってるから理解できるが、これからはキヨさんを守れ。」

 村長は厳しい言葉をかける後一筋の涙を落として今吉に抱きついた。

「倅よ…よく帰ってきてくれたっ…。」

 そうして涙の再会の後、あれから昔のいつもの様な毎日を送っている。

 獣神様はきつめときつなを贈ると言ったがあの子たちの姿を一度も見かけていない。何よりお礼が言いたくて今日も待っている。

 今吉はあれからキヨを溺愛する様になった。元からだが更にだ。

そんなある日、見覚えのある銀髪の髪と金髪の髪の少年が笑顔で走ってくるのが見えた。

「キヨ様~!今吉殿~!」

 キヨは振り返りこちらからも走って2人を出迎えた。

「きつめ…きつな…会いたかった…。」

 2人はキヨにそう言われて嬉しそうに彼女の胸に頬擦りをする。

「きつめ、きつな、久しぶりだな…
。」

 人型の2人と会うのは初めての今吉だったが、慣れた様子で話しかけた。

「2人にも迷惑をかけたな…これからは一緒に家族としていてくれるか?」

 自信なさげにいう今吉にきつめときつなが笑いながら言った。

「もちろんです。今吉殿、僕たちがキヨ様を大切にしているか見張りますからね!」

 きつ目がそう言うと今吉は笑って言った。

「あぁ、それは心強い。」

「そうです。小さい頃から今吉殿を見てきたのですからこれからも一緒ですよ。」

 きつなの言葉にキヨが反応した。

「そんな小さい時から一緒なの?」

「はい。僕が村の子供達に悪戯され怪我をしているところを助けて貰ったのです。」

 きつながそういう。キヨは初めて聞く事実に驚いたが今吉の優しさに尚惹かれた。

「今吉さんは昔から優しい人だったのですね…。」

 そうキヨに言われた今吉は頬を赤くして頭をかいた。

 家にはきつめときつなが加わりしあわせな生活を送っている。

村の人たちも2人のことを心配していたのだろう。

 合えば声を掛けてくれた。徐々にではあるが元の生活に戻っている。

 そして今日、キヨは白無垢を見にまとい馬に乗って今吉の家へとすすんでいる。

 これは今吉と考えた事だった。新しいスタートの第一歩であり、何より獣神に感謝を伝えたいと輿入れをやる事にしたのだ。

 キヨは真っ直ぐ緊張した顔で進む。次第に家が見えて来る。袴姿の今吉が笑って待っている。両側には、きつめときつなが嬉しそうに立っていた。

 家の前に到着して馬から降りようとした瞬間、今吉の手が伸びてフワッと地面に下ろしてくれた。その直後、皆がいる事も気にせず、キヨの唇にキスを落とした。
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