愛しい心は千歳よりさらに

はなおくら

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 翌朝、目が覚めたきよの顔の前には寝息をたてる今日の顔があった。

 濃い眉に二重の目元、この時代では美男子になるだろう。

 そんな今吉の顔を眺め幸せに浸っていたが、ふと昨日の事を思い出してしまい恥ずかしくなる。

 暑くなる顔を布団に押し付ける。

「…どうした?」

 上の方から声がする。顔を上げるとまだ眠たいのか目を細めている今吉が起きていた。

 今吉は、きよが布団から顔を出しこちらを見つめている様子に自分まで赤くなってしまっていた。

「あまり…みるな。」

 照れからの言葉だったがきよはしゅんっとした顔になる。

「すみません…。」

 謝るキヨに今吉は慌てて弁解する。

「違う…あまり…可愛い顔でみるもんだから…。」

 きよは更にまた赤くなっていった。

 今日はいつものように慌ただしくせずにゆっくりすることにした。

 朝飯を作り、二人で過ごす。

 なんて事ない日常だが、それだけで幸せだった。

 きよが今吉を見上げると、今吉も照れながらもキヨを見返す。

 このやりとりが二人のコミュニケーションになっていったのだった。

 そんなある日、キヨと今吉が畑の仕事をしているときつなときつめが山から帰ってきていたのか何かを咥えて降りてくる。

 どうしたのかと、2人で顔を見合わせていると、きつめの口には小さな石が。

 きつめはきよのもとに近づくとその石を渡した。

「何?」

 きよが受け取った石をみると、真ん中の方にきらりと金色に光るものが埋め込まれていた。

 何だろうと思ったがきつめの頭を撫でて口を開く。

「ありがとう…大切にするわね。」

 そう言って懐にしまった。

 きつなは今吉に頭を撫でられ嬉しいのか飛び跳ねて喜んでいた。

 その夜、夕飯時に2人と二匹で食事をしている時、きよはきつなからもらった石を取り出し眺めた。

「どうした?」

 今吉が声を掛けにキヨは答えた。

「きつなからもらった石が妙に気になりまして…。でもなんだか心地いいんです。」

「なんだろうな…。きつなお前これをどこから持ってきたんだ?」

 今吉が聞いてみるがきつなはこちらを一遍して目を閉じて寝ている。

「せっかくきつながくれたんですから大切にします。」

 そう言ってまたご飯に手を進めた。

 夜、2人で褥を並べて横になっている時、枕元に置いていた石がおもむろに光出した。

 その光にキヨは目が覚めた。横を見ると今吉は気づいていないのかすやすや眠っている。

「きよ…。」

 名を呼ばれ顔を前に写すと、目の前には鼻筋の整った男が立っていた。

「…貴方は?」

 キヨの返答に男は口を開く。

「我は獣を守りし者である。」

 
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