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「アマリア…。」
父は泣いてアマリアの名を呼ぶばかりだった。
「アマリア…お前はなんて事をしたんだ。勝手な行動のせいで多くの人間を傷つけたんだよ?」
母ベネチュアはふと厳しい顔つきになりアマリアを叱った。
「ごめんなさい…わかっているわ…私が愚かだった…。」
「いや…全ては私のせいです。お母様…彼女を責めないでください。彼女は私に沢山の幸せをくれた…それに気づかずにいたのですから。」
自分を庇うイワンに胸が痛んだ。
「イワン様…貴方が気にすることではありませんよ。…こんな嬉しい再会に水を刺してしまいましたね…。この小さいおちびちゃんがカナレアだね。」
当たり前のように言う母にアマリアは驚いた。
「母さん、なぜそのことを?」
「イワンさんが、領主になった時家を訪ねてくれてね。それから事細かにアマリアに関する話をしてくれたんだよ!」
「…そうだったのね…。」
アマリアがイワンのほうを盗み見すると、イワンはカナレアを抱っこしながら娘と戯れていた。
すると突然アマリアの頬に母が手を添えた。
「少し中にお入り、聞きたい話もあるんだしね。」
そういう時、カナレアを抱っこして家の中に入っていった。
「おばちゃんは誰?」
部屋のリビングでお茶をしていると、カナレアが口を開いていた。
「カナレアのお婆ちゃんとおじいちゃんだよ。何か困ったことがあるならいつでもおいで。」
「はーい。」
そう言って二人できゃっきゃと騒いでいた。
アマリアは孫の姿を見せられたことに安心した。
そして向かい合って父も和に入り笑い合っているのを見て胸が熱くなった。
そしてそろそろお暇をしようとした頃、イワンが口を開いた。
「お父さん、お母さん、お話したい事があります。」
そういうと両親は顔をイワンの方に向けた。
「僕はアマリアさんと結婚したいと思っています。順番は逆になってしまいましたが、一生そばにいたいと思っています。どうか彼女を僕にください。」
イワンが頭を下げると、父ニックは笑って頷き、母ベネチュアも頷いていた。
そして二人からのお見送りを受けて馬車の中、アマリアは涙を流した。
「イワン…両親に合わせてくれてありがとう…それに私がいない間も貴方は気にかけてくれたのね…。」
膝に腰掛けていたカナレアがアマリアの顔に手を伸ばした。
「お母様…泣かないで…。」
「ありがとう…大丈夫よ。」
「カナレアのお母様は泣き虫だな。」
そう言って戯けてから、真剣な顔でイワンは言った。
「アマリアの大切な人は僕の大切な人だよ。」
父は泣いてアマリアの名を呼ぶばかりだった。
「アマリア…お前はなんて事をしたんだ。勝手な行動のせいで多くの人間を傷つけたんだよ?」
母ベネチュアはふと厳しい顔つきになりアマリアを叱った。
「ごめんなさい…わかっているわ…私が愚かだった…。」
「いや…全ては私のせいです。お母様…彼女を責めないでください。彼女は私に沢山の幸せをくれた…それに気づかずにいたのですから。」
自分を庇うイワンに胸が痛んだ。
「イワン様…貴方が気にすることではありませんよ。…こんな嬉しい再会に水を刺してしまいましたね…。この小さいおちびちゃんがカナレアだね。」
当たり前のように言う母にアマリアは驚いた。
「母さん、なぜそのことを?」
「イワンさんが、領主になった時家を訪ねてくれてね。それから事細かにアマリアに関する話をしてくれたんだよ!」
「…そうだったのね…。」
アマリアがイワンのほうを盗み見すると、イワンはカナレアを抱っこしながら娘と戯れていた。
すると突然アマリアの頬に母が手を添えた。
「少し中にお入り、聞きたい話もあるんだしね。」
そういう時、カナレアを抱っこして家の中に入っていった。
「おばちゃんは誰?」
部屋のリビングでお茶をしていると、カナレアが口を開いていた。
「カナレアのお婆ちゃんとおじいちゃんだよ。何か困ったことがあるならいつでもおいで。」
「はーい。」
そう言って二人できゃっきゃと騒いでいた。
アマリアは孫の姿を見せられたことに安心した。
そして向かい合って父も和に入り笑い合っているのを見て胸が熱くなった。
そしてそろそろお暇をしようとした頃、イワンが口を開いた。
「お父さん、お母さん、お話したい事があります。」
そういうと両親は顔をイワンの方に向けた。
「僕はアマリアさんと結婚したいと思っています。順番は逆になってしまいましたが、一生そばにいたいと思っています。どうか彼女を僕にください。」
イワンが頭を下げると、父ニックは笑って頷き、母ベネチュアも頷いていた。
そして二人からのお見送りを受けて馬車の中、アマリアは涙を流した。
「イワン…両親に合わせてくれてありがとう…それに私がいない間も貴方は気にかけてくれたのね…。」
膝に腰掛けていたカナレアがアマリアの顔に手を伸ばした。
「お母様…泣かないで…。」
「ありがとう…大丈夫よ。」
「カナレアのお母様は泣き虫だな。」
そう言って戯けてから、真剣な顔でイワンは言った。
「アマリアの大切な人は僕の大切な人だよ。」
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