あなたと共に

はなおくら

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 こうして親子の真実を語った後、イワンはアマリアにプロポーズを考えていた。

 彼女の希望でカナレアの為に離れで過ごさせていたが、娘も自分を認めてくれた。

 あとはアマリアと結婚すれば、これ以上の幸せはないと考えていた。

 だが彼女は首を縦に振ってくれるだろうか。
 世間体を気にして身を隠した人だ。

 イワンは悩んだ。
 その時強引ではあるが、ある事が頭に浮かんだ。

 まずは彼女といろんな社交界に共に赴き、妻と紹介する。
 彼女は怒るだろうが、周りの批判に傷つくかもしれないが、周りが認知すれば彼女も無茶をすることはないだろう。

 その後のことは全く考えていなかったが、これなら行けるだろうと早速準備に取り掛かった。

「社交界に?」

 二人でお茶をしている時にイワンはアマリアに言った。

「あぁ、僕もパートナーが必要でね。君に出てもらいたいんだ。」

「でもそんな事をしたら貴方の立場が…。」

「大丈夫だよ。それに君も5年ほど顔を出していないんだ。そんなに戸惑わなくても大丈夫。」

「…そんな…。」

「僕を助けると思って、頼む。」

 イワンはわざと困った顔をしてアマリアの返事を待った。

「…わかったわ。」

「ありがとう…助かるよ…。」

 アマリアの返事にイワンは、安堵して彼女と別れたの後、使用人達に彼女の身支度に力を入れるように指示した。

 それから社交界当日、イワンはロビーでアマリアの支度を待っていた。

 彼女と社交界に行くのはどれくらいぶりだろうか。
 考えていると幼い頃のアマリアの姿を思い出していた。

 彼女がきてまもない頃、父の知り合いが訪問した時、彼女は桃色のドレスに身を包んでいた。

 ひらひらのふんわりと広がったドレスは彼女に似合っていた。
 幼いアマリアがこちらを見た瞬間身動き取れず見惚れていた事を思い出す。

 その時一つの足音に現実に戻され、顔を上げるとアマリアが立っていた。

 彼女は体の形に沿った桃色のドレスを身にまとっていた。

 幼い頃の姿とは見違えるほど美しい女性に変身していた。

「アマリア…綺麗だ。」

 そう伝えるとアマリアは頬を染めて差し出した手を添えてくる。

 彼女を自分のものにしたい。誰にも見せたくない。

 密かに独占欲が暴走するのをなんとか抑え込見ながら馬車に乗り込んだ。

 微笑む彼女を見つめていると、自分は幼い時のまま成長できていないのだと実感する。

 愛おしい、僕だけの愛する人…。

 我慢できず彼女を膝に乗せて目的地までの間、照れる目の前の女性を心ゆくまで愛でたのだった。



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