あなたと共に

はなおくら

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 アマリアの顔に手を添えて、顔を顰めるイワンがいた。

 イワンごめんなさい…。

 アマリアは心の中で謝った。そして彼の顔を見つめたまま、

「カナレアが…貴方との事を話したら…屋敷を出ると…。」

「なんだって…。とりあえずカナレアの部屋に行こう。」

 イワンはそういうとアマリアを立たせて手と腰に自分の手を添えて部屋へと向かった。

 焦るイワンに申し訳ないと思いながらもアマリアは笑うのを耐えていた。

 部屋の前につき、イワンが声をかけた。

「カナレア…?」

「入らないでっ‼︎」

 そう言われたイワンは戸を開ける手を止めてカナレアに声をかけた。

「君が怒るのは最もだ。今まで黙っていてすまなかった…。」

「………。」

 返事が返ってこない。アマリアにはどういう状況がわかっているが、イワンは焦っていた。

「僕は君が娘で本当に嬉しく思ったんだ。それに君のお母さんを見つけた時、君がいた時どれほど嬉しかったか…後悔してもしたりないほど…。今度こそは君たちを幸せにしたい。どうか顔を見せてくれないか?」

 懇願するイワンの前にドアがガチャリと空いた。

 目の前には笑いを堪えて鼻を膨らませているカナレアがいた。

 イワンはカナレアの姿を見た瞬間全て分かったのだろう。そしてカナレアの格好を見て吹き出して笑った。

「ハハハハハッ!カナレア、なんて格好をしてるんだ。お腹が痛いよ。」

 笑うイワンに、アマリアとカナレアはびっくりした。
 彼がこんなにお腹を抱えて笑う姿はアマリアでも見た事なかった。

 まぁイワンが笑うのも無理はない。カナレアの格好はおかしかった。

 自分よりも大きな茶色のリュックを抱えて、頭には黄緑色のスカーフを巻いている。

 こんな姿はどこにいても見かけない。

 イワンに釣られてアマリアも笑い声を上げた。すると近くにいた侍女も…控えていた家令も声を殺して笑っている。

 そんな光景にカナレアも声をあげて笑った。

「ふふふっ…お母様!作戦は大成功ね!」

「ええ、そうね。」

 アマリアがそう返事を返すとイワンは言った。

「君もグルだったのか…。」

 そう言ってイワンはしてやられたというような顔をした。

「お父様!隠し事は嫌だけど、この話を聞いて嬉しかったのよ!どうしてもっと早く言ってくれなかったの?」

「…カナレア?…今なんて…。」

 イワンは耳を疑った。娘にそう言って欲しかったが聞くことは難しいと思っていた単語を娘が言ってくれている。

「ふふふっ!お父様‼︎」

 カナレアは笑って言った。

「ああ…カナレア…君は私の娘だ…ありがとう…ありがとう…。」

 イワンは泣いて喜び、この日は屋敷中幸せに包まれていった。
 
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