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アマリア自身言われている事は充分分かっていた。
「わかってる…わかっているわ。ひどい母親よ!でもあの子を失えば私は…。」
「…君も辛いだろうが彼も1人戦っているんだ…君たちは話をするべきだ。それに世間体を気にして大切なものを失う事ほど愚かでしかない。」
泣き出したアマリアにトニーは一呼吸置いて語った。
「おかあさま…?ないてるの?」
ふと顔を上げると悲しそうな顔でこちらを見つめる娘と困った顔のヤルトアが立っていた。
慌てて涙を拭いて娘を抱きしめた。
「なんでもないのよ。ただの痴話喧嘩をしていたの…大人の戯れよ…。」
「あぁ…怖がらせて悪かったね…。」
そう言ってトニーはカナレアの頭を撫でた後ヤルトアの手を握った。
カナレアはトニーの言葉に頷いた後、母の顔を見て言った。
「おかあさま…私眠たいの…そろそろおうちに帰りましょう?」
カナレアの顔を見つめると、半分の気遣いと半分本気で眠たいのだとわかった。
「そうね…そろそろおうちに帰る時間だわ。」
そう言って娘を抱っこすると、カナレアあっという間に眠ってしまった。
「慣れないところで疲れたんだろう…。アマリア、さっきは悪かった…せっかく式にも出てくれたのに…。」
申し訳なさそうにするトニーに首を振った。
「私こそ大切な事を伝えられてなかったから…でもあなたが友人で本当に心強いわ。まだ…友人としていてくれるかしら?」
恐る恐る聞くとトニーは当たり前だと言わんばかりに頷いてくれた。
「ヤルトアもごめんなさい…こんな日に…。」
「いいえ、トニーにいい友人がいる事は私も嬉しい事です。いつでも小さな天使と遊びに来てください。…それから…私達が来た時には何も聞いてないから安心して…。」
そう言ってアマリアに優しい言葉をかけてくれた。
「お二人とも今日は本当におめでとうございます。失礼ですが…今日はこれで…。」
「あぁ、こちらこそ来てくれて嬉しかったよ。」
「道中お気をつけて…。」
そう言って2人は、バルコニーから見送ってくれた。
眠る娘を両手で抱き、会場を出る間近に、イワンの姿が見えた。
アマリアは気付かれない様に、そっと会場を出て着替えを済ませると、カトレアを抱き馬車の方へと歩き出した。
念のため顔がわからない様に深く帽子を被り、黒いスカーフを口に巻いた。
馬車が来るのを待っていると。
「失礼…少しお時間よろしいですか?」
チラッと振り向くとそこには、イワンが立っていた。
目の前の男は、3年前にあった頃より凛々しく男性の魅力湧き出るほど見違えた。瞳は何かを期待してる様に感じる。
「わかってる…わかっているわ。ひどい母親よ!でもあの子を失えば私は…。」
「…君も辛いだろうが彼も1人戦っているんだ…君たちは話をするべきだ。それに世間体を気にして大切なものを失う事ほど愚かでしかない。」
泣き出したアマリアにトニーは一呼吸置いて語った。
「おかあさま…?ないてるの?」
ふと顔を上げると悲しそうな顔でこちらを見つめる娘と困った顔のヤルトアが立っていた。
慌てて涙を拭いて娘を抱きしめた。
「なんでもないのよ。ただの痴話喧嘩をしていたの…大人の戯れよ…。」
「あぁ…怖がらせて悪かったね…。」
そう言ってトニーはカナレアの頭を撫でた後ヤルトアの手を握った。
カナレアはトニーの言葉に頷いた後、母の顔を見て言った。
「おかあさま…私眠たいの…そろそろおうちに帰りましょう?」
カナレアの顔を見つめると、半分の気遣いと半分本気で眠たいのだとわかった。
「そうね…そろそろおうちに帰る時間だわ。」
そう言って娘を抱っこすると、カナレアあっという間に眠ってしまった。
「慣れないところで疲れたんだろう…。アマリア、さっきは悪かった…せっかく式にも出てくれたのに…。」
申し訳なさそうにするトニーに首を振った。
「私こそ大切な事を伝えられてなかったから…でもあなたが友人で本当に心強いわ。まだ…友人としていてくれるかしら?」
恐る恐る聞くとトニーは当たり前だと言わんばかりに頷いてくれた。
「ヤルトアもごめんなさい…こんな日に…。」
「いいえ、トニーにいい友人がいる事は私も嬉しい事です。いつでも小さな天使と遊びに来てください。…それから…私達が来た時には何も聞いてないから安心して…。」
そう言ってアマリアに優しい言葉をかけてくれた。
「お二人とも今日は本当におめでとうございます。失礼ですが…今日はこれで…。」
「あぁ、こちらこそ来てくれて嬉しかったよ。」
「道中お気をつけて…。」
そう言って2人は、バルコニーから見送ってくれた。
眠る娘を両手で抱き、会場を出る間近に、イワンの姿が見えた。
アマリアは気付かれない様に、そっと会場を出て着替えを済ませると、カトレアを抱き馬車の方へと歩き出した。
念のため顔がわからない様に深く帽子を被り、黒いスカーフを口に巻いた。
馬車が来るのを待っていると。
「失礼…少しお時間よろしいですか?」
チラッと振り向くとそこには、イワンが立っていた。
目の前の男は、3年前にあった頃より凛々しく男性の魅力湧き出るほど見違えた。瞳は何かを期待してる様に感じる。
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