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「…何故…何故なの⁉︎」
戸惑うケルアを見ながら、スサリアは目の前を凝らして見てみると、水の波紋の様な小さい物体がいた。
風…?
スサリアは心の中で呟いた。まさにその通りだった。だがケルアはその正体が見えていなかった。
しばらく攻撃を繰り返していたが、拉致があかないと思ったのか、気づけば後ろにいた2人の近衛兵に言った。
「この女を地下牢に閉じ込めなさい。」
言われた近衛兵は戸惑う様子もなく、操られているのだろう。
スサリアに近づこうとした。その時風は守ろうとしていたのだろう。だがスサリアは風の方へ向き静かに首を振った。
体の波紋の動きから納得いかないながらも大人しくなった様子でこちらを見ている。
スサリアは大人しく近衛兵に連れられた。その時ケルアの横を通りすぎようとした時、ケルアがつぶやいた。
「よくわからないけど、あなたを殺すのは陛下の前にしてあげるわ。」
返す言葉もないまま地下牢に引きずられていく。
地下牢では、両腕を両サイドにある鎖で繋がれた。手を広げる形で繋がれる。
そして目の前には3人の見張りが着いた。この状況をどうしていくものかと、スサリアは考え出した。
その頃、スサリアの投げたりんごの実は、タラミの家の一室にたどり着いたのだ。
「はぁ…はぁ…スサリアっ…。」
ここに来る前、涙流しながらも自分を逃してくれようとした妻の顔がこびりついて離れない。
妻を守れない自分に腹が立った。
そんな時、慌てた様子でタラミとタタラが入ってきた。
「陛下⁉︎…王妃様は…スサリア様はっ…‼︎」
タタラは焦った様子でタケトルを見つめる。
「タタラ…やめろ…。」
「でもっ‼︎」
「…自分の顔を見てみろ。そんな顔をしていれば、王妃様が泣かれるぞ。」
タタラはふと横をみると鏡越しで顔が歪んでいる事を理解した。
知らず知らずのうちに人を責めてしまっていたのだ。
「陛下…申し訳ありません。…いったい何が…何故王妃様がお持ちのはずのりんごの実から…?」
タケトルは俯き手が真っ白になるまで両手を、握りつぶした。
「…余が不甲斐なく…スサリアは余を逃がそうと…。」
その言葉でタタラとタラミは全てを理解した。
その時タタラは立ち上がりよろめきながらもどこかへ行こうとする。それをタラミは慌てて止めた。
「どこへいかれるのですか?…まず落ち着いて、体の手当をしなくてはっ!」
「城へ…王妃のいる城にも戻らなければっ!」
焦るタケトルをタラミは必死に止めるが言う事を聞かない。
そんな問答を繰り返しているうちに、タケトルはふと気を失ったのだ。もう目の前は真っ暗だった。
戸惑うケルアを見ながら、スサリアは目の前を凝らして見てみると、水の波紋の様な小さい物体がいた。
風…?
スサリアは心の中で呟いた。まさにその通りだった。だがケルアはその正体が見えていなかった。
しばらく攻撃を繰り返していたが、拉致があかないと思ったのか、気づけば後ろにいた2人の近衛兵に言った。
「この女を地下牢に閉じ込めなさい。」
言われた近衛兵は戸惑う様子もなく、操られているのだろう。
スサリアに近づこうとした。その時風は守ろうとしていたのだろう。だがスサリアは風の方へ向き静かに首を振った。
体の波紋の動きから納得いかないながらも大人しくなった様子でこちらを見ている。
スサリアは大人しく近衛兵に連れられた。その時ケルアの横を通りすぎようとした時、ケルアがつぶやいた。
「よくわからないけど、あなたを殺すのは陛下の前にしてあげるわ。」
返す言葉もないまま地下牢に引きずられていく。
地下牢では、両腕を両サイドにある鎖で繋がれた。手を広げる形で繋がれる。
そして目の前には3人の見張りが着いた。この状況をどうしていくものかと、スサリアは考え出した。
その頃、スサリアの投げたりんごの実は、タラミの家の一室にたどり着いたのだ。
「はぁ…はぁ…スサリアっ…。」
ここに来る前、涙流しながらも自分を逃してくれようとした妻の顔がこびりついて離れない。
妻を守れない自分に腹が立った。
そんな時、慌てた様子でタラミとタタラが入ってきた。
「陛下⁉︎…王妃様は…スサリア様はっ…‼︎」
タタラは焦った様子でタケトルを見つめる。
「タタラ…やめろ…。」
「でもっ‼︎」
「…自分の顔を見てみろ。そんな顔をしていれば、王妃様が泣かれるぞ。」
タタラはふと横をみると鏡越しで顔が歪んでいる事を理解した。
知らず知らずのうちに人を責めてしまっていたのだ。
「陛下…申し訳ありません。…いったい何が…何故王妃様がお持ちのはずのりんごの実から…?」
タケトルは俯き手が真っ白になるまで両手を、握りつぶした。
「…余が不甲斐なく…スサリアは余を逃がそうと…。」
その言葉でタタラとタラミは全てを理解した。
その時タタラは立ち上がりよろめきながらもどこかへ行こうとする。それをタラミは慌てて止めた。
「どこへいかれるのですか?…まず落ち着いて、体の手当をしなくてはっ!」
「城へ…王妃のいる城にも戻らなければっ!」
焦るタケトルをタラミは必死に止めるが言う事を聞かない。
そんな問答を繰り返しているうちに、タケトルはふと気を失ったのだ。もう目の前は真っ暗だった。
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