月夜の恋

はなおくら

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告白

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 アビーは幸せの中にいた。ケロウはアビーを見つけると嬉しそうに歩み寄ってくる。

 2人で、休憩がてら庭園を散歩するのも日課になっていた。

 しかしアビーは、自分の気持ちを出さないようにケロウとは一線を引いていた。

 ケロウもそれがわかっているからか、焦るようにアビーに触れる。

 そんな2人をケナやハンスを初め心配気に屋敷の使用人は見ていた。

 その夜、アビーは考えていた。やはり使用人の自分が旦那様の隣にいたままに甘えるわけにはいかない。明日お話しようと決心した。

 次の日、日課となってきた散歩をした際、アビーは口を開く。

「旦那様お話がございます。」

「どうした?アビー?」

 そう言ってケロウはアビーを見つめる。

「旦那様…やはりこうして同じ使用人と共にいてダメだと思うのです。」

「何故だ?」

(何故だなんて…貴方が近くにいると勘違いしてしまうほど愛してしまうからです…)

 言いたい事を心の中で告げた。

「旦那様、屋敷の長です。それに私ばかり相手にしていては、笑われてしまいます…。」

 そう言い切りアビーは俯いた。

 するとケロウは、アビーの足元にかしずき、口を開いた。

「他の人間なんて関係ない…私は…私は君を愛している。」

 アビーは目を見開いた。

「いつの頃からか、君を意識していた…。若い君からしたら私は不満かな?」

 そう言って不安げにアビーを見つめた。

 アビーは歓喜した。幼い頃から慕い続けた相手が同じ気持ちなど信じられなかった。でもやはり前の奥様カーラの事がどうしても頭から離れない。

 それに、自分が縦に首を振れば、今は幸せでもいつか彼が悲しむ日が来ると、
アビーは目に涙を浮かべ俯いていた。

 泣いているアビーにケロウは、悲しげな顔になり口を開く。

「何がそんなに悲しい?私の想いは重荷か?」

「…いいえ…。」

 ケロウの想いはアビーにとって嬉しい言葉だ。

 ケロウは、はっとしてまた口を開く。

「前に好きな男がいると言っていたが、その男が忘れられないのか?」

「………。」

 アビーは黙ってしまった。それをケロウは肯定と勘違した。心の中に湧き上がる嫉妬心が抑えられずに、スッと立ち上がるとアビーの腕を掴んだ。

「……痛いっ!」

「……君が誰を愛していても誰にも渡さない…。君が私を見てくれないのなら見てくれるまで待つ。」

 そう言ってアビーを自分の腕の中に閉じ込めた。

 抱きしめられているアビーは、強引な事を言われているが、ケロウの腕は優しく温かかった。

そして目を閉じた。自分で自分が分からなくなって来ていた。そして答えが見つかるまでこの腕の中に、もうしばらくだけいたいと思った。
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