再びあなたに会えて…

はなおくら

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「…王太子殿下、どういうおつもりですか?」

 怒りを含ませた声でジョセフ様は王太子殿下を見据えていた。

 そんなかジョセフ様の事も気にならないのか、済ましたまま王太子殿下は口を開いた。

「御礼を言っただけだ。」

「…お心遣い感謝します。…ですが既婚の女性に軽はずみな行動をされるのはどうかと思いますが…。」

 私は王太子殿下に言葉を返すジョセフ様が心配で、彼の裾を握りしめた。

 ジョセフ様はそのことに気がつくと、握りしめていた手を握った。

 大丈夫だと笑顔で返されて少し安心した。

「では私はこれで失礼します。」

 ジョセフ様に手を引かれて庭園を後にした。

 屋敷に着くと、留守番をしていたジョナサンが乳母と共に出迎えてくれる。

「ママ!パパ!」

 可愛い我が子を抱き上げて、頬にキスを落とす。

「ただいま、ジョナサン。」

 そう言葉を返すとジョナサンは嬉しそうに笑って見せる。

 ジョセフ様に頭を撫でられて喜ぶ息子と共に食事を済ませた。

 その夜、眠りにつこうとベッドに入り、隣にいるジョセフ様の手で頭を肩に乗せられた。

 彼の肩に頭を寄せて心地よくなる。

 しかしジョセフ様の雰囲気からどこか憂う様な雰囲気を感じ取っていた。

「ジョセフ様…?」

 私が声をかけると彼は、私の肩を手繰り寄せて言った。

「綺麗な奥さんを持つと苦労するな。」

「えっ…?」

 突然の発言に戸惑って聞き返した。

「王太子殿下は君のことを気に入ったんだ。」

 ジョセフ様が憂い顔を見せながらもこちらを見ようとしない。

 私はそんな彼が少し可愛く思えていた。

「ジョセフ様。」

 彼の顔を両手で包み、おでこに唇を寄せた。

「私はあなただけを愛してます。たとえ誰かが貴方と私を引き離したとしても、いつか前の時の様に離れていても忘れることなんてありえません。」

 自分の言った言葉に自信があった。

 彼の元を離れても想いは消えることがなかったから。

 そんな私に彼も少しは安心してくれた様だった。

 その夜二人で互いを温め合いながら眠りについたのだった。

日々の生活の中で変わったことがあった。

それは王太子から過分な程の贈り物が届く様になった。

ほとんど毎日来るので、王太子に手紙でお断りの連絡を送る事もあったが無くなる気配がなかった。

そんな事が続きある日ジョセフ様は、やめてもらえる様に伝えに行くと言って王都に出かけて行った。

ジョナサンを抱きしめながら、ジョセフの帰りを待っていたが彼が帰ることはなく、何日待っても帰ってくる事がなかった。
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