花嫁の勘案

はなおくら

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 あれから自分の身体がおかしい。

 身体が火照り、下に熱い熱を持ったかの様な感覚に襲われる。

 それもヴォルス様を目の前にするとより一層強く感じる。

 そんな調子が何日も続き、誰にも相談できずにいた。

 今もヴォルス様との夕食だというのに、彼の顔を見れば、身体が熱くなっている。

 毎夜、自分を慰めているのに足りない。

 私はあまりにもはしたない自分に恥ずかしくなり、ヴォルス様と距離を置く事にした。

 なるべく2人にならない様に、食事時も時間をわざとずらして向かった。

 そんな生活を一週間も続けていたある日、汗ばむ身体を氷水で冷やして部屋に閉じこもっていた。

 突然ドアの音が鳴るなり、ヴォルス様に声をかけられた。

「ナタリア?体調でも悪いのか?」

 突然の事にわたしは慌てて返事をした。

「少し熱があるだけです。ゆっくり休めば治りますから…。」

 こういえばヴォルス様も安心するだろうと思っていたが、そうはならなかった。

「少し顔を見せてくれ。」

「っ…それは…。」

「少しだ。」

 そう言われて仕舞えば断ることもできずにわたしは彼を部屋に招き入れた。

 彼と向かい合うと、また落ち着いた熱が頬に集中した様に熱くなった。

 彼に見つめられると、恥ずかしいこともないのに目を合わせられない。

 メイドが素早くお茶を入れて早々に下がっていった。

「最近会わなかったから気になっていたんだ。熱があると聞いたが医者に見せたのか?」

「…いえ…。大した事はありませんから…。」

 彼から目を逸らすが、逸らすほどヴォルス様がこちらを凝視してくる。

 こんな時に欲情してる自分がだらしなく感じる。

「顔が赤いな…やはり見てもらった方がいい。」

 席を立ち上がる彼を引き止めようと咄嗟に彼の手を掴んだ。

 その瞬間、大きな手から伝わる熱を感じた。

 さっと手を離すと、ヴォルス様は怪訝な顔をした。

「ナタリア、どうした?」

「っ…なんでもありませんから…。医者は呼ばないで…。」

 わたしがそういうと、ヴォルスの手のひらが私の首に触れた。

 彼は熱を見てくれていたのだが、わたしはどうしようもなく声が出てしまった。

「あっ…。」

 自分の口を塞いで彼の手から逃れようとしたが、次の瞬間彼に抱きしめられていた。

「ヴォルス様…。」

「ナタリア…。」

 彼の顔を見つめると、わたしの様子を察した彼がわたしの顔に近づいた。

 しばらくして柔らかな唇が触れる。

 チュッチュッと音を鳴らして、彼が角度を変えてキスをくれる。

 わたしは抑えられていた欲望を少しずつ解き放っていく。
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