4 / 45
4
しおりを挟む
固まる彼の首に私は手を回して自分から口付けをした。
びくりと驚からている事に気づいていたが、恥ずかしさを隠すように目を瞑った。
しばらくして次の事にどうすればいいのかわからず、唇も離せないまま固まってしまった。
このあとどうすればいいんだろう。
頭の中が、パニックを起こしている。
ヴォルス様からもアクションがない。
自分からしておいてなんだがどうすればいいのかわからないが、一つわかった事はキスがこんなにも気持ちのいいものなのだと実感した。
小説の主人公はこんな甘い気持ちになっているのかと。
ヴォルス様とは結婚式でキスを交わしていたが、緊張のあまり記憶にない。
だからわたしにとってこれが初めてのキスなのだ。
ずっとこうするわけにもいかず、わたしは勢いで唇を離して、上に羽織っていた上着を素早く脱いだ。
そして止まらない震えに耐えつつ言った。
「抱いてください…。」
目の前では、固まるヴォルス様がハッとしたような顔をして言った。
「何してる?…やめろ。」
そう言って床に落としたわたしの上着を拾い上げてきせようとしてきた。
それにわたしはかっとなった。
「待ってください。抱いてくださればっ…あなたもわたしを愛してくれるはずですっ…‼︎」
必死に訴えるわたしにヴォルス様は気のせいか耳が真っ赤になっていた。
「…君にこんな情熱的な面があるとは…。」
「……っ…!」
はしたないと幻滅されただろうか?
そんなことを思いつつわたしは、彼の胸に縋りついた。
ヴォルス様の顔を見つめると彼は息を吐いて言った。
「わかった…君に協力しよう…しかし段階を踏んでからだ。」
「ヴォルス様っ!」
嬉しくなって彼の体を抱きしめると、彼もぎこちなくではあるがわたしを抱きしめ返してくれた。
そして、上着を再び着せなおしてくれた。
「とりあえず今日は寝よう。協力する為君のいう通りにしよう…。」
「ありがとうございますっ…!」
嬉しくなったわたしは、部屋から出ようとした時だった。
「送ろう。」
ヴォルス様は私の手を握ってくれた。
彼に部屋に送ってもらうのはこれが初めてなので、胸に温かいものが広がった。
わたしの部屋の前までつくと、ヴォルス様はわたしの手を離そうとしたので、私は彼の手を掴み言った。
「…お休み…のキスをくれませんか?」
彼の顔の前で目を閉じて待った。
「…おやすみ。」
おでこに柔らかな感覚が広がった。
目を開けるとヴォルス様は背を向けて歩き出していた。
わたしは今日起こした行動に後悔はなかった。
びくりと驚からている事に気づいていたが、恥ずかしさを隠すように目を瞑った。
しばらくして次の事にどうすればいいのかわからず、唇も離せないまま固まってしまった。
このあとどうすればいいんだろう。
頭の中が、パニックを起こしている。
ヴォルス様からもアクションがない。
自分からしておいてなんだがどうすればいいのかわからないが、一つわかった事はキスがこんなにも気持ちのいいものなのだと実感した。
小説の主人公はこんな甘い気持ちになっているのかと。
ヴォルス様とは結婚式でキスを交わしていたが、緊張のあまり記憶にない。
だからわたしにとってこれが初めてのキスなのだ。
ずっとこうするわけにもいかず、わたしは勢いで唇を離して、上に羽織っていた上着を素早く脱いだ。
そして止まらない震えに耐えつつ言った。
「抱いてください…。」
目の前では、固まるヴォルス様がハッとしたような顔をして言った。
「何してる?…やめろ。」
そう言って床に落としたわたしの上着を拾い上げてきせようとしてきた。
それにわたしはかっとなった。
「待ってください。抱いてくださればっ…あなたもわたしを愛してくれるはずですっ…‼︎」
必死に訴えるわたしにヴォルス様は気のせいか耳が真っ赤になっていた。
「…君にこんな情熱的な面があるとは…。」
「……っ…!」
はしたないと幻滅されただろうか?
そんなことを思いつつわたしは、彼の胸に縋りついた。
ヴォルス様の顔を見つめると彼は息を吐いて言った。
「わかった…君に協力しよう…しかし段階を踏んでからだ。」
「ヴォルス様っ!」
嬉しくなって彼の体を抱きしめると、彼もぎこちなくではあるがわたしを抱きしめ返してくれた。
そして、上着を再び着せなおしてくれた。
「とりあえず今日は寝よう。協力する為君のいう通りにしよう…。」
「ありがとうございますっ…!」
嬉しくなったわたしは、部屋から出ようとした時だった。
「送ろう。」
ヴォルス様は私の手を握ってくれた。
彼に部屋に送ってもらうのはこれが初めてなので、胸に温かいものが広がった。
わたしの部屋の前までつくと、ヴォルス様はわたしの手を離そうとしたので、私は彼の手を掴み言った。
「…お休み…のキスをくれませんか?」
彼の顔の前で目を閉じて待った。
「…おやすみ。」
おでこに柔らかな感覚が広がった。
目を開けるとヴォルス様は背を向けて歩き出していた。
わたしは今日起こした行動に後悔はなかった。
1
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説

エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

一途なエリート騎士の指先はご多忙。もはや暴走は時間の問題か?
はなまる
恋愛
シエルは20歳。父ルドルフはセルベーラ国の国王の弟だ。17歳の時に婚約するが誤解を受けて婚約破棄された。以来結婚になど目もくれず父の仕事を手伝って来た。
ところが2か月前国王が急死してしまう。国王の息子はまだ12歳でシエルの父が急きょ国王の代理をすることになる。ここ数年天候不順が続いてセルベーラ国の食糧事情は危うかった。
そこで隣国のオーランド国から作物を輸入する取り決めをする。だが、オーランド国の皇帝は無類の女好きで王族の女性を一人側妃に迎えたいと申し出た。
国王にも王女は3人ほどいたのだが、こちらもまだ一番上が14歳。とても側妃になど行かせられないとシエルに白羽の矢が立った。シエルは国のためならと思い腰を上げる。
そこに護衛兵として同行を申し出た騎士団に所属するボルク。彼は小さいころからの知り合いで仲のいい友達でもあった。互いに気心が知れた中でシエルは彼の事を好いていた。
彼には面白い癖があってイライラしたり怒ると親指と人差し指を擦り合わせる。うれしいと親指と中指を擦り合わせ、照れたり、言いにくい事があるときは親指と薬指を擦り合わせるのだ。だからボルクが怒っているとすぐにわかる。
そんな彼がシエルに同行したいと申し出た時彼は怒っていた。それはこんな話に怒っていたのだった。そして同行できる事になると喜んだ。シエルの心は一瞬にしてざわめく。
隣国の例え側妃といえども皇帝の妻となる身の自分がこんな気持ちになってはいけないと自分を叱咤するが道中色々なことが起こるうちにふたりは仲は急接近していく…
この話は全てフィクションです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

散りきらない愛に抱かれて
泉野ジュール
恋愛
傷心の放浪からひと月ぶりに屋敷へ帰ってきたウィンドハースト伯爵ゴードンは一通の手紙を受け取る。
「君は思う存分、奥方を傷つけただろう。これがわたしの叶わぬ愛への復讐だったとも知らずに──」
不貞の疑いをかけ残酷に傷つけ抱きつぶした妻・オフェーリアは無実だった。しかし、心身ともに深く傷を負ったオフェーリアはすでにゴードンの元を去り、行方をくらましていた。
ゴードンは再び彼女を見つけ、愛を取り戻すことができるのか。
続・上司に恋していいですか?
茜色
恋愛
営業課長、成瀬省吾(なるせ しょうご)が部下の椎名澪(しいな みお)と恋人同士になって早や半年。
会社ではコンビを組んで仕事に励み、休日はふたりきりで甘いひとときを過ごす。そんな充実した日々を送っているのだが、近ごろ澪の様子が少しおかしい。何も話そうとしない恋人の様子が気にかかる省吾だったが、そんな彼にも仕事上で大きな転機が訪れようとしていて・・・。
☆『上司に恋していいですか?』の続編です。全6話です。前作ラストから半年後を描いた後日談となります。今回は男性側、省吾の視点となっています。
「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる