氷の艶やかな青年

35

　セジャの移動により、ハンナは自分の家に帰ってきた。

　再会した両親は私を抱きしめると何か察したのか何も言わなくなった。

　母に連れられ部屋で休むことになり、自分の部屋に戻ると、母は何も言わずに抱きしめてくれていた。

　母が部屋を出て、窓を見るとセジャは帰るのか、ハンナの両親と何か話をしていたが、その後両親はセジャを抱きしめていた。

　その姿に、嬉しく涙した。

　あれからセジャの父とは会っていない。

　セジャが何かしてくれているのかと思う。

　ハンナは、昼間は学園に行き、放課後は病で苦しむ人々に奉仕活動を続けた。

　最初こそ警戒されていたが、ハンナの人柄や献身的な奉仕により、みんなから信頼されていった。

　それにすごい事が、他の人よりも低い魔力と重れていた力も、今では誰よりも強大な力に変わっていた。

　不治の病と告げられた人々も全員ではないが、完治する者も現れた。

　懸命に働くハンナにも辛い事がある。

　闘病の末助けられず、還らぬ人となった者たちとの別れであった。

　ハンナはその度に、彼等を尊い祈りを捧げたのだった。

　セジャも度々…いやかなりの頻度で滞在して他の人々を見舞いつつ、ハンナと逢瀬を重ねた。

　ハンナも今ではこの時間しか彼と会えず、大切な時間となっていった。

「疲れてない?」

　セジャはいつもハンナの体調を気遣った。

「君の噂が王都にも届いているよ。」

「よかった…。あなたは大丈夫なの?」

　セジャは頷いた。

「あぁ…父を説得できたが、問題は相手のご令嬢でね…。」

「どうしたの?」

　ハンナは心配で、セジャの手を握る。

　セジャは大丈夫だと伝えると、ハンナにキスを落とした。

「君が心配する事はないよ…。それより会うたびに思うのが…ハンナ…もしかしたら聖女の力を取り戻してるのでは?」

「えっ…?」

セジャの指摘にハンナは築いていなかった。

　しかし感覚では、初めの頃わずかしか無かったが、今は少し無理をしても平気になってきた様に思う。

「君からの魔力が、昔感じた聖者の力を感じるんだ。」

「どういう事?」

「僕も不思議だよ…。君にはまだ話してない事があるんだけど、僕には多様の力がある。それはね…君が前世で亡くなる前に捧げた祈りのおかげなんだ。」

「どういう事?」

　確かに見た記憶の最後、彼のためにと祈った記憶はあった。

「僕はね生まれた頃、君の願いを聞いた存在にこの事を聞いたんだ。その代わり生まれてくる君の魔力は下がってしまうのだと…。」

「そうだったの…。」

　ならなぜこんなに魔力が増えたのか、謎のままだった。