氷の艶やかな青年

はなおくら

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 セドリックに揶揄われながら、無視を決め込みセジャの話しに耳を傾けた。

 ハンナが顔を上げると、見た目は普通ににこやかに笑っている彼だが、なんだか恐ろしい雰囲気を醸し出している様な機嫌が悪い感じがした。

 周りを見ても、誰も気づいていない様子だった。

 彼の演説に皆が拍手を送り朝礼が終わった。

 そしてその日は何ともなく終わり、昼食どきもセジャと楽しく過ごしたハンナは気のせいだったと安心していた。

 彼の目の奥には嫉妬を隠している事にも気が付かなかった。

 セジャとお茶を飲んで過ごしていたある日、また公爵家で夜会が開かれる事になった。

 そこには、婚約者も必要との事で、ハンナも参加する事になった。

「度々夜会に呼び出してすまない。」

「いえ、私も足を引っ張らない様に頑張ります。」

「ありがとう。そうだ!」

 そう言うと、セジャは執事に箱を持って来させた。

 セジャは執事から箱を受け取ると、座っているハンナの後ろに立ち、2人にしてほしいと、使用人に伝えた。

「君に贈りたいものがあるんだ。」

 そう言うと、とても大きなサファイアのイヤリングとネックレスが入っていた。

「まぁ…。」

 あまりの大きさに、驚いているとセジャはそれをもってハンナの首にネックレスを、耳にイヤリングをかけた。

 彼からネックレスをつけてもらっているあいだ、ドキドキと心臓が激しくたかなっていた。

 ハンナの首筋にセジャは甘いキスを落とした。

「あっ…。」

 そして耳元で甘く低い声で言った。

「夜会の間は、僕のそばにいてね。」

 ゾクゾクする様な独占欲に、ハンナは甘い鼓動を感じながら頷いた。

 夜会の日当日、ハンナはセジャに連れられて会場へと入った。

 美しい音楽が鳴り、セジャとダンスを踊った。

 その光景に周りの女性がうっとりと彼を見つめている。

 その時、またセドリックが顔を出して笑いかけてきた。

 そんな彼に微笑んで返す。

「彼とは、とても仲がいいみたいだね。」

 踊りの途中に急に声をかけられてビクッとした。

「友人ですから…それ以上では…。」

 そう弁明するが、セジャ不機嫌にもそっけなかった。

 ダンスが終わり、踊り場から戻るとセジャはあっという間に囲まれた。

 セジャは交流のある婦人もいてる為、蔑ろにできずその場にとどまる。

 こんな状況は苦手で、そっとその場を離れようとするとセジャにグッと手を掴まれたまま引き戻される。

 いつも優しい彼と違って強引で戸惑った。

 他の女性陣には冷たい視線を投げられて居心地が悪かったが、笑顔で取り繕った。


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