わがままな娘

はなおくら

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 それからはセレナが、驚くほどに事が早く進んでいった。

 愛する者を傷つけられた怒りを発散するかのようにロットは的確に支持を出し、キムを追い詰めていった。といっても、彼はもう抵抗する力も残っていなかった。

 セレナが部屋で刺繍を施していたとき、出かけていたロットが帰宅し、セレナの部屋へと訪れた。

「セレナ、全て終わったよ。」

 その一言にセレナは安堵した。

「…ようやく…ようやく全ておわったのね…ロット、貴方にはなんてお礼を言ったらいいのか…。」

 泣いてロットの身体にしがみつくセレナの頭を撫でる。

「お礼なんていらない。君が幸せなら僕も嬉しい。」

 そういうとロットは、懐から小箱を取り出した。

 セレナがその箱を不思議に見つめていると、ロットが中の物を取り出した。

「セレナ、結婚して欲しい。」

 セレナは目を見開き一瞬固まった。

 ロットはその瞬間、セレナの薬指に指輪を嵌めた。

 セレナはやっと指に感触が戻り、自分の手元に目を向けた。

 左の薬指には、ダイヤの指輪がきらりと光っていた。

「…っ…私…私…。」

 セレナは涙が溢れて言葉が出せずにいた。

 その様子をロットは、優しく微笑んで見つめている。

「君が嫌といっても、僕はやめない。僕と幸せになろう?」

「っ…っ…は…い…。」

 必死に声を出してセレナはそう返事を返した。

 今までいろんな事があった。でもその度にいつもそばで支えてくれてのは、彼だった。

 彼となら自分も幸せになれる。支え合っていける。

 セレナは、そう自信を持って思える様になっていた。

 半年後。

 セレナは鏡の前で、しあわせな自分の姿に酔いしれていた。

 するとドアの音が鳴る。振り返るとタキシード姿のロットが部屋に入ってきた。

「…セレナ…とても綺麗だ…。」

 ロットの賛辞にセレナの頬は赤くなる。

「ありがとう…貴方も素敵よ…。」

 セレナの格好は、真っ白なウェディングドレスに身を包んでいた。

 今日は2人の結婚式だ。

「さぁ、もうみんな待ってるよ。行こう。」

「えぇ。」

 2人で式場までの長い廊下を歩く。するとロットが口を開いた。

「君とこの日を迎えられた事を嬉しく思うよ。それに君はいつもだが、誰よりも美しい…。」

 ロットそう言ってセレナの方を向いた。

「私もロットのそばにいられることに感謝しかありませんわ…。私はこれからも貴方と共にあります。」

 こうして2人は熱いキスを交わし、幸せの光のなかへと歩いていったのだった。
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