わがままな娘

はなおくら

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 中へ入ると、両親が迎えてくれた。セレナが帰宅して嬉しい表情の反面少し強張ってもいた。特に父が。

 セレナは、父の方を向き言った。

「お父様…どう転ぶかわかりません…。何が正解かもわからない…。」

「セレナ…。」

 俯くセレナに、父も返答に困っていた。そしてセレナは覚悟を決めて言葉を放つ。

「でも私は私の決断を信じます…。」

 そう言って両親の横をすり抜け、階段を上がり、妹キャムの部屋へ立つ。

 戸を叩くと中から声が聞こえた。それを合図に部屋へと足を踏み入れる。

「久しぶり…キャム…。」

 緊張した声で前を見据えると、窓を眺めてこちらをに背を向けるキャムの姿があった。

「お姉様…久しぶり…。」

 キャムは振り替えり天使の様な笑みを浮かべてこちらを見つめる。

「…立って話すのもなんです…。こちらに掛けてください。」

 そう言ってソファへと腰を落とす。するとタイミングよくメイドがティーセットを運んできた。

「…ありがとう…。」

 お礼を言うセレナに、メイトは一礼して部屋を出て行く。

「……随分とかわられたのですね…お姉様?」

「えぇ…運命の人に出会ったおかげかしらね…。」

 そう返すと、キャムは少し顔を歪めたがまた口を開く。

「それで…私になんの御用ですか?」

 そう聞かれて、セレナは少し黙った後言った。

「キムが捕まったのは知ってるわよね?」

「……えぇ…私もまさかお姉様を狙うなんて驚いております…私というものがありながら…。」

 そう言って顔を覆って泣いている。セレナは嘘泣きである事を見抜いていた。

「キャム…貴方他にも通じてる殿方がいるんじゃなくて?」

「…何が仰りたいの?」

 キャムが弱々しい声で返す。

「貴方が私の事を嫌い疎んじている事は知っていたわ。…周りは誤魔化せても私は誤魔化せないわよ…?…私に関係してる殿方と端から関係を持っていってるでしょ?」

 セレナの言葉にキャムは目に涙溜めて
立ち上がり声を上げて抗議した。

「何をいうの!お姉様!私はそんな酷い事していないわ…。それに…。」

「もういいのよ…キャム…。私たちは一度話をしてお互いの道を決めなければならないわ…。」

 キャムの言葉を遮ってセレナは言う。

「まずは姉である私からね…。ごめんなさい。本来ならば貴方が家に来た頃から、暖かく迎えなければならないところを疎外にしてしまった事を謝るわ…。数々の嫌がらせもね…。」

 セレナの謝罪にキャムは驚いた…。だが人間誤って貰えたとしても心の傷は、生身の傷よりも深ければ深いほど、直すことが難しい。
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