わがままな娘

はなおくら

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 男2人にでてもらい、母はセレナの隣に座った。

 そしてセレナの頭を撫で言う。

「貴方にこう言う事をしてあげるのはどれくらいぶりかしら…セレナ…ごめんなさい…。貴方には辛い事ばかり強いてたわね…。」

 そう言うと子供をあやすように母は、優しく抱きしめた。

「いいの…お母様…私もわがままだったんだもの…。」

 そう言って頭を撫でてもらう心地よさに、目を閉じる。

「ありがとう…。ロットとはどう?」

 母はわざとロットの話を出した。それにはセレナも暗い気持ちになる。

「ロットとは会えていないの…。こんなに何日も会えなかったのは初めてよ…。」

 セレナは泣きながら母の胸に抱きつく。

「……セレナ…。本当に見えていないの?」

「どう言う事…?」

 優しげに質問する母の言葉の意味がわからなかった。
 すると母は微笑みながら言った。

「かわいいセレナ。貴方を大切にしてくれる人間の目をちゃんと見なさい。そうすればいずれ貴方にもわかる日がくるわ。私がお父様を見つけたようにね…。」

「?…はい…お母様。」

 そう言って母に今までの分めいいっぱ甘えた。それから気になる事を聞いてみた。

「お母様…キャムは家にいるの?」

「えぇ…今回の件で謹慎になっているの…。」

 セレナは驚いた。何故彼女が謹慎になっているのか…。

「仕方のない事だわ…。キム様があんな事を起こしてしまえば、キャムも疑われてしまうの。」

「…そんな…。」

「それにあの子は、私も庇いきれない事まで…。」

「えっ…?」

 セレナは戸惑った。母は何を言おうとしていたのか。

「なんでもないわ。何かあればこちらから連絡します。それから…今の貴方なら大丈夫。私にとってあんな子でも私の子よ、それは貴方も変わらない。大切な子供達なの。」

 母のその言葉は今ならよくわかる。自分は素晴らしい両親の元に生まれたのだと、心から思えた。

「お母様、安心して分かってるわ…。」

 そう言って微笑むタイミングと同時にロットと父が帰ってきた。

 それからはお茶を一杯飲み、話をして、両親2人は笑顔で帰って行った。

 屋敷に戻り、自分の部屋にロットがついてきた。セレナは改まって、彼にお礼を言った。

「今日は両親をもてなしてくれてありがとう…。」

 そう言って、母が言っていた言葉を思い出す。

 その言葉通り彼の瞳を見つめた。するといつもはなんとも思わないのにひどく懐かしく、恋しく、愛おしいと言う感情が流れ込んで、胸が熱く高鳴った。

「セレナ?」

 ロットの呼びかけにハッとして、笑顔で誤魔化す。

「なんでもないの!今日はありがとう…。」

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