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「ロット…ロット…‼︎」
目の前に背を向けた彼がいる。どんなに叫んでも振り向いてくれない。
(どうして?なぜ私を見てくれないの?)
俯いている間に彼の姿はどこにもなかった。
あたりを探し回るが誰もいない。
(どこ?…どこにいるの?)
探している間に何を探しているのかわからなくなってきていた。
(私はいったい何を探して、何を求めているの?………わからない…わからない…。)
段々目の前が真っ白になる。何か大切な事を覚えてないといけないのに、自分がわからなくなって来る。
(大切な……。)
屋敷内、ロットは眠るセレナの手を握っている。
眠っている彼女の顔はとても安らかで安心する。
ふとセレナの瞼が動き出した。
「セレナ‼︎」
ロットの問いかけに、セレナは瞳を開けた。
立ち上がり顔をマジマジと見るロットをよそに、セレナは反応しない。
「…セレナ?…。」
明らかに様子がおかしい事を察したロットは戸惑いを隠せなかった。だが勇気を出して話しかけた。
「セレナ?ここがどこかわかる?…身体の調子は?」
「…………。」
ただ前を向いている。
「嘘だ…セレナ!!僕だ…わからないのか‼︎」
ロットはセレナの肩を掴み声をあげた。それでもなおセレナは動じない。
ロットの怒鳴り声を聞きつけて、アンジュ達も部屋に入ってきた。
アンジュはセレナの表情を見て驚いた。すぐさま、騎士たちにロットを落ち着かせる様指示して、自分は医者を呼びに駆け出した。
セレナを見た医者が部屋から出てきた。ロットはすぐ駆け寄った、その後ろにアンジュも控えている。
「医長!彼女の容体は?」
すると医師は悲しげな顔を浮かべて口を開いた。
「おそらく…精神的なショックが大きかったのでしょう…。一部だけ記憶が忘れているのです。」
「……一部だけ?」
ロットの聞き返しに医師は頷き、説明をし出す。
「はい…それはご主人様の事です。ですが完全に忘れているわけではありません。貴方の肖像画をお見せしたところ、婚約者である事は理解しています。」
ロットは安心した。自分の事は忘れていないそう思った。
だが次の一言にショックを受ける。
「……肖像画のご主人様は認知していますが……今目の前にいるご主人様の事だけを忘れてしまっている様なのです。」
「………………そんな…。」
あまりにもショックだった。彼女が自分との過ごしてきた時間も、自分の顔を見てもわからないなんて…。
「申し訳ありません。記憶はいつどうなるかわかりません。ですがお気を落とさず。」
そう言って、医師はとぼとぼと帰っていった。
目の前に背を向けた彼がいる。どんなに叫んでも振り向いてくれない。
(どうして?なぜ私を見てくれないの?)
俯いている間に彼の姿はどこにもなかった。
あたりを探し回るが誰もいない。
(どこ?…どこにいるの?)
探している間に何を探しているのかわからなくなってきていた。
(私はいったい何を探して、何を求めているの?………わからない…わからない…。)
段々目の前が真っ白になる。何か大切な事を覚えてないといけないのに、自分がわからなくなって来る。
(大切な……。)
屋敷内、ロットは眠るセレナの手を握っている。
眠っている彼女の顔はとても安らかで安心する。
ふとセレナの瞼が動き出した。
「セレナ‼︎」
ロットの問いかけに、セレナは瞳を開けた。
立ち上がり顔をマジマジと見るロットをよそに、セレナは反応しない。
「…セレナ?…。」
明らかに様子がおかしい事を察したロットは戸惑いを隠せなかった。だが勇気を出して話しかけた。
「セレナ?ここがどこかわかる?…身体の調子は?」
「…………。」
ただ前を向いている。
「嘘だ…セレナ!!僕だ…わからないのか‼︎」
ロットはセレナの肩を掴み声をあげた。それでもなおセレナは動じない。
ロットの怒鳴り声を聞きつけて、アンジュ達も部屋に入ってきた。
アンジュはセレナの表情を見て驚いた。すぐさま、騎士たちにロットを落ち着かせる様指示して、自分は医者を呼びに駆け出した。
セレナを見た医者が部屋から出てきた。ロットはすぐ駆け寄った、その後ろにアンジュも控えている。
「医長!彼女の容体は?」
すると医師は悲しげな顔を浮かべて口を開いた。
「おそらく…精神的なショックが大きかったのでしょう…。一部だけ記憶が忘れているのです。」
「……一部だけ?」
ロットの聞き返しに医師は頷き、説明をし出す。
「はい…それはご主人様の事です。ですが完全に忘れているわけではありません。貴方の肖像画をお見せしたところ、婚約者である事は理解しています。」
ロットは安心した。自分の事は忘れていないそう思った。
だが次の一言にショックを受ける。
「……肖像画のご主人様は認知していますが……今目の前にいるご主人様の事だけを忘れてしまっている様なのです。」
「………………そんな…。」
あまりにもショックだった。彼女が自分との過ごしてきた時間も、自分の顔を見てもわからないなんて…。
「申し訳ありません。記憶はいつどうなるかわかりません。ですがお気を落とさず。」
そう言って、医師はとぼとぼと帰っていった。
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