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あれからセレナは再び両親と会う事にした。
ロットは無理しなくていいと言っていたが、彼女は向き合う事にした。
そして今日、4人で会う事になっている。
「なんだか…緊張するわ…。」
セレナは胸に手を当て早まる鼓動を抑えようと深呼吸を繰り返していた。
「大丈夫だよ。君の両親だ、それに僕もいるから何かあれば言ってほしい。」
「ありがとう。」
単純にロットの励ましが心強かった。
今両親を2人で待っていた、どれくらい経ったのか二人が入ってきた。
「この度、お越しくださりありがとうございます。」
「いや…こちら側がお礼を言う話だ。招待ありがとう。」
ロットが握手を交わして、場を繋いでくれる。
それからたわいのない話で盛り上がりながら食事を進めていく。
セレナはどこか気まずい気持ちで汗を流していたが、そのたびにロットが手を握り支えてくれる。
その行為に彼への愛しさが溢れてくる。
食事を終えて、最初にセレナに声をかけてきたのは父だった。
「セレナ、元気にしていたか?…今まですまなかった。突き放した様な真似をしたが、それは全てお前の為だったと理解してほしい。」
その言葉に、ある疑問が湧いた。
「いえ…私も世間知らず立ったのです。ですが一つ気になる事があります。お父様、お母様はキム様とキャムが恋仲であった事ご存知でしたか?」
その問いに二人は押し黙った。
しばらくしてから母が父の代わりにと返答した。
「貴方を家に出すまで知らなかったの。でも、それからしばらく経ってキム様からキャムに求婚の手紙が届いたの。私たちもそれには戸惑ったわ。」
「あぁ。あの子は悪気がない子だ。自分のやっている事が相手を傷つけている事もわからないところもある。だが私達はこの件はお前への対抗心なのだと気づいたんだ。」
そう言って二人は返した。それからセレナはまた聞きたいことを問いた。
「お父様、お母様…もう一つ知りたい事があります。私を破門にした理由は何となくわかりますが、何故ロットの元へ預けたのですか?」
「それは僕から話すよ。」
そしてロットは語り出した。
ロットの話はこうだ。セレナの知らない所でキムとキャムが密かに恋を育んでいたのは社交界でも有名な話だった。
そこでロットはこの事を伏せたまま、セレナの両親に会いに行き、裁判まで持ち込んだのだった。
「すまない…君を不幸にしている事はわかっていたんだ。だがこのままあいつに君を譲るのが我慢ならなかったんだ。」
そう言って頭を下げた。それを慌ててセレナは頭を上げる様に手を添えた。
ロットは無理しなくていいと言っていたが、彼女は向き合う事にした。
そして今日、4人で会う事になっている。
「なんだか…緊張するわ…。」
セレナは胸に手を当て早まる鼓動を抑えようと深呼吸を繰り返していた。
「大丈夫だよ。君の両親だ、それに僕もいるから何かあれば言ってほしい。」
「ありがとう。」
単純にロットの励ましが心強かった。
今両親を2人で待っていた、どれくらい経ったのか二人が入ってきた。
「この度、お越しくださりありがとうございます。」
「いや…こちら側がお礼を言う話だ。招待ありがとう。」
ロットが握手を交わして、場を繋いでくれる。
それからたわいのない話で盛り上がりながら食事を進めていく。
セレナはどこか気まずい気持ちで汗を流していたが、そのたびにロットが手を握り支えてくれる。
その行為に彼への愛しさが溢れてくる。
食事を終えて、最初にセレナに声をかけてきたのは父だった。
「セレナ、元気にしていたか?…今まですまなかった。突き放した様な真似をしたが、それは全てお前の為だったと理解してほしい。」
その言葉に、ある疑問が湧いた。
「いえ…私も世間知らず立ったのです。ですが一つ気になる事があります。お父様、お母様はキム様とキャムが恋仲であった事ご存知でしたか?」
その問いに二人は押し黙った。
しばらくしてから母が父の代わりにと返答した。
「貴方を家に出すまで知らなかったの。でも、それからしばらく経ってキム様からキャムに求婚の手紙が届いたの。私たちもそれには戸惑ったわ。」
「あぁ。あの子は悪気がない子だ。自分のやっている事が相手を傷つけている事もわからないところもある。だが私達はこの件はお前への対抗心なのだと気づいたんだ。」
そう言って二人は返した。それからセレナはまた聞きたいことを問いた。
「お父様、お母様…もう一つ知りたい事があります。私を破門にした理由は何となくわかりますが、何故ロットの元へ預けたのですか?」
「それは僕から話すよ。」
そしてロットは語り出した。
ロットの話はこうだ。セレナの知らない所でキムとキャムが密かに恋を育んでいたのは社交界でも有名な話だった。
そこでロットはこの事を伏せたまま、セレナの両親に会いに行き、裁判まで持ち込んだのだった。
「すまない…君を不幸にしている事はわかっていたんだ。だがこのままあいつに君を譲るのが我慢ならなかったんだ。」
そう言って頭を下げた。それを慌ててセレナは頭を上げる様に手を添えた。
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