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幼い彼女は花束を差し出して笑っていた。
ロットは頬に触れようと手を伸ばしたが、届くはずもなかった。
するとロットの気配を察したのかセレナが目を覚ます。
「…ロット?」
寝ぼけながら彼の名前を呼ぶ。ロットは優しい笑みを浮かべながら、大きくなったセレナの頬に触れた。
しばらく見つめあった後、セレナは横になったまま微睡んだ目で口を開いた。
「ロット…思い出したの…。ここは私達の…2人の想い出の場所よね。」
セレナが微笑むとロットは笑顔で頷いた。
「やっと思い出してくれたんだね…。」
「えぇ…。」
セレナは身体を起こして、黄色の花々を眺めた。そしておもむろに立ち上がると、花を摘み出した。
「セレナ?」
何をしてるのかと名を呼んだ。
するとセレナは花束を作り、ロットに差し出した。
その光景は、先程見ていた幻影と同じだった。
見開いたまま固まるロットにセレナは言う。
「ロット…ごめんなさい…。私の為を思ってのことだったのに…。傷つけてしまって…。」
セレナは下に俯き反省した。
そんな姿の彼女に思い募って、花束ごと抱きしめた。
「いや…僕が悪かったんだ。…もう君に隠し事はしない…これから何があっても君に話す様にするよ。」
「ありがとう…。私も自分の心に素直になれる様努力するわ…。」
そうして熱い抱擁を交わし、2人思いを通わせたのだった。
しばらくそうしていると、セレナはロットに言った。
「ロットありがとう…私たちの想い出の場所を大切にしてくれて…。」
「僕にとっても大切な場所だからね!」
そうして2人馬車のところまで歩いて来た。
「ここも覚えてるわ…貴方と秘密の場所と言って、よく隠れていたわね。」
セレナは話をした時、強い風が出て来ていた。ロットは風避けにと馬車の中へとセレナと共に入った。
そしてあたりを見回し、セレナに言った。
「ここは僕と君だけの場所だからね。使用人には掃除と花の手入れを任せていたんだ。」
「そうなの。私は黄色い花々に癒されたわ。管理してくれた人に感謝しないとね…。」
「あぁ…セレナ。」
名を呼ばれ彼の方へ向くと、顔が近くにあった。そして2人は、優しいキスをおとした。
そんな姿をある者が物陰から覗き込んでいた。その者は悔しげな顔を浮かべるとその場を去って行った。
2人には侵入者の存在に気づいていなかった。
そして馬車を降りて、花を愛でて共に回っているとアンジュが立っていた。
彼女の顔には喜びと呆れが混ざっていた。
「アンジュ、ごめんなさい…。」
セレナが叱られた子供の様に謝るとアンジュは仕方ないと言った様子で、2人を屋敷へと案内して行ったのだった。
ロットは頬に触れようと手を伸ばしたが、届くはずもなかった。
するとロットの気配を察したのかセレナが目を覚ます。
「…ロット?」
寝ぼけながら彼の名前を呼ぶ。ロットは優しい笑みを浮かべながら、大きくなったセレナの頬に触れた。
しばらく見つめあった後、セレナは横になったまま微睡んだ目で口を開いた。
「ロット…思い出したの…。ここは私達の…2人の想い出の場所よね。」
セレナが微笑むとロットは笑顔で頷いた。
「やっと思い出してくれたんだね…。」
「えぇ…。」
セレナは身体を起こして、黄色の花々を眺めた。そしておもむろに立ち上がると、花を摘み出した。
「セレナ?」
何をしてるのかと名を呼んだ。
するとセレナは花束を作り、ロットに差し出した。
その光景は、先程見ていた幻影と同じだった。
見開いたまま固まるロットにセレナは言う。
「ロット…ごめんなさい…。私の為を思ってのことだったのに…。傷つけてしまって…。」
セレナは下に俯き反省した。
そんな姿の彼女に思い募って、花束ごと抱きしめた。
「いや…僕が悪かったんだ。…もう君に隠し事はしない…これから何があっても君に話す様にするよ。」
「ありがとう…。私も自分の心に素直になれる様努力するわ…。」
そうして熱い抱擁を交わし、2人思いを通わせたのだった。
しばらくそうしていると、セレナはロットに言った。
「ロットありがとう…私たちの想い出の場所を大切にしてくれて…。」
「僕にとっても大切な場所だからね!」
そうして2人馬車のところまで歩いて来た。
「ここも覚えてるわ…貴方と秘密の場所と言って、よく隠れていたわね。」
セレナは話をした時、強い風が出て来ていた。ロットは風避けにと馬車の中へとセレナと共に入った。
そしてあたりを見回し、セレナに言った。
「ここは僕と君だけの場所だからね。使用人には掃除と花の手入れを任せていたんだ。」
「そうなの。私は黄色い花々に癒されたわ。管理してくれた人に感謝しないとね…。」
「あぁ…セレナ。」
名を呼ばれ彼の方へ向くと、顔が近くにあった。そして2人は、優しいキスをおとした。
そんな姿をある者が物陰から覗き込んでいた。その者は悔しげな顔を浮かべるとその場を去って行った。
2人には侵入者の存在に気づいていなかった。
そして馬車を降りて、花を愛でて共に回っているとアンジュが立っていた。
彼女の顔には喜びと呆れが混ざっていた。
「アンジュ、ごめんなさい…。」
セレナが叱られた子供の様に謝るとアンジュは仕方ないと言った様子で、2人を屋敷へと案内して行ったのだった。
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