わがままな娘

37

　セレナとロットは対面に座り、これからの事を話し合っていた。

　今は結婚式の事を話している。参列者の事でセレナは俯いていた。

「ロット…私自信がないわ…。家を破門にされているし…呼ぶ人もいないわ…。」

　そういう彼女にロットは一つ返した。

「君に合わせたい人がいる。明日一緒に出かけよう。」

「わかったわ…でも誰なの?」

「それは明日会ってみたらすぐわかるよ。」

　セレナは考えてみるが、誰のことを言っているのかわからなかった。

　それからは2人で結婚式の進行、挨拶一通りのことを話し合って1日を終えた。

　翌朝、目が覚めるとアンジュが起こしに来てくれた。

「おはようございます。セレナ様、さぁ起きてください！支度を始めますよ！」

　なんだかいそいそとアンジュが動き出す。

　セレナはされるがままだった。

「アンジュ！今日は出かけるけど、こんなに手の込んだことをしないといけないの?」

「ええ！ご主人様に言われてますからね！」

　そう言ってセレナの腰のコルセットをきつく閉めた。

　苦しく思いながらもアンジュの言う通りになっていた。

　玄関へ降りると、ロットが待っていた。

「お待たせ…。」

「大丈夫、行こう。」

　そう言って、セレナに肩を差し出した。それを差し伸べて手を組み馬車へと乗り込み向かった。

　ロットに連れられてとある店に着いた。

「ここは?」

　セレナが問いかけるとロットは笑って言った。

「行こう…。」

　そうしてセレナの腰に手を回して歩き出した。中の者に案内されとある部屋に入ると驚いた。

　目の前には自分を破門した両親がいた。

　両親はセレナの姿を捉えると、近づいてきた。

「「セレナ…‼︎」」

　母はセレナを抱きしめ頭にキスを落としながら泣いていた。その横で父も立っている。

　どう言うことなのかと混乱した。ロットの方を向くと、彼は話し出した。

「実は、君に黙っていたがご両親には常に報告していたんだ。お二人とも君の事を気にしていたんだよ?」

　しかしセレナは受け入れる事が出来なかった。

　自分のわがままで破門にされたとしても、両親から信じてもらえていないのだとしか思えなかった。

　抱きしめる母を手で押した。

「…セレナ?」

「…今更なんのようですか?…もう私に関わらないで…。」

　両親は傷ついた顔で、セレナを凝視していた。ロットは慌てて声を掛けてくる。

「セレナ!確かに彼等は君を追い出したが、それは君を思っての……！」

「何も言わないで!」

　ロットの言葉を遮りそそくさに店を後にした。

　後ろから皆の止める声が聞こえていた。ずんずん歩いた。

　すると手を握られた。後を追ってきたロットだった。

「セレナ!」