わがままな娘

はなおくら

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 ロットの両親を見たのはいつ以来だろうか?

 幼い頃、両親に連れられて屋敷を訪れて以来だろうか…。その頃の彼等は私に微笑みを浮かべていたと思う。

 今は事情を聞いているからか、幼い自分は何も考えていなかったのだなと思う。

 そして彼と出会っている。だがそこから姿を見た事がなかった。

 そして今、彼と共に両親が眠るお墓へと訪れていた。

 彼と共に祈りを捧げる。

(どうか彼を見守りください。)

 心の中でつぶやくと、隣から彼が語り出した。

「……君には言ってなかったが、父は最近亡くなったんだ…。」

「えっ…?」

 セレナは知らなかったので驚きを隠せなかった。

「君が家を出された頃、父は自分の隠居場所で愛人と共に過ごしていたんだ。相手も金目当てだったのだろう…亡くなると、もらうものをもらって去って行ったよ。」

 寂しげにロットは独り言の様に語る。

「ゆくゆくはこんなふうに僕もそうなるのかと思った。母の様に好きな相手に執着して亡くなるか、それが叶わなければ適当な相手と過ごして金目当てになるのか…。」

「ロット…貴方は違うわ!私がいるもの‼︎お願い…忘れないで…‼︎」

 必死にロットの手を握って訴える。するとロットは微笑みをまた語り出した。

「セレナ、わかっているよ。だからこそここで誓うために君ときたんだ。」

 そういうと、セレナの手を握り、2人の墓の前で口を開く。

「私は貴方達のようにならない!彼女がいる限り強く生きていきます。」

 そしてセレナの瞳を見つめる。

「セレナ嬢、私の妻としてどうか私と生きてください。」

 ロットはセレナの瞳を見つめたまま返事を待っている。

 セレナは涙が溢れてきた。嬉しかった。彼と共に生きていける。

「………。」

 何もいえず黙るセレナに、ロットは返事を待った。

「……当たり前じゃない…!それに2度目よ…?」

 泣きながら言うセレナをロットは抱きしめて言った。

「ありがとう…君には何度だって飽きる事なく気持ちを伝えたいんだよ…。」

「ふふっ…嬉しいわ。」

 そうしてキスを交わし、2人ともに生きる事をお墓の前で約束し祈った。

 夕方、野菜を切って夕飯の準備をしているとロットがきた。

「どうしたの?」

「何か手伝うよ。」

 セレナは焦って返す。

「いいのよ!貴方にサプライズでやってる事なんだから!」

「いや…一緒にやりたいんだ。」

 そう言ってセレナを抱き寄せた。

 セレナは考えながら言った。

「わかったわ!なら今から私が切るものを鍋に入れてくれる?」

「わかったよ!」

 それからセレナのサプライズは、あっという間に終わり、2人ともに屋敷に帰り元の生活に戻った。


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