わがままな娘

はなおくら

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「………。」

「…………。」

 お互い沈黙が続く中、お茶を飲む音だけが静かに響く。

 そんな中、先に言葉を発したのはリリスだった。

「ロット様からは婚約者がいることは聞かれて?」

 その発言にどう答えればいいのか悩んだ。彼はどう言っているのだろうか。

 この時、目の前の彼女が伯爵家にいた頃の自分と重なった。

 どこかで噂になったのだろう。その真実を確かめに足を運んでくれたのだろう。

 そう思いセレナは口を開いた。

「リリス様にご心配をおかけしてしまい申し訳ありません…。私が不甲斐ないばかりに、家を出されそれを哀れに思ったロット様がここに置いてくださったのです。」

 そう言うと彼女は安心した顔になった。こっちまで、ほっとする。

 空気が落ち着いたと思った瞬間彼女から驚きの発言がきた。

「それを聞いて安心いたしました。……あの…実はお願いがあるのです。」

「……なんでしょう?」

「実はロット様と最近お会いできていないのです。そこでお茶会にご招待いたしますので、ロット様を共に連れ出して欲しいのです。」

「一緒にですか…?ですがそれをしてしまうのは…。」

 この時セレナは過去に戻っていた。自分がわがままに振る舞い尽くした結果、婚約者キムと義妹キャムは、自分を省いて共に合うようになっていた。

 その光景が頭に浮かんだ。それを首を振って消した。

「はい…ですから私側からも男性を一人ご招待いたします。頃合いを見て二人っきりにしていただけませんか?」

 ずきりと胸が痛んだ。でも自分も同じ想いをした事がありそっちの思いが強く、気づいたらうなずいていた。

「ありがとうございます!ロット様のご予定を聞いて招待状を送らせて頂きます。…それではこれにて…。」

 そう言って彼女は屋敷を出て行った。

 セレナは複雑な気持ちだった。しかしこの時、ロットに世話になってばかりではいけないと、キューピット役に徹する事にした。

 その日の夜、夜食をを共にしているときに、ロットに昼間の事を話した。

「ロット…貴方婚約者がいたのね。」

 セレナの発言にロットは焦り出した。

「何故君が知っているんだっ!」

 焦っているロットを尻目に口を開いた。

「昼間の彼女が訪れたのだけど、誰もいなかったからかわりにお相手させていただいたの。その時に屋敷に貴方と招待したいと言ってくださったわ。」

「…なんだって…?」

 ロットは相当焦っていた。何故こんな日に婚約者が訪れるのか。

 そこに追い討ちをかけるようにセレナは続けた。

「私も気になる事があるの!一緒にいきましょう!」

「ダメだっ!」

 ロットは怒鳴り声を上げた。


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