わがままな娘

はなおくら

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 セレナが指さしたのは、肩を露出させた赤いドレスだった。

 今指したドレスも、宝石をちりばめられた作りになっていた。

「とても気に入ったわ!これをひとつ入れておいて。」

「君が気に入ったものは好きに入れるといい…だけど、着るのは僕の前だけにしてもらいたいな…。」


「え?」

 ロットの顔を見上げると、冷えた目をしていた。

 だがすかさず笑顔になり、店の者に言った。

「彼女が気に入ったドレスとあまり露出の少ないものを用意してくれ。」

 そう言われた店員はテキパキと出していく。それをロットは見て気に入ったものを入れていく。

「どれも君に似合いそうで、迷ってしまうよ。」

「ちょっと!私の服なのに、貴方が決めたら意味ないじゃない!」

 ロットに怒ると彼は、余裕の笑みを浮かべて言った。

「さっきも言っただろ?どれも君のためのようなドレスばかりだ。君も着たいものを選ぶといい。」

 そう言われると文句も言えなくなる。仕方なく、自分の気に入った服を選び、店を出て昼食を食べてから家路に着いた。

 屋敷に着くと、ロットと別れ部屋に入りくつろいだ。

 しばらくしてから、アンジュと複数の使用人が先ほど買ったドレスをクローゼットにしまっていった。

 それからロットが部屋に入ってきた。アンジュはすかさず主人にもお茶を入れると、音もなく部屋を出ていった。

「どうしたの?」

 セレナが訝しげに聞くと、ロットはふっと笑っていった。

「いや…せっかく共に暮らすのだから、一緒に茶ぐらい呑みたいと思ってね。」

「…そう…。」

 素っ気なく言うと、ロットが横に置いていた袋を差し出した。

「開けてみるといい…。」

 セレナが中を開けてみると、中から肩の出た部屋着のワンピースが入っていた。

「これは?」

「君がこの屋敷にいる時に使ってほしい。」

 そう言われた時に思い出した事があった。

「ロット、貴方何故私のドレスに露出の少ないものを選んだの?周りの目がきになるから?」

 セレナが問うと、ロットは立ち上がって、彼女の座っているソファの後ろで屈み込んだ。

 そしてセレナの首筋を軽く啄む。

「ちゅっ…ちゅっ…。」

「あっ…ちょっと…何してるの⁉︎」

  離れようとするセレナを押さえつけ、そのまま首筋に顔を埋め言った。

「この美しい肌を僕以外の男が見ると思うと頭がおかしくなりそうだ…。」

「何を言ってるの!?やめてっ…!」

 ロットから離れようとするが、彼の力に負けてしまう。責められる事に恥ずかしくなり顔が真っ赤になってしまう。

「……この部屋着は僕が君をいつまでも見つめられるようにだよ…。」

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