わがままな娘

はなおくら

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「あんた…どういうつもりよっ‼︎」

 キャムの髪を掴もう手を伸ばすと、父がその手を掴み言った。

「恥を知りなさい。お前は破門する。二度と顔を見せるな…。」

 母は何も言わずに、キャムの肩に手を置き、目も合わさない。

 絶望の中、顔を上げるとキャムがしたり顔で笑っていた。

 その後ろから婚約者キムが私を睨みつけて去っていった。

「何故…何故…どうしてこんな目に合うの?」

 怒りが込み上げてくる。そこへ兵士を従えた高貴な男が自分を見下ろすと言った。

「今お前は平民だ。本来ならこのままおいだすところだが、お前を預かりたいと言ってくれた者がいる。」

 そう言って去っていった。

 正直もうどうでもよかった。ただ残るのは、妹への怒りだった………。

 建物を出ると、目の前に馬車が止まっていた。

 ボーッと眺めていると、中から青年が降りてきた。

「やぁ…セレナ!大変な一日だったね。


 目の前には、幼なじみのロットがいた。彼とは幼い頃から合っていたがどういうわけか大きくなっても、いく先々に必ずいて声をかけてくる。

「…何故貴方がいるの?」

 私が睨むと彼はやれやれと言ったように答えた。

「僕たちは幼なじみだろ?助け合うのは当たり前だよ。」

 ロットの言葉を否定した。

「悪いけど、私にはもう何もないの!…ほっといて!」

 彼の横を通り過ぎようとした時、後ろから抱きしめられた。

「……逃さないよ……。さぁ!行こう!」

 初めの低い声にビクッとしたが、半ば無理やり抱き抱えられ、馬車に乗せられ屋敷へと向かった。

 屋敷に着くと、使用人が綺麗に並んでお辞儀していた。

 ロットはその横を、堂々と歩くと階段を上がり奥の奥の奥の誰も通らないような部屋に連れられた。

「君の部屋だよ。好きに使うといい。」

 目の前には今まで選んだ事のないピンク色をメインにされた部屋が広がっていた。

「…何?…ここ?」

 嫌気が差してきて、ロットに聞くと返答はこうだ。

「かわいい君をイメージしたんだ。君の美しいブロンドの金髪…そして薄桃色の瞳…。」

 うっとりしているロットに呆れてため息が出る。

「はぁ…私をどうしたいの?」

「ここに暮らしてほしい。用が有れば、隣の部屋に君専用の侍女がいるから呼んでくれ。」

 ロットが何を考えているのか全くわからない。でもここで贅沢できるならいいかとセレナは思った。

「いいわ!私は妹と違って手がかかるわよ!」

 挑戦的な言葉を投げかけると、今まで笑っていたロットの目が怪しく光言った。

「もちろん…。あの鈍感な女の事なんて君から忘れさせてあげるよ…。」

 セレナはビクッとしたが、ロットは陽気な笑顔に戻り、またと言って部屋を出ていった。
 
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