57 / 72
57
しおりを挟む
「ツーリー!」
彼の執務室に入り、彼の元へ駆け寄った。
ツーリーも嬉しそうにわたしの体を抱きしめてくれる。
「ナナ、式の準備もあるのに一緒に入れなくてすまないな…。」
申し訳なさそうにしている彼が可愛らしく思えて首を横に振った。
「気にしないで。…あのね、あなたに聞きたいことがあるの。」
「聞きたい事?」
ツーリーはわたしをソファに座らせるとその横に座ってわたしの手を握った。
「何かあったのか?」
心配そうに見つめられ、わたしは申し訳ない気持ちになりつつ口を開いた。
「あのね…スノア令嬢の件で話があるの…。」
「…彼女に何かされたのか?」
鋭い目つきに変わったツーリーに慌てて否定した。
「違うわ!わたしは突然耳と目が聞こえず見えなくなって、実際スノア令嬢に何をされたのかはっきりと見ていないから…あの時何があったのか知りたいの…。それにあれから彼女の姿を見ていないわ。会いたいわけじゃないけど何があったか知りたいの!」
ツーリーをまっすぐ見つめて願った。
ツーリーは言うつもりはなかったのかもしれないが、わたしのお願いに口を開いた。
「先に言っておくと僕は君が傷つく姿は見たくないんだ。…けど君が知りたいことを隠すのも気が引ける。辛かったら言って欲しい。」
彼の本音にわたしは頷いた。
ツーリーもこの話をするのは嫌だと思いつつも私と分かち合おうとしてくれる姿勢が嬉しかった。
それからツーリーは話し始めた。
スノア令嬢に毒薬を飲まされた私をすぐツーリーが見つけ出してくれていた。
その横でスノア令嬢が真っ青な顔で私の心配をしていた為ツーリーは疑うことをやめた。
するとスノア令嬢が連れていた護衛が近くの医師の所まで連れて行くと言うのを聞いて断り自分の屋敷に連れ帰ろうとした時、タイミング悪く国王陛下に呼ばれてしまい、彼女に任せてしまったのだと言う。
戻ってみれば私の行方もスノア令嬢の行方も分からなくなってしまい、騙されていたのに気がついたとのことだった。
「すまなかった…疑わなければならないのに隙を見せてしまった…。」
その時の後悔を思い出すように彼は項垂れてしまった。
わたしはそんな彼の頭を優しく撫でた。
彼は少し笑って話を続けた。
わたしをすぐさま捜索していた時、スノア令嬢の母がわたしの居場所を教えてくれたのだと言う。
彼女の母は、娘を許して欲しいと頼んだようだがツーリーはそれを断り、今スノア令嬢とその父親は牢獄に入れられているとの事だった。
彼の執務室に入り、彼の元へ駆け寄った。
ツーリーも嬉しそうにわたしの体を抱きしめてくれる。
「ナナ、式の準備もあるのに一緒に入れなくてすまないな…。」
申し訳なさそうにしている彼が可愛らしく思えて首を横に振った。
「気にしないで。…あのね、あなたに聞きたいことがあるの。」
「聞きたい事?」
ツーリーはわたしをソファに座らせるとその横に座ってわたしの手を握った。
「何かあったのか?」
心配そうに見つめられ、わたしは申し訳ない気持ちになりつつ口を開いた。
「あのね…スノア令嬢の件で話があるの…。」
「…彼女に何かされたのか?」
鋭い目つきに変わったツーリーに慌てて否定した。
「違うわ!わたしは突然耳と目が聞こえず見えなくなって、実際スノア令嬢に何をされたのかはっきりと見ていないから…あの時何があったのか知りたいの…。それにあれから彼女の姿を見ていないわ。会いたいわけじゃないけど何があったか知りたいの!」
ツーリーをまっすぐ見つめて願った。
ツーリーは言うつもりはなかったのかもしれないが、わたしのお願いに口を開いた。
「先に言っておくと僕は君が傷つく姿は見たくないんだ。…けど君が知りたいことを隠すのも気が引ける。辛かったら言って欲しい。」
彼の本音にわたしは頷いた。
ツーリーもこの話をするのは嫌だと思いつつも私と分かち合おうとしてくれる姿勢が嬉しかった。
それからツーリーは話し始めた。
スノア令嬢に毒薬を飲まされた私をすぐツーリーが見つけ出してくれていた。
その横でスノア令嬢が真っ青な顔で私の心配をしていた為ツーリーは疑うことをやめた。
するとスノア令嬢が連れていた護衛が近くの医師の所まで連れて行くと言うのを聞いて断り自分の屋敷に連れ帰ろうとした時、タイミング悪く国王陛下に呼ばれてしまい、彼女に任せてしまったのだと言う。
戻ってみれば私の行方もスノア令嬢の行方も分からなくなってしまい、騙されていたのに気がついたとのことだった。
「すまなかった…疑わなければならないのに隙を見せてしまった…。」
その時の後悔を思い出すように彼は項垂れてしまった。
わたしはそんな彼の頭を優しく撫でた。
彼は少し笑って話を続けた。
わたしをすぐさま捜索していた時、スノア令嬢の母がわたしの居場所を教えてくれたのだと言う。
彼女の母は、娘を許して欲しいと頼んだようだがツーリーはそれを断り、今スノア令嬢とその父親は牢獄に入れられているとの事だった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる