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草原の戦い、森の中の戦い
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草原では冒険者達と私設騎士団が魔物達と戦っていた。
強い魔物は数人がかりで、冒険者の中で強い者は一人で魔物と戦っていたが、魔物は一向に減らない。
戦っている冒険者や騎士をすり抜けて城壁にたどり着く魔物も出てきた。
城壁にたどり着いた魔物は手を伸ばした途端にチリチリと音を立てて一瞬で燃え尽きた。
ソレを目の前で見た魔物は一瞬足が止まるが、服従の魔法をかけられているので、再び城壁に向かって突進する。
結界を張ったアイリーンの身体には魔物が燃え尽きるたびに衝撃が走る。
結界は一度張ったらソレで終わりというわけではない。
アイリーンは一度魔物になってから魔力量は増えたが、それにも限度はある。
単に結界を張るだけならアイリーンはいつまででも結界の維持ができるが、
魔物が結界に向けて飛び込んでくるたびに結界のその部分は薄くなる。
薄くなった結界を補うためには魔力が必要になる。
アイリーンの魔力は減り続けていた。
魔力が減ると結界は弱くなって行く。
気づかないうちに、城壁を守る結界は徐々に薄く弱くなっていった。
森の中で戦っていたタカは、一ヶ所目の魔物溜まりを消して二カ所目に向かっていた。
森の中でも魔物溜まりが湧き出た魔物の行進は続いている。
見かけた魔物は退治して前に進んでいたが、数が多くて全ての魔物を始末することは出来ない。
タカは先を急いだ。
二カ所目の魔物溜まりに着くと、そこは強い瘴気が渦巻き、魔物がその周りを見張っていた。
先の場所ではデツグオーク一頭だったが、此処には三頭が黒い渦の中から出てくる魔物を待ち受けて、その内の一頭が魔物が出てくる時に手を貸していた。
一度に三頭はこちらに分が悪い。
どうしたものか遠くから魔物を見ながら考えていた。
ルイからは何の連絡もない。
ペンタブは中心を壊せば外にある5箇所の魔物溜まりは消滅する。
ルイが中心を壊せば魔物溜まりは消滅するのだが、今のところその気配はない。
ペンタブの中心が消滅すれば、魔物溜まりの中にいる魔物は、時空の流れの中永久に彷徨い続けることになる。
服従の魔法をかけられてさえいなければ、他の魔物に従う事などしない魔物には、魔物溜まりの中に身を置くなど絶対にできることではない。
操られた様に魔物は黒い渦の中から現れる。
タカはその度に渦の真ん中に向けて上空から魔法で槍を打ち込んだ。
真上からである
見張りをしていた魔物は驚いた。
周囲から攻められることは可能性として考えていたが、まさか真上から攻撃を受けるとは思っていなかった。
黒い渦の中に呑みこまれた矢は、出てこようとしていた魔物を突き刺すと、魔物はバタバタと手足を動かして、渦の中に沈んだ。
見張りをしていた3頭の魔物は頭上を探した。
矢は真上から飛んできた。
タカが魔法を使い上空に矢を出してその矢を思いっきり下に向けて放ったのだったが、魔物は気づかず、矢を放ったものを探していた。
魔物はまだ出てくる。
今度は大きな岩を落とした。
「ドッカーン!」
大きな音がして魔物溜まりの黒い渦が見えなくなった。
出口が塞がれてしまった。
塞がってしまった魔物溜まりからは魔物は出てくることができない。
見張りをしていた3頭はなんとか岩を退けようと足掻いていたが、岩は魔物溜まりの窪みの中に丁度スッポリとハマった様でなかなか抜けない。
四苦八苦していたところをタカは攻撃した。
岩を退けることに気を取られていた魔物は不覚にもタカに一撃を与えることもできずに二頭は殺された。
一頭はその場から逃げた。
タカは追うことなく、次のペンタブに向かった。
そこにはルルがいるはずだった。
連絡のないルルに不安を感じていた。
魔物溜まりから飛び出してきたワイバーンと目があったルルは、嫌な予感がした。
此処にはいない方が良い。
自身のカンがそう感じた。
直ぐに場所を反対側の森の木に移した。
その瞬間、ワイバーンが先ほどまでルルがいた木を口から出る炎で焼き尽くした。
一瞬で木は燃え尽きた。
「あのワイバーン、やはり気づいていた、あそこにいたら死んでいた所だ」
ルルは胸を撫で下ろした。
ワイバーンは疑り深い。
木は燃え尽きたが、ルルがまだ生きているのでは無いかと思っているのだろう、上空をぐるぐると回り辺りを見回して探していた。
魔物溜まりからオオトカゲ、ワイバーン、トカゲワニ、次から次にと這い出してくる。
爬虫類のオンパレードだ。
ルルは空を飛ぶワイバーンと地を這うオオトカゲやトカゲワニに気を払いながら、次の策を考えていた。
強い魔物は数人がかりで、冒険者の中で強い者は一人で魔物と戦っていたが、魔物は一向に減らない。
戦っている冒険者や騎士をすり抜けて城壁にたどり着く魔物も出てきた。
城壁にたどり着いた魔物は手を伸ばした途端にチリチリと音を立てて一瞬で燃え尽きた。
ソレを目の前で見た魔物は一瞬足が止まるが、服従の魔法をかけられているので、再び城壁に向かって突進する。
結界を張ったアイリーンの身体には魔物が燃え尽きるたびに衝撃が走る。
結界は一度張ったらソレで終わりというわけではない。
アイリーンは一度魔物になってから魔力量は増えたが、それにも限度はある。
単に結界を張るだけならアイリーンはいつまででも結界の維持ができるが、
魔物が結界に向けて飛び込んでくるたびに結界のその部分は薄くなる。
薄くなった結界を補うためには魔力が必要になる。
アイリーンの魔力は減り続けていた。
魔力が減ると結界は弱くなって行く。
気づかないうちに、城壁を守る結界は徐々に薄く弱くなっていった。
森の中で戦っていたタカは、一ヶ所目の魔物溜まりを消して二カ所目に向かっていた。
森の中でも魔物溜まりが湧き出た魔物の行進は続いている。
見かけた魔物は退治して前に進んでいたが、数が多くて全ての魔物を始末することは出来ない。
タカは先を急いだ。
二カ所目の魔物溜まりに着くと、そこは強い瘴気が渦巻き、魔物がその周りを見張っていた。
先の場所ではデツグオーク一頭だったが、此処には三頭が黒い渦の中から出てくる魔物を待ち受けて、その内の一頭が魔物が出てくる時に手を貸していた。
一度に三頭はこちらに分が悪い。
どうしたものか遠くから魔物を見ながら考えていた。
ルイからは何の連絡もない。
ペンタブは中心を壊せば外にある5箇所の魔物溜まりは消滅する。
ルイが中心を壊せば魔物溜まりは消滅するのだが、今のところその気配はない。
ペンタブの中心が消滅すれば、魔物溜まりの中にいる魔物は、時空の流れの中永久に彷徨い続けることになる。
服従の魔法をかけられてさえいなければ、他の魔物に従う事などしない魔物には、魔物溜まりの中に身を置くなど絶対にできることではない。
操られた様に魔物は黒い渦の中から現れる。
タカはその度に渦の真ん中に向けて上空から魔法で槍を打ち込んだ。
真上からである
見張りをしていた魔物は驚いた。
周囲から攻められることは可能性として考えていたが、まさか真上から攻撃を受けるとは思っていなかった。
黒い渦の中に呑みこまれた矢は、出てこようとしていた魔物を突き刺すと、魔物はバタバタと手足を動かして、渦の中に沈んだ。
見張りをしていた3頭の魔物は頭上を探した。
矢は真上から飛んできた。
タカが魔法を使い上空に矢を出してその矢を思いっきり下に向けて放ったのだったが、魔物は気づかず、矢を放ったものを探していた。
魔物はまだ出てくる。
今度は大きな岩を落とした。
「ドッカーン!」
大きな音がして魔物溜まりの黒い渦が見えなくなった。
出口が塞がれてしまった。
塞がってしまった魔物溜まりからは魔物は出てくることができない。
見張りをしていた3頭はなんとか岩を退けようと足掻いていたが、岩は魔物溜まりの窪みの中に丁度スッポリとハマった様でなかなか抜けない。
四苦八苦していたところをタカは攻撃した。
岩を退けることに気を取られていた魔物は不覚にもタカに一撃を与えることもできずに二頭は殺された。
一頭はその場から逃げた。
タカは追うことなく、次のペンタブに向かった。
そこにはルルがいるはずだった。
連絡のないルルに不安を感じていた。
魔物溜まりから飛び出してきたワイバーンと目があったルルは、嫌な予感がした。
此処にはいない方が良い。
自身のカンがそう感じた。
直ぐに場所を反対側の森の木に移した。
その瞬間、ワイバーンが先ほどまでルルがいた木を口から出る炎で焼き尽くした。
一瞬で木は燃え尽きた。
「あのワイバーン、やはり気づいていた、あそこにいたら死んでいた所だ」
ルルは胸を撫で下ろした。
ワイバーンは疑り深い。
木は燃え尽きたが、ルルがまだ生きているのでは無いかと思っているのだろう、上空をぐるぐると回り辺りを見回して探していた。
魔物溜まりからオオトカゲ、ワイバーン、トカゲワニ、次から次にと這い出してくる。
爬虫類のオンパレードだ。
ルルは空を飛ぶワイバーンと地を這うオオトカゲやトカゲワニに気を払いながら、次の策を考えていた。
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