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30話 インチキギャル女神
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あれから、てきぱきと私の店じまいの手伝いをこなすウォベーレさんに先ほどの気位の高さは露ほどにもなく、淡々と片付けた後はその場を後にした。
日が傾きはじめ、道すがら彼から教えられたのが基本的にエルフはヴィーガン寄りの趣向が多い種族なので私が与えたピンサンドベアのサンドイッチの肉の部分は食しては貰えなかった。
スープはほぼ具材がなくなり、肉の部分がないものだったからよかったみたいだ。
そのことを知らずに肉を勧めていた私に対し、酷く申しわけなさげに眉を下げる絶世の美青年に逆にこちらが知識不足で申し訳ないと謝り倒した。
元の世界でもたしか動物性のもの食べない人もいるみたいだったし、特にエルフなんか森と生き物愛護の代名詞みたいなものなのにこちらの考えが至らなかった上での配慮不足だ。
そうこうしている内に彼が泊まっている宿に連れられ、いつの間にか人払いの魔法を施されていたため念のために二重の上書きで結界・防御魔法の応用で防音の魔法も施した。
「結界の魔法も使えるのですね」
「あー、いや……あはは」
そのことにめざとく気づいた彼に対し返すことばのない私を一瞥した後、上着を脱ぎベットの縁に先に腰かけたウォベーレさんに椅子を勧められる。
夕陽が部屋に差し込み彼の神秘的で美しく整った顏がこちらを見据え、緑色の瞳がキラキラとどこか真剣なのに揺らめいて心がざわつく感じに陥り、まるで帰りが遅くなった子供に叱りを入れる母親に対峙しているようで落ち着かない。
お互いが視線を合わせ静かな時を過ごす。
やはりレイナの頭の中は物凄くうるさかった。
もんのっっっすごく死刑宣告されるみたいで気まずすぎるって言うか、むしろあれだわ圧迫面接的な???したことないけど。元の世界で死ぬ前は受験シーズンだったから多少は面接練習はしたけど、それともまた違う緊張感でヤバい。
この空気感の中、ようやく彼から話し始めた。
「私はウィリアン……いいえ、シドウですね……貴女のことをずっと探していたのですよ」
最近そういうの多いなぁーとデジャブを感じつつ、静かに相手の話に耳を傾ける。
「貴女は死出森、アクポの森から生還されましたね」
おっと、おいおい待て待て待て待て、この人マジでどこから知ってんねん。というか知ってたならあの状況助けろよマジで。こちとら血まみれワッショイで死にかけてたんだからな????おっおっ????
そんなレイナの考えなど露知らず、彼はゆったりとした口調で続ける。
「本来ならば、あの森に入ったものは瘴気に当てられ徐々に精神に異常を起こし、魔獣などに喰われながら時間を置かずに亡くなるでしょう。 身体を欠損し死を待つだけの冒険者や痴呆の入った高齢者……厄介な連中などの掃き捨て場となっているのです」
待ってくれ女神サマ、あんっっっのインチキギャル女神そんなとこに落っことしてくれやがったのかよマジで舐めてるな。ガチで死ななくてよかった。
なんか女神様から抗議するようなものを感じなくもないが無視する。
ウォベーレさんの話を聞きながら頭の片隅でこの異世界に来た当初のことを昨日のことのように鮮明に思い出す。
表示ちゃんがいなければあの森から生きて出ることが出来なかっただろうことがいまの話を聞いてよーく、よぉ~~~く分かった。絶対あのクソ女神いつかしばいてやると心に誓ったレイナであった。
「我々エルフ及び龍、精霊属は、この世界の森や自然……地上の山々や森林などの管理を女神アリーシェ様から仰せつかっております。 それは、魔属の王であるあのお方の権限があってしても触れることの出来ない大変名誉な役割なのです」
彼が言うには魔王は魔族が住む魔国を統べる役割を担っており、海や大地、自然などは各種属たちが女神様の采配により行われるそうだ。
それと私になんの関係があるのだろうと思いつつ、女神様……なんか他種族に色々仕事押し付けてサボってね?と思わなくもない。
まぁ何となく知ってたけど、用は女神様はこの世界の創造神であり基本なんでもできるから、愛と平和を願う他に各々の種族に応じた役割や道しるべを指すことが役割なのだろう。
人間やその他種族も等しくその使者や使役するものが女子供で、本来彼女の能力である魔法の元素の他にスキルなどを女神の代わりに授け育むことができるのが女性。
そして、生まれもって得ている"慈愛の加護"なのだろう。とはいっても、魔法やスキルなんて血統もあるみたいだけどほとんどがランダムらしいし直接これがいい!って決めれるわけではない。
でも、それでも男性は生まれつき神様から愛されてる女性を無下にできず、大切にする。
逆に命を護り奪う行為、労働や種付けといった守護、豊穣、秩序などの神様は決って男性らしい。
らしいというのも、女神様以外の神様なんて出会ったことないしなぁ~と思いつつ、会うこともないだろうとも思ってる。いや、そう思いたい。切実に。
「それで、本題ですが……」
今度はなにを言われるのだろうと嫌な汗をかきながらウォベーレさんを見つめる。
「貴女の力を、お貸しして欲しいのです……」
日が傾きはじめ、道すがら彼から教えられたのが基本的にエルフはヴィーガン寄りの趣向が多い種族なので私が与えたピンサンドベアのサンドイッチの肉の部分は食しては貰えなかった。
スープはほぼ具材がなくなり、肉の部分がないものだったからよかったみたいだ。
そのことを知らずに肉を勧めていた私に対し、酷く申しわけなさげに眉を下げる絶世の美青年に逆にこちらが知識不足で申し訳ないと謝り倒した。
元の世界でもたしか動物性のもの食べない人もいるみたいだったし、特にエルフなんか森と生き物愛護の代名詞みたいなものなのにこちらの考えが至らなかった上での配慮不足だ。
そうこうしている内に彼が泊まっている宿に連れられ、いつの間にか人払いの魔法を施されていたため念のために二重の上書きで結界・防御魔法の応用で防音の魔法も施した。
「結界の魔法も使えるのですね」
「あー、いや……あはは」
そのことにめざとく気づいた彼に対し返すことばのない私を一瞥した後、上着を脱ぎベットの縁に先に腰かけたウォベーレさんに椅子を勧められる。
夕陽が部屋に差し込み彼の神秘的で美しく整った顏がこちらを見据え、緑色の瞳がキラキラとどこか真剣なのに揺らめいて心がざわつく感じに陥り、まるで帰りが遅くなった子供に叱りを入れる母親に対峙しているようで落ち着かない。
お互いが視線を合わせ静かな時を過ごす。
やはりレイナの頭の中は物凄くうるさかった。
もんのっっっすごく死刑宣告されるみたいで気まずすぎるって言うか、むしろあれだわ圧迫面接的な???したことないけど。元の世界で死ぬ前は受験シーズンだったから多少は面接練習はしたけど、それともまた違う緊張感でヤバい。
この空気感の中、ようやく彼から話し始めた。
「私はウィリアン……いいえ、シドウですね……貴女のことをずっと探していたのですよ」
最近そういうの多いなぁーとデジャブを感じつつ、静かに相手の話に耳を傾ける。
「貴女は死出森、アクポの森から生還されましたね」
おっと、おいおい待て待て待て待て、この人マジでどこから知ってんねん。というか知ってたならあの状況助けろよマジで。こちとら血まみれワッショイで死にかけてたんだからな????おっおっ????
そんなレイナの考えなど露知らず、彼はゆったりとした口調で続ける。
「本来ならば、あの森に入ったものは瘴気に当てられ徐々に精神に異常を起こし、魔獣などに喰われながら時間を置かずに亡くなるでしょう。 身体を欠損し死を待つだけの冒険者や痴呆の入った高齢者……厄介な連中などの掃き捨て場となっているのです」
待ってくれ女神サマ、あんっっっのインチキギャル女神そんなとこに落っことしてくれやがったのかよマジで舐めてるな。ガチで死ななくてよかった。
なんか女神様から抗議するようなものを感じなくもないが無視する。
ウォベーレさんの話を聞きながら頭の片隅でこの異世界に来た当初のことを昨日のことのように鮮明に思い出す。
表示ちゃんがいなければあの森から生きて出ることが出来なかっただろうことがいまの話を聞いてよーく、よぉ~~~く分かった。絶対あのクソ女神いつかしばいてやると心に誓ったレイナであった。
「我々エルフ及び龍、精霊属は、この世界の森や自然……地上の山々や森林などの管理を女神アリーシェ様から仰せつかっております。 それは、魔属の王であるあのお方の権限があってしても触れることの出来ない大変名誉な役割なのです」
彼が言うには魔王は魔族が住む魔国を統べる役割を担っており、海や大地、自然などは各種属たちが女神様の采配により行われるそうだ。
それと私になんの関係があるのだろうと思いつつ、女神様……なんか他種族に色々仕事押し付けてサボってね?と思わなくもない。
まぁ何となく知ってたけど、用は女神様はこの世界の創造神であり基本なんでもできるから、愛と平和を願う他に各々の種族に応じた役割や道しるべを指すことが役割なのだろう。
人間やその他種族も等しくその使者や使役するものが女子供で、本来彼女の能力である魔法の元素の他にスキルなどを女神の代わりに授け育むことができるのが女性。
そして、生まれもって得ている"慈愛の加護"なのだろう。とはいっても、魔法やスキルなんて血統もあるみたいだけどほとんどがランダムらしいし直接これがいい!って決めれるわけではない。
でも、それでも男性は生まれつき神様から愛されてる女性を無下にできず、大切にする。
逆に命を護り奪う行為、労働や種付けといった守護、豊穣、秩序などの神様は決って男性らしい。
らしいというのも、女神様以外の神様なんて出会ったことないしなぁ~と思いつつ、会うこともないだろうとも思ってる。いや、そう思いたい。切実に。
「それで、本題ですが……」
今度はなにを言われるのだろうと嫌な汗をかきながらウォベーレさんを見つめる。
「貴女の力を、お貸しして欲しいのです……」
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