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第28話
しおりを挟む海斗とデートって考えた全然寝れなくて、寝不足だ…。
目を擦りながら廊下を歩いていると、
「雫ちゃんー!」
翔くんの声が聞こえてきて、私は振り返った。
「あ、翔くん」
私は微笑んで答えた。
「昨日ぶり!」
「ですね」
翔くんが、私の元に駆けつけてくれる度にキュンキュンしていたのに、今はそれも感じなくなったなんて。
多分、自分が思っている以上に海斗のことが好きなんだと思う。
「そうだ!土曜日デート行くんだってね!」
翔くんがニヤニヤしながら言った。
「どうしてそれを」
まぁ、ご飯食べに行くだけで、デートでは無いんだけど。
「海斗の機嫌が良さそうだったからどうしたのか聞いてみたら土曜日雫と飯、行く。ってさ」
翔くんが笑いながら答えた。
機嫌が良かったのは試合に勝ったからだと思うけど。
「そうなんですね」
私は少し照れくさそうに答えた。
「あ、ちなみに海斗は青色が好きだよ」
翔くんが急に言った。
「え?」
急に、どうしてそんなことを言うんだろう。
「まぁ、彼女だから知ってるか」
翔くんが笑いながら言った。
青色が好きなことも知らなかったし、翔くんが急にそんなことを言い出す理由も分からなかった。
「どうして急に?」
私は不思議に思いながら尋ねた。
「いやぁ、色々迷ってるかなーっと思って」
迷うって何を…?
私は心の中で疑問を抱いた。
「何をですか?」
「海斗の誕生日プレゼントだよー」
…ん?
い、今なんて、
「誕、生日…?」
私は驚いて言葉を詰まらせた。
「え、もしかして…」
翔くんが驚いたように言った。
「知らなかった…」
私は呆然とした。
「えぇ。あいつ、彼女にそんな大事なことも言わなかったなんて。自分で言うのが恥ずかしかったのか?」
そう言ってため息をついた。
「土曜日、誕生日なんですか、?」
私は信じられない気持ちで尋ねた。
「そうなんだよ。俺はてっきりそれでデートするのかと、」
誕生日なら誕生日って教えてよ!
私は心の中で叫んだ。
「私、何も考えてなかった、」
私は焦りと後悔で胸がいっぱいになった。
「まぁ、海斗が何も言わずにデートに誘ったってことは、雫ちゃんと一緒に居られればそれでいいってそういうことだと思うけど…」
翔くんが優しく言った。
私はその言葉に少し救われた気がした。
そう言ってくれるけど、
海斗のことだから…
多分、自分の誕生日を忘れてるだけだと思う。
なんやかんや私も助けてもらってるし、プレゼント準備してやるか。
それに、好きな人の誕生日を二人きりで祝えるのが嬉しかった。
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