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第35話
しおりを挟む「あの時、どうして私があそこにいるって分かったの?」
人の足音すら聞こえない不気味なところで、きっと助けなんて来ないって…半分諦めていたのに。
「あぁ、それは…それのおかげだよ」
そう言って指差したのは、
「これ…?」
湊さんがくれたルビーのネックレスだった。
「その宝石の中にGPSを仕掛けてたんだ」
「え…?」
だから場所を特定できたのか…
でもどうしてそんなこと、
「もしも彩花の身に何かあったら、すぐに駆けつけれるように」
「それで…」
あの人が何かしてくるだろうって分かってたんだ
「俺が近くにいて守ればいいと思ってはいたけど、一応念の為に仕掛けさせてもらったよ」
「そうだったんだ」
「今日に限って話しかけてくる奴が多くて、目を離した隙に…いま考えたら全員グルなんだろうけど」
確か、あの人が湊さんに何かしたとは言っていたけど…
そういう事か。
「そうだと思う」
「ごめんね、何も言わずに勝手なことして」
きっと、私が不安な思いをしないように、あえて言わなかったんだ
「いいんだよ。そのおかげで助かったんだから」
「でも、ほんとによく似合ってるよ。そのガーネットのネックレス」
ガーネット?
勝手に赤はルビーだと思い込んでた。
「ルビーじゃなかったんだ…ごめんね。私、宝石とかあんまり詳しくなくて、」
せっかくプレゼントしてくれたのに、何も知らなかった。
「いや、謝ることは無いよ。…そっか、やっぱり伝わってなかったか、」
「え?」
伝わるって何を…
「ガーネットの石言葉は変わらぬ愛」
「変わらぬ愛…」
それってつまり、
「俺の気持ちが、彩花に少しでも伝わりますようにって、願掛けのつもりで」
「そうとも知らずに…」
一ミリも伝わってなかった
「そして、お守りの意味も込めてある」
「お守り…ほんとに、守って貰えた。ありがとう。湊さんがいなかったら、どうなっていたか…」
想像したら怖くなって身震いした。
そんな私に湊さんは優しく微笑んで、私の肩に手を置いた。
「彩花が無事で本当に良かった。それだけで十分」
その言葉に、胸が温かくなった。湊さんの優しさと愛情が、私を包み込んでくれるようだった。
「でも、これからはもっと気をつけるよ。湊さんに心配かけたくないから」
もっと、警戒心を強く持たないと。
「それが一番だね。でも、何かあったらすぐに知らせて。俺はいつでも駆けつけるから」
「うん、ありがとう」
その時、ふと湊さんの顔が近づいてきて、私の額に軽くキスをした。
「これで、もっとお守りの力が強くなるよ」
「もう…」
顔が赤くなるのを感じながら、私は湊さんを見つめた。彼の瞳には、変わらぬ愛が確かに映っていた。
「これからも、ずっと一緒にいてくれる?」
「うん、ずっと一緒に…いや、ちょっと待って」
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