私の事が大嫌いだったはずの旦那様が記憶喪失になってから、私を溺愛するようになったのですがこれは本当に現実ですか!?

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第21話

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「彩花準備できた?」

「できたけど…」

 パーティー当日になって急に怖くなった。

 このドレスを着て、パーティーに参加している姿を想像しただけで足が震えてくる。

「彩花…?」

「やっぱり私にはこんなに綺麗なドレス似合わないよ」

 足が細い訳でもないし、かといってスタイルがいい訳でもない。それなのに、こんなドレスを着たら他の人にどう思われるか...

 私自身恥ずかしい目に遭いたくないし、湊さんの顔に泥を塗るようなことはしたくないから

「彩花、出てきて」

「まだ心の準備が....やっぱり私、今日は行かないでおこうかな。ごめん湊さん、秘書の方と行ってきてくれる?」

 きっとその方がいい。

「何言ってるの、出てこないと怒るよ」
「なっ、」

 別に行きたくなかったら、無理に行かせようとは思ってないとか言ってたのに!そんなこと言われたら、出るしかないじゃん。

「3.2…」
「わ、分かった!分かったから!似合ってないと
 か言わないでね....」

 うん。一度見てもらっているんだから、似合ってないとは言わないはずだ。

「もう!そんなこと言うわけな....」

「どう?」

 私のドレス姿を見て放心状態になった。固まって
 ピクリとも動かない

「…」

 私の目を見ようともしない。

「やっぱり似合わないかな、、」

「いや、そんな事ない...」

 私が似合わないなんて言わないでねって言ったから必死に我慢しようとしてるみたい。

 あの日だけ、特別に見えたのかもしれない。

「や、やっぱり着替えてくる!去年のドレスなら
 確かまだあったと...へっ、湊さん…?」

 言い終える前に腕を引っ張られて抱きしめられた。

「ごめん、すごく似合ってて見惚れてた。すごくすっごく綺麗だよ」

「本当に?」
「ほんとだよ」

 良かった…

「何も言ってくれないから、似合ってないのかと思って心配した」

「そんな訳ない。この前も似合ってたけど、今日は髪もこのドレスに似合うようにセットされてるし、このネックレスもよく似合ってるから、一段と綺麗だよ」

「ほんとに…?湊さんも、すごくかっこいい」

 ドレスのことで頭がいっぱいだったけど、こうして落ち着いて見てみると…やっぱり湊さんはかっこいい。

「彩花にそう言ってもらえて嬉しいよ」

 湊さんが着ているのは陽翔さんの会社のスーツで、なんとペアルックなのだ。

 湊さんはかっこいいから、何を着ても様になってる。

「社長。お迎えに上がりました」

「行こう」
「…うん、」

「彩花様、とても素敵です」

 緊張が顔に出ていたのか、お世辞を言わせてしまった。

「ありがとうございます、」

「あまり見るな」
「失礼致しました」


 気を使わせてしまった挙句、私のせいで怒られてしまった。
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