私の事が大嫌いだったはずの旦那様が記憶喪失になってから、私を溺愛するようになったのですがこれは本当に現実ですか!?

hayama_25

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第10話

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「へ、湊さん、これって…ほ、らー映画…?怖いやつ…?」

 うわ、パッケージからすでに怖そうなんですけど、

「そうだよ。やめておく?あー、でも俺が見れて彩花に見れないものはないんだっけ」

「も、もちろん…」
「ならこれも見れるよね」

 見れない見れない。

 怖いものは全般むり。

 だけど今更ホラーは苦手だって言ったらまたからかわれる。それは嫌。

「…うん」
「良かった」

「…だけど、湊さん」

「ん?」

「何だか寒くない?」
「そう?冷房止める?」

「ちがっ、そうじゃなくて、ハグ…しながら見ませんか、」

 引っ付いてならまだ見れる…かも。うん、きっと怖さ半減するはず。

「いいけど…あ、怖いの?」

「違うよ!寒いから!決して怖いとかって理由ではないから!」
「怖いなら正直に言えばいいのに。見るのやめとく?」

 やめたらやめたで、どうせまたからかうくせに…

「見る!湊さんがなんて言おうと見るからね!」

 子供扱いなんてごめんだ

「そう…そこまで言うなら仕方ないね」

 一応止めたからねって、そんなこと言われると余計怖くなるよ

「ひっ、み、湊さん?」

「ん?」
「いや、これはちょっと…想像以上に迫力があるなぁ」

 絶対に怖いなんて言いたくない

「面白いでしょ?」

 面白い?これが…?

「あー、うん。ひぇっ、」
「…の割りには怖がってるように見えるけど」

「そ、んなことないよ…あぁ、駄目だよ、そんなとこ行ったら絶対見つか、あぁ!もう!だから、言ったじゃんかぁ」

「見るのやめようか」

 見たくないけど、直ぐにそう言ってしまうと、また湊さんにからかわれてしまうから、なるべく自然に…

「えぇ、何で」
 嬉しいってバレないように、残念そうに…

「そろそろ寝ないと」
「それなら仕方ないか」

 助かった…なんて別に思ってないけどね

「残念そうだから続きは、またあし『ううん、見なくて大丈夫だよ!オチが見えてるから!』そう?」

「面白かった~さ、はやく寝よっか」
「彩花もホラー好きなの?」

「嫌いじゃないけど、好きでもないかな。あ、別に怖いとかっていう理由ではないからね!」

「分かってるよ」

「それならいいけど、え、どこ行くの」
「え?トイ『あー、私も行こうかな』ん?彩花も?」

「ついて行くだけ」
「ついてくるだけ…?」

 こんなもの見せた後に一人にしないで、常識でしょ?

「うん。湊さんが一人だと怖いと思って!違った…?」
「俺は一人でも大丈夫だよ」

「遠慮しないでよ!ほら、早く行こ?」
「え、、まさか中にまで…」

 そんなわけ、

「ち、違うよ!ドアの前で待ってる!」
「分かった」

 トイレの中にいる湊さんに呼びかける

「ところで、私が怖いとかじゃないから誤解しないでね!」

「はいはい、」
「…湊さんまだ?」
「ちょっと、今入ったばっかりでしょ?」

 こんな近くにいて、何かあったらすぐに助けてもらえる距離にはいるのに…どうしてかすごく怖い

「5.4.3.2.1」
「あー、はいはい」
「遅いよ!」

「トイレぐらいゆっくりさせてよ」
「だって、」

 怖かったんだもん、

「やっぱり怖かった?」
「そんな事ないよ!一ミリたりとも怖くなんかない!」

 今、ここで怖いなんて言ってしまえば…映画を見る度にからかってきそう。

「はいはい」
「ほんとだから!」
「分かってるよ。じゃあ、おやすみ」

 え、何言ってるの…?まだ寝室に着いてないのに。

「え、」
 ここでおやすみなんて、

「え?」

 まるで別々に寝るみたいな言い方して…

「あ、分かった!また私の事からかってるんでしょ。早く、寝室行くよ!」

「…バレたか。ごめんごめん、」

 危ない。引っかかるところだった。
「ほら、行くよ」

 そう言えば…数回しか一緒に寝てないのに、もう一緒に寝るのが当たり前になってる。


「彩花、」
「ん?」

「どうしてこんなに引っ付いてくるの?狭いんだけど、」
「えーそう?湊さんの気のせいじゃない?」

「そう?」

 気のせいなんかじゃないけど。

 だって、スペース作るとお化けが入ってきそうなんだもん。

「今日は、お仕事お疲れ様。初出勤大変だったでしょ?」

「うーん、それほど大変じゃなかったよ。身体が覚えてたみたい」

 さすが、湊さんはすごい。

「それなら良かった」
「それより、俺が仕事でいない時、彩花一人で大丈夫?」

 今の様子じゃだめそうな気がするんだけど。って、心配してるのか子供扱いしてるのか…

「だ、大丈夫だよ!」
「そっか、それならいいけど。お化けが出ないように気をつけてね」



「お、お化けなんていないよ…!」
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