私の事が大嫌いだったはずの旦那様が記憶喪失になってから、私を溺愛するようになったのですがこれは本当に現実ですか!?

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第4話

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「彩花ちゃん起きて。もう朝だよ」

「んん…」

 誰…
 落ち着く声…

「おはよう。よく眠れたみたいだね」

 カーテンを開けられて、眩しくて目が開けられない。

「まだ寝る…」

「もう起きないといけない時間だよ。それより、昨日俺より先に寝てたの知ってた?」

 誰かがずっと私に話しかけてる。夢…

「知らない…ん、…」
私の抱き枕どこ…?あ、あった。

「ふふ、まだ寝ぼけてるの?それとも起きたばっかりだと甘えん坊になっちゃうの?」

 なんかいつもと違う…なんか硬い…

「んん、っん~、ん?え、み、湊さん!?どうしてここに」

 どうして湊さんに抱きついてるの?

「ふふ、彩花ちゃんがそんなに甘えん坊だって知らなかったな~」

「す、すみません抱き枕だと思って…!」

 ちょっと待って、何がどうなってこうなった?頭が回らない。

 えっと、昨日、湊さんと一緒に寝て…あ、そっか。

 ここは私の部屋じゃないんだ。そして、昨日のことも夢じゃなかったんだ。

「さ、朝ごはん食べよ」

「朝ごはん…?っ、ごめんなさい、私、ご飯用意するのすっかり忘れてて、作ってなくて…今からすぐ用意するので、少し待っていてもらえますか、、」

 昨日のことで気が動転して、アラームもセットし忘れて、起こしてもらうまでぐっすり寝てた。何やってるんだ。

 私としたことが、どうしよう、怒られ…

「大丈夫だよ。もう俺が作ったから」

「湊さんが、朝ごはんを…?」
怒るどころか私の分まで朝ごはんを作ってくれた…?

「簡単なものだから申し訳ないけど」

 怒るどころか謝るなんて。ただでさえ、昨日目覚めたばっかりでしんどいはずだから、私が…私がしっかりしないといけないのに。

「そ、そんな、ありがとうございます」

「朝ごはん作ったぐらいで大袈裟だよ」

 なんて言って笑ってくれるから、実感する。湊さんは湊さんじゃないんだって。

 この優しさに甘えてしまうと、湊さんが元に戻った時きっと耐えられなくなってしまうから。

「…ごめんなさい、」

「え?何が?」

「朝ごはんを作るのは私の仕事なのに、湊さんにさせてしまって、」

「いいってば。そんなの、できる方がすればいいんだから。さ、そんな顔しないで。顔洗っておいで」

 できる方が…か、

 前の湊さんは、家事全般私の仕事だと思っていた。もちろん、私もそれは私に与えられた役割だと思って、私なりに努力した。

 熱が出ようが、どうしても外せない用事が出来た時も、湊さんは一度だって…

「酷い顔、」

 鏡に映った私の顔はあまりにも酷かった。昔のことを思い出すだけでこんな顔になるなんて。

 大丈夫…今の湊さんはそんな人じゃない。
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