運命の糸の先に

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第22話

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「ほんと厄介なやつ....」

 瑞稀がため息をついた。

「それでも一度は好きになった相手でしょ?」

 私は軽く笑った。

「一度もあいつのことなんて...」

 瑞稀は言いかけて、言葉を飲み込んだ。

「え?」

 あいつのことなんて、何?

「いや、この話はいつかちゃんとするから。だから、とりあえずあいつと会うなよ、俺がいない時は特に。何言われても無視しろ」

 瑞稀の声は真剣だった。

 そんな顔されたら何も言えないよ。

「...分かった」

 私は小さく頷いた。

「ん、」

 瑞稀は安心したように息をついた。

「瑞稀今日仕事は?」

 私は話題を変えたくて尋ねた。

「休みだけど」

「久しぶりにお出かけしよ!優奈と祐也も誘って」

 気分転換も兼ねて。

「いいけど、あいつらは誘うなよ」

 瑞稀は即座に答えた。

「え、なんで」

 二人もいた方が楽しいのに。

「二人の時間邪魔したら可哀想だろ」
「確かに...。あの後ちゃんと話し合ったんだよね」

「じゃないと明日結婚式なんて挙げないだろ」

 瑞稀は笑った。

「優奈のウエディング姿、素敵だろうな....」

「で、どこ行くんだ?」

 それはまだ決めてないけど、

「んー、ショッピングセンターとか?とりあえず家に引きこもり生活の瑞稀が、外に出てくれたらそれだけで十分」

 たまには太陽の光も浴びないと、家ばっかりの生活じゃ体に悪い。

「俺のためかよ、」

 瑞稀は驚いたように言った。

「だって瑞稀が外に出る時って私の家に朝ごはん食べに来るぐらいでしょ?」

 私はからかうように言った。

「なんなわけねーよ、スーパーとかコンビニとか行くし」

 そんなの30分程度じゃんか。

「はいはい。はいはい」

 私は軽く流した。

「なんだよ」

「つべこべ言わずに!30分後に集合だからね!絶対遅れないでよ!」

 私は強く言った。

「は?何勝手に決めてんだよ」
「服着替えるから早く出てって!」

「お前なぁ人の話はちゃんと聞けって」

 瑞稀はため息をついた。

「何よ」

「はぁ、もういいわ」

 瑞稀は諦めたように言った。

「じゃあ、瑞稀も着替えてきてよ」

「はいはい」

 瑞稀は部屋を出て行った。

 ___


「おい、まだか」

 瑞稀が待ちくたびれた声を出した。

「ごめん、あと5分待って」

 私は急いで準備を続けた。

「はぁ、お前が30分後に集合だって言ったんだろ」

 瑞稀は不満そうに言った。

「ごめん!もうすぐ終わる」

 私は焦りながら答えた。

「守れる約束しろよな」

 瑞稀はため息をついた。

「ごめんってば!」

 それから15分ぐらいかかって、ようやく準備が終わった。


 文句をたっくさん言われたけど、全部無視した。

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