運命の糸の先に

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第20話

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「私が瑞稀のことを好き…?」

 やっぱり信じられなかった。

 だって、今までずっと一緒に育ってきた瑞稀のことを…

 今更そんな目で見るなんて出来るわけない。

 それじゃあこの気持ちは…。

「他に誰がいんだよ」

「いるじゃん....」

 私は小さな声で答えた。

「あ?誰だよ」
「か」

 佳代の名前を言おうとした瞬間だった。

「やっぱり言うな。あいつとはそういうんじゃないから」

 瑞稀は急に遮った。

「そうですか、分かりましたよ」

 私は諦めたように答えた。

 どうせ教えてくれないし。

「あいつには近づくな」

 瑞稀の声は冷たかった。

「はいはい」

「梨華、俺は本気だ」

 瑞稀の真剣な表情に、私は少し驚いた。

 そんな真剣な顔する癖に、どうして何も教えてくれないのよ。

 ばか瑞稀。

「理由は..教えてくれないんだよね」

 私は問いかけたけど、期待はしていなかった。

 予想通り、瑞稀は口を開こうとしなかった。

「あ、いいよ、無理して言わなくても。ほんとに気にしないから。分かった!近づかないようにする。初めから素直にそう言えばよかったんだよね。困らせてごめん」

 私は笑顔を作り、瑞稀を安心させようとした。

 納得はしてない。

 だけど、佳代のことで喧嘩をするのは、もう嫌だから。

 瑞稀の言う通り、佳代には近づかない。それでいいんだ。

「あいつは…危険なんだよ」

 瑞稀の言葉に、私は一瞬息を呑んだ。

「危険?」

「俺があいつと付き合ってたって知ってるよな?」

 瑞稀は私を見つめた。

「え、うん」

 私は頷いた。

「実はあれ...」

 瑞稀が何かを話そうとした時、玄関のチャイムが鳴った。

「誰だろ...出てくる」

 私は立ち上がった。

「ん、」

 宅配便かな?私は別に何も頼んでないけど…。

 ドアを開けると、そこには佳代が立っていた。

「...え、」

 どうして、なんで佳代がここに。

「梨華さん、おじゃましてもいいですか?」

 佳代は微笑んでいたが、その目には何か冷たいものが感じられた。

「なんで、」

 私は戸惑いを隠せなかった。

 私、佳代にここに住んでるってこと教えてないのに。一体どうやってここを…?

「ちょっと話があって」

 佳代は平然と答えた。

「じゃなくて、どうして私の家を知ってるの」

 怖いんだけど、私の個人情報ダダ漏れじゃん。

「この前たまたま梨華さんがこの部屋に入っていくのが見えて」

 佳代は軽く笑った。

 たまたまなんて、嘘に決まってる。

「まさか、私のこと付けてたの、?」

 そうとしか考えられない。

「まさか~たまたまだって言ってるじゃないですか」

 佳代は笑顔を崩さない。

 その笑顔の裏には絶対何かある。
 そう思った。

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