私の大好きな彼氏はみんなに優しい

hayama_25

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第73話

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 先輩の肩に頭を預けながら、深呼吸を繰り返す。

 寒さが身に染みる中、彼の温もりが私の心を少しずつ包んでくれるのを感じる。

「心桜、焦らなくていいからね。ゆっくりでいいんだよ」

 柊先輩の声が優しく響く。
 その声に、私は安心感を覚える。

「うん…」

 私は小さく頷いた。

 言葉はなくても、先輩の存在だけで心が安らぐのを感じる。

 私も、頼るばっかりじゃなくて頼られる人になりたい。

 そのために、まずは強くならなくちゃ。

 誰にも迷惑かけないぐらい強く。

 先輩に頼るだけでなく、自分自身でも立ち向かえるようになりたい。

「先輩、私、もっと強くなりたい。自分で立ち向かえるようになりたい」

 心の中で自分を鼓舞するように、言葉に出した。

「心桜はすでに十分強いと思うよ」

 先輩は微笑んで答えた。

 強い…?
 誰が、?私が…?

「そんなわけないよ、」

 あの人が怖くて泣いているのに、こんな私が強いわけない。

 自分の弱さを否定する声が心の中で響く。

「強いよ。前を向いて歩こうとしてるんだから」

 先輩の言葉に、少しだけ心が揺れる。

「…そう、なのかな、」

 自分の強さを信じることができない自分がいる。

「納得できてないみたいだね」

 学校に行くか朝まで迷った。
 文化祭の準備があるから仕方なく出てきたけど、普段ならきっと、逃げて閉じこもってたはずだから。

「私が強いなんて、信じられなくて。私は…呆れるぐらい弱い、」

 自分の弱さを認めることが怖い。

 でも、先輩に正直に伝えたいと思った。

「そっか…。別に弱くてもいいんじゃない?まぁ、俺は心桜は強いと思うけどね」

「弱くていい…?」

 弱いことは悪い事だと思ってた。
 いや、今もそう思う。

「うん。無理に強くなろうとしなくてもいいよ。そのままの自分を受け入れて、自分のペースで前進していけば。人間みんな強くて弱いんだから」

 強くて弱い…?
 結局どっちなの…?

 そう思ったけど、先輩の言葉に、少しずつ心が癒されていくのを感じた。

 弱くてもいい。
 先輩の言葉が、私の心に温かく染み渡る。

 弱い自分を少しずつ受け入れる勇気が湧いてくる。

「…うん。ありがとう」

 先輩の言葉に励まされ、私は少しずつ立ち上がる気力を取り戻していく。

 自分の弱さを認めてもいいんだと、少しだけ思えるようになった。

「…ふぅ、」

 心臓の鼓動が少しずつ落ち着いていくのを感じる。


 あの人のことは、今もまだ怖い。

 怖くて、逃げてしまいたくなる。
 現実から目を逸らしてしまいたくなる。

 みんなに迷惑かけてしまう自分が情けなくて、そんな自分が嫌いだった。


 だけど、弱くていいと言ってくれたから、

 少しは、自分に優しくできそうな気がした。
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