私の大好きな彼氏はみんなに優しい

hayama_25

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第65話

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「ありがとう」

 私は、感謝の気持ちを込めて微笑んだ。

 遥希くんを巻き込みたくないのも本心だけど、

 この話をして、遥希くんが離れていっちゃうんじゃないかって怖かった。

 断られるだけならまだしも、遥希くんが私を避けるんじゃないかって不安だった。

「うん。じゃあ、今日は先に帰るね」

 遥希くんが微笑んで答える。

「え、どうして」

 いつも三人で帰ってたのに。

「暫くは一緒に帰れないみたいだし、今日だけでも二人で帰りなよ」

 遥希くんの優しさが胸に響く。

 彼が私を気遣ってくれることが嬉しい反面、申し訳ない気持ちも湧いてくる。

「そんな、途中まで一緒に帰ろうよ」

「うーん。そうしたいけど、用事思い出したから、やっぱり先に帰るね。じゃ、また明日」

 そう言うと振り返ることなく走り出した。

「あっ…ありがとう!また明日!」

 急いで遥希くんに届いたかは分からない。

 遥希くんが去っていく後姿を見送りながら、

「なんか悪いことしちゃったな、」
と呟いた。

 私は遥希くんにもらってばっかりで、何もしてあげられない。

「気を使ってくれたんだろうね、」

 気を使って、嘘までつかせた。

「遥希くんに迷惑かけてないかな…」

 迷惑だよね。

 優しいからああ言ってくれるけど、本当なら嫌だよね。

「そんなことないよ。遥希くんも心桜のことを心配してるんだから」

 先輩は優しく言った。

「きっと負担になってるよね、」

 遥希くんに対する申し訳ない気持ちが募る。

「遥希くんだって、心桜の力になりたいって思ってるから協力してくれるんだよ」

 先輩は微笑んで言った。

「うん…でも、私ばっかり負担をかけてるような気がして…。私は遥希くんに何も返せてないのに、」

 あの時だって、いつもと様子が違うかったのに、

 自分のことばっかりで話を聞いてあげられなかった。

 時間がある時にちゃんと聞きたかったのもあるけど、時間ぐらい作ればよかった。

 それがずっと心残りだった。

「心桜は見返りを求めて人助けをするの?」
「そんなわけ…あ、」

 それは遥希くんも同じってことか…。

「その代わり、遥希くんが困っていたら、心桜が力になってあげればいいんだよ」

「うん、」

 遥希くんは、私を頼ってくれるんだろうか。

「まぁ、心桜の気持ちも分かるけど。でも、心桜には支えてくれる人がいるんだから、一人で抱え込まないで」

 そう言って、優しく私の頭を撫でてくれた。

 その温かい手の感触に、心が少しだけ癒される。

 先輩の優しさに感謝しながら、私は深い息をついて気持ちを落ち着ける。


「うん。ありがとう、先輩」


 一人で何も出来ない自分が情けない。


 でも、それでも側にいて、助けてくれる人達がいるから救われてる。



 だけど、いつまでも甘えてられないよね。
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